「小さき花のテレジア」

ラジオで初めて聴いたとき、あまりに名曲すぎて震えた。

しかしてそのぶんあとから気になる減点対象がちょいちょい気になってくるわけである。歌詞のラストに用いられている「ら抜き言葉」がちょっとだけ引っかかったり。あと曲の収録時間が「 2:59 」とアルバムの中で最短であり、あっという間に終わってしまうのも困る。

構成的には、イントロもなくいきなり歌唱から始まって、『A-B-サビ-A-B-サビ-A』でエンディングを迎えてしまうのだ。二回目のサビでドラムパターンが変則的になって早くも楽曲の終焉をにおわせる。間奏らしき間奏もない。アルバムの中の小品みたいな位置づけなんだろうけど、つくづくもったいないです。理想型としては『 A-B-サビ-A-B-サビ-間奏-B-サビ-A 』くらい引き延ばしてもらったほうがいいので、頭の中で流すときは勝手に改編してる。

また曲のタイトルである「小さき花のテレジア」はなんかキリスト教にまつわる言葉らしく、KAN は小さいころキリスト教の洗礼を受けているので、その背景を知っていれば別に不思議なことじゃないし、あんまり宗教色を毛嫌いするのもどうかと思うけど(なんなら神さま仏さまみたいな言葉もぜんぶ排除しなきゃいけなくなる)、しかし不敬な現代っ子としてはダイレクトに受け止めたくはないな。

と、気になる部分は、以上だ。ビリージョエルさんの「夏、ハイランドフォールズにて」を下敷きにした曲で、何もかもがひたすら美しい。秋の晴れた日に川沿いを歩きながら聴くとたいへんなことになる。これは惚れる。