・「ガラスのパンプス」
異世界に連れて行かれるような音色に弱い僕はガラパンで平田祥一郎先生の奏でるシンセのいちいちに自分を見失いそうになる。特にイントロ一発目からサビまで最終的にはエンディングまでときに表に立ちときに裏に回って一貫して曲を司っている「♪シャシャーシャッシャ シャシャーシャッシャ」という硬質で厚みのある音に首根っこ引っ掴まれて魔境に連れて行かれます。
やがて意識朦朧としたまま「♪ピョロピョーロー ピョーローローローロー」という尖ったナイフで背中を突き刺されるのだ。
あとなんといってもこの曲は「間奏に明確なメロがない」という点が特異だと思っている。美勇伝の先述した曲は突出してるにしても、たとえ凡庸でもふつうなんかしらギターソロとかありますよね。でもベースなりリズムパターンなり細々としたフレーズなり音としては重層的でありながら、主に後藤ないし女性コーラス発信の「ベイビベイビベイビベイビ」みたいな声がひたすら手を替え品を替えループしているだけで、パリっとした決め手がない。
歌謡曲的ベタを基調とするハロプロ楽曲としては斬新な企てである。
もちろんこの曲はダンス踊りましょうよ用な曲で、間奏にも時間がけっこうな長尺で割り当てられている。元から間奏を引っ張るフレーズとして想定されているのはヘタな楽器などではなく、後藤の鋼の肉体から奏でられる身体性そのものなのかな。ソリッドなごっちんのイメージが譜面に同化。