「FNS27時間テレビ」よかったところとよくなかったところ

今年2015年の「FNS27時間テレビ」は体感だいたい7割くらい見てました。よかったところも、よくなかったところもありました。気の利いたことは書けませんが、メモってたことを書いていきます。


よかったところ

なんだかんだいって圧倒的にお笑い至上主義だったところが最大限によかったです。

とことんまでお笑いであり芸人さんであり、といったフジテレビらしいカラーに染まってたのは、本当に申しぶんない部分だと思うんです。昨今のバラエティの主流になってるような最新トレンド情報とか街歩きとかグルメとかの要素は徹底的に排除されてる。というより、はなから頭にない。“何の役にも立たない”“バカ騒ぎするだけ”のバラエティが延々と続きました。

岡村さんの番組終盤を飾るダンス企画や、実はめちゃイケで育ったというケント・モリの協力、地方局絡みのキッズダンスと、とにかくダンスがたくさんあった。芸人さんも深夜に「スリラー」を突然踊り出した。めちゃイケメンバーは「15の夜」でウエストサイドストーリーみたいになった。和田アキ子槇原敬之といったプロの歌、芸人さんの歌や楽器演奏、SMAPなどの歌があった。大久保さんのマラソンSMAPめちゃイケの水泳、矢部さんのサッカー、中居さんの野球、60歳付近の人たちの体力テストといったスポーツがあった。

「通し企画」っていうものが27時間テレビに必要なのかどうかわかりませんが、これも最近たまにあったドラマとかじゃなく、鶴瓶さんとナイナイのVTRだったのもよかった。最終的にはみんなで裸になったりして、ぼかしが入れられるからVTRである必要性が十分にあった。トークはもちろん即興コント、ダンスに歌にスポーツに、そしてドッキリに罰ゲームに、とまさに文字通りの「バラエティ」でした。


ちゃんと面白い場面にたくさん遭遇しました。

大久保さんのお友達としてマラソン中継に出てきた平田敦子さん。特に居酒屋シーンでの初見のインパクトは大変なものだった。高名な女優さんらしいけど、とにかく見た目です。

水泳での加藤浩次VS香取慎吾の8分間におよぶ騎馬戦は、単純に白熱しすぎて手に汗握る名勝負でした。

スタジオでのベテランたちのスポーツテストで、具志堅用高さんが走り高跳びで失敗したにも関わらず周囲を無視して暴走しちゃうのも面白かった。岡村さんが命名した「お笑い泥棒」もしっくり来ました。このコーナーではモト冬樹さんがバランスボール全然できないっぷりもよかった。

さんまさんが「フジテレビは絶対やめてはいけない」というたけしさんの火薬田ドンをはじめとする中継も名人芸でずっと続けてほしい風物詩の1つです。

早朝の本気ロックフェスは、あとで録画で見たのですが予想以上に楽しかったです。芸人さんたちがあまりイメージにない楽器を弾いてるのも新鮮だったし、次々と1人ずつテロップとともに画面に出てくる演出も気が効いてた。歌い手の人が登場する前の“煽りV”も楽しかった。鬼奴さんとRGのいつもの最高のやつ、渡辺直美による椎名林檎罪と罰」、ロバート秋山の「TOKAKUKA」、野性爆弾・川島さんのオチまでステージがおおむね爆笑できました。

劇団ひとりさんのおっぱいスピーチは激情に焦がされた感じ、構成、言語感覚、時事ネタの織り交ぜ方など、どれをとっても最高でした。最後にもう少し続きがあったようだったのにCMに入っちゃったのは惜しかったけど仕方ないです。

岡村さんの最後のダンスはこれまでの「めちゃイケ」を振り返り、吉本印天然素材を懐古し、矢部っちをダンスに参加させ、とてんこ盛りでものすごくよかったと思う。存分に予告されてたけどモーニング娘。OGとかゆかりのありまくる人がいっぱい出てきて集大成だった。

その途中、テツandトモと江頭さんと岡村さんが4人で「なんでだろう」を歌い踊りながらフジテレビの局内を駆けていく数分間があって、やってることは超くだらないんだけど、おじさんたちが真剣で楽しそうで、でもヘトヘトで、画面に疾走感とぐったり感が併存していて、総合的にどこでも観たことないものになってて、ちょっと嗚咽がとまらなかった。感動的だった。

大久保さんがマラソンのゴール目前でくじけそうになりながらも体力を振り絞って、ずっと静かに面白いことをし続ける、という渾身のボケは笑えました。

ほかに書き忘れてるけどいっぱいよかったところはありました。おつかれさまでした。


よくなかったところ

めちゃイケ」は本当に好きな番組だったはずなのですが、「めちゃイケらしさ」みたいなものが、だんだんつらくなってきてしまった。「すぽると!」で加藤さんを蔑ろにする。スピーチ中の出川さんを落とし穴にはめちゃう。中居さんが草なぎさんのギター伴奏で歌ってるのを止めちゃう。

どれも笑いのためには欠かせない演出だったのかもしれないし、落とし穴とかだってものすごく手間ひまかけて作ってるのはわかるんです。でも笑うよりも正直ストレスでした。一般的にドッキリ番組って、視聴者にもドッキリが予告されてるからいいんですけど、今回の27時間テレビではどれもそうではなくて、極言すると視聴者にとっても同時体験的なドッキリだった。

加藤さんのサッカー話、出川さんのスピーチ、中居さんの歌。どれも見たさや聞きたさが、仕掛けで生まれたオチや笑いの効果を上回っていて、好奇心のはしごを外された気になりました。似たようなパターンが続くことで、「またどこかで気を削がれるのでは?」という猜疑心が生まれ、安心して番組が観られなくなっちゃった。中居さんが野球のときグラウンドで落とし穴に落ちるのも、さっき出川さんのとき見たし、うーん、ってなっちゃった。

がっちり画面に気持ちをつなぎとめてくれませんでした。


来年で30回目!

なんかいろいろありますが、こんな番組はほかにそうそうないので、来年も今から楽しみです。第1回が放送されたのは1987年だったから、まちがいじゃなければ来年2016年で30回目になる。今年は出演しなかったタモリさんが第一声で「こんばんにゃ」と第1回放送の第一声と同じようなことを言ったりするでしょうか。どんな放送になるのか勝手に想像を膨らませるのも超楽しそうです。