てれびのスキマさんの「コントに捧げた内村光良の怒り」と高田文夫さんの「笑芸論」どちらも面白いという話

今年6月に発売された、てれびのスキマさんの「コントに捧げた内村光良の怒り」(コア新書)。確実に読むべきで、かつぐいぐい読み進めることができちゃう、テレビ好きの人にはもれなく本気でおすすめでしかない1冊です。

たとえばタイトルになってるウッチャンに関する描写。「とんねるずのみなさんのおかげです」の休止を受けて「誰かがやらねば」がスタートしたときの話とか、リアルタイムでその当時を生きていたとはいえ、まだ子供だったので詳しくは知らなかった。再発見みたいなものがいっぱい詰まってるので読む推進力になります。一度通して読みましたが、もう一度あらためて読むべきだな、と思ってます。


高田文夫さんの著書「誰も書けなかった『笑芸論』森繁久彌からビートたけしまで」も、たまたまスキマさんの本より少し前に刊行されていたので、立て続けに読みました。こちらは「爆笑問題カーボーイ」で爆笑問題の太田さんが推薦していたのが手に取るきっかけ。「ビートたけしオールナイトニッポン」立ち上げ時のエピソードなど、やはり驚くことばかりです。

主にさまざまな芸人さんの生涯や印象的なエピソードを振り返るという意味では、スキマさんの文章と書かれていることは近い。でもいろいろ違います。あくまで語られることの主体が高田さん自身にある、ということ。高田さんの体験が、そのまま語られる人たちのサイドストーリーとして成立しているんです。さすが「誰も書けなかった」というだけある。

「ひょっとしたらデータ的に間違いがあるかも知れない」みたいな雰囲気も漂ってます。いい加減なことは書いてないでしょうが、「記憶を頼りにしている」と謳っている。トークライブを聞きに来ているようなもので、大まかに合っていれば細かいことはいいです。

題材になっている対象が、森繁久彌三木のり平青島幸男渥美清……と少なくともリアルタイムな感じではないです。でもそれだけに若輩者にとっては驚きや発見ばかり。急に並べてしまったスキマさんと高田さんの本、著者の経歴もスタンスも扱われている人の年代もとことん対照的ですけど、どちらも共通して面白いです……と伝えたいだけの更新でした。