℃-uteライブいっぱい観た話

4月14日(土)から6月30日(土)まで行われた℃-uteの全国ツアー「℃-uteコンサートツアー2012春夏 〜美しくってごめんね〜」で℃-uteのライブをいっぱい観ました。
4月14日(土)初日の埼玉・サンシティ越谷市民ホールの昼公演と夜公演、4月22日(日)の東京・五反田ゆうぽうとホールの昼公演と夜公演、5月3日(木・祝)と5月4日(金・祝)の東京・中野サンプラザのそれぞれ昼公演と夜公演、5月20日(日)の神奈川・ハーモニーホール座間の昼公演と夜公演、そして千秋楽6月30日(土)の神奈川・よこすか芸術劇場大ホールの昼公演と夜公演。全21公演のうち12公演を観ました。初日をきっちり体験できたし千秋楽も本当に最高だったのでトータルでとてもすばらしかったです。
ざっくりまとめると今回のライブで披露された演目の山場は、オープニング4曲と本編クライマックスの6曲だったと思っています。
昼公演と夜公演で曲がほんの少し違っていたり、並び順が入れ替わったり、千秋楽にはBerryz工房が飛び入り参加して「超HAPPY SONG」が披露されたり、といった微動はあったものの、基本的には同じセットリストで3カ月間。そこを貫き通すだけの強力な曲の並びで、オープニングでは、アルバム前作のタイトル曲「超WONDERFUL!」に始まり、ハロー!プロジェクトモベキマスブスにならない哲学」のカップリング曲「かっちょ良い歌」、最新アルバムからの「ひとり占めしたかっただけなのに」、そして最新シングル「君は自転車 私は電車で帰宅」のカップリング曲「愛はいつもいつも」まで。どれも非シングル曲ではあるのですが、耳にする回数がいくらか少ないぶんかえって鮮度が保たれているようで、盛り上がりやすい4曲。常にたいへんな昂揚感でした。
本編クライマックスの6曲も圧巻。フラッグパフォーマンスが印象的な最新ライブの超人気曲「Midnight Temptation」から盤石の「都会っ子 純情」、わりと意外な選曲だった初期シングル「めぐる恋の季節」、そして絶対的に楽しい「Danceでバコーン!」を経て、鈴木愛理さんアカペラの歌い出しが圧巻かつタオルぶんまわし「青春ソング」と息をつかせぬ展開。ラストはバラード「君は自転車 私は電車で帰宅」でしっとりと、しかしハードに締める。ライブ終盤が盛り上がるのは既定事項とはいえ、それにしても30分ほどずーっと絶頂感が続くのは壮絶でした。
歌、ダンス、ルックス、スタイル、礼節、透明感、品のよさ、おちゃらけ具合などあらゆる意味で圧倒的完全体にある鈴木愛理さんが好きで℃-uteを観に行っているようなところが僕にはあり、どうしても彼女を主体にステージを観ざるを得ないのですが、いま℃-uteが観ていて面白いのがほかのメンバーがそれぞれ鈴木さんの実力に拮抗するかもしくは上回る職能を最低でも1つは持てていることで、お互いが高めあってる様子がよくわかる。岡井千聖さんのボーカルはときにホールの壁をぶち破らんほどの凄まじい迫力で鈴木さんと互角かもしくは上回るほどとも聞こえるし、リーダー矢島舞美さんの均整の取れた体格や人柄のよさ、抜きん出た運動神経、美人さんぶりは鈴木さんのたたずまいと双璧をなすものです。中島早貴さんの場の空気を瞬間的に察知して適切な舵取りを行うつんく♂さん言うところの「つなぎ粉」ぶり、そして完全に頭ひとつ抜きん出ている全身芸術のダンス能力は「遠くの鈴木より近くのナカジマ」という勝手に思いついた箴言を僕に刻みつけるほどの肉体美で誰をも魅了するし、結果トークでもっとも笑いを取る萩原舞さんのボキャブラリーは鈴木さんもたしか尊敬しているみたいなことを言っていたし……といったあたり五位一体となって見事にグループシップが発揮できているというのがある。あと全員かわいい。
℃-uteのみなさんが「ハロー!プロジェクトキッズ」の一員となってから10年が経ち、実際に今たとえばおっさんみたいな喩え方をするとダルビッシュが日本でもメジャーでも完封を志して実際それを実現させているような絶頂期をここ数年迎えているのと同様、℃-uteのライブも12公演観てもまるで球場で引き締まった投手戦を見ているかのように錯覚させられるほど失点なく実に手堅く完成されている。アイドルは発展途上の成長ぶりや未完成なところを補完するのが面白いみたいな考えもよくわかるのですが、℃-uteはその豪腕ぶりが面白くないというとそんなわけでもなく、なによりその立脚点として超かわいいみたいなところがある上、MCにしろ鈴木さんのヘラヘラ顔や滑舌などどっかこっか抜けている部分はあって心許せるんです。
あと「Midnight Temptation」での難易度の高いフラッグパフォーマンスには、ツアー開始当初から賛否両論あったりしました。フラッグの空中放り投げ受け渡しみたいな素人目からも難易度の高げな技の成功確率がやはり圧倒的に低く、たしかに成功したときはたいへん盛り上がっていいのだけど、僕が観た12公演中でノーミスに思えたのはたしか1回か2回あるかないかくらい。テレビ東京ハロプロ!TIME」やツアーグッズのDVDで見ることができた稽古風景もなかなか壮絶で辛そうだったわけです。中島さんできなすぎて泣いちゃったりして。でも、これもまたおじいちゃんみたいな喩え方をすると歌とダンスだけまともに完璧にやっていても往年の横綱北の湖みたいに勝って当たり前というのが続きすぎて土俵が面白くなくなっちゃうからあえてフラッグパフォーマンスをまぶすことで不確定要素を欠かさないようにしたのかしら、という気もしています。
ほっこりする部分では、ラスト大盛り上がりの前の鈴木&矢島2人っきりMCの品行方正さというのがかけがえのないものでした。基本的に2人が届けてくれる内容はベリキュー合体曲の告知と終盤に向けての客席煽りなんですけど、とても10年選手のアイドルのライブとは思えない品のよさで毎公演ものすごくよかった。やれ「雨女」だの「汗すごい」だのと、ここぞとばかりに無邪気に矢島さんをイジる鈴木さんのいたずら心と、そのあたりをさらっと笑顔で交わすリーダー矢島さんの度量の広さ。この2人のアコースティックライブDVDは本編もさることながら副音声もずっとしゃべりっぱなしですばらしいです。
あと即興芝居の「美しく演じましょう」のコーナーはアドリブでちょっとした芝居を演じる体裁になっていて、これも不確定要素の一種かも知れない。岡井ちゃんとか自分で綺麗にオチをつけた後「ねぇ、千聖の今のオチ超うまくなかった!?」などとほかのメンバーに意気揚々と同意を求めたり、逆に真っ向からグダグダなときはオチもなにもないままタイムオーバーみたいな感じで強制的に打ち切られたりするので、ほんとに台本なしの一発勝負でガチなんだなと思いました。
最新の記憶としてはやはり千秋楽です。これはまたツアーでやってきたこととは別腹なのかも知れないけど、「ひとり占めしたかっただけなのに」「都会っ子 純情」「いざ、進め! Steady go!」の3曲で昼夜ともそれまでなかったファイヤーの特効がイントロとかサビのリズムに乗せてどっかんどっかん上がって熱波が客席に伝わってくるのもすごかったですし、「Danceでバコーン!」の最高潮の盛り上がりの中で金銀テープがホール内に鋭い発射音とともに噴出された瞬間は、ほんとにヘブン状態というかちょっとどうにかなりました。
アンコールも夜公演では、今回Berryz工房が特別に出てくるサプライズがあって、まずそれが見せ場の1つ。さらに「いざ進め!SteadyGo」が終わり、そのインストが流れてハケた後で会場が明転して「以上をもちまして、本日のコンサートはすべて終了いたしました」的な場内アナウンスが流れ始めたんですね。ただ、この公演ばかりは、そのアナウンスの声を打ち消さんばかりのまるで怒号のような℃-uteコールが巻き起こった。なにかというとダブルアンコールへの渇望。夢をもう一度。明転してアナウンスが流れているにも関わらず、です。もう客の声の大きさで力ずくでねじ伏せるというか。僕も熱気の渦に巻き込まれるように、ライブを終わらせたくない一心で℃-uteコールに全力を注ぎました。そしたらノープランで℃-uteメンバーが舞台下手からひょこひょこ出てきて「美しく演じましょう」のコーナーの続きをやってくれた。矢島さんも「帰りたくない!」とか言っちゃって。嬉しかったです。
あんまり絶賛一辺倒だとかえってウソっぽくなっちゃうので、ツアー全体通して「ん?」と思っていたことをちょっぴり挙げてしまうと、最新アルバム「第七章『美しくってごめんね』」の楽曲が全体的にどれも弱いのがずっと気になったままで、それも含めて中盤の曲目がちょっとハマりきれないというのもありました。あと「ズンタカマーチ〜人らしく生きよう〜」は、ファンの人が乗りにくそうみたいな理由で途中から突然振り付けが簡単なものになってしまい、そこはファンの顔色を伺わずに振りつけの難易度をあげるくらいのほうが面白いのにな、と思いました。あとこれは僕が過敏なだけかも知れないけど、周囲のファンの人たちがサイリウムを過剰にぶん回していたり、リズム感なくびょんびょん跳ねていたり、振り返って2階席の様子ばかり気にする人が目の前にいたり、みたいなごく一部の挙動がいちいち視界に入っちゃうのがまいりました。そのあたりを解消するにはもう最前席で見るしかないんですけどね。はい愚痴おわり!
大画面のモニターが設定されていなくても、1階席はもちろん、よこすか芸術劇場の一般発売でうっかり手にしてしまった5階の天空席まで、どの客席でもとにかくおもいっきり楽しめました。℃-uteが魂からギュッと凝縮して同じ方向を向いてステージに立っているのは本当によくわかったし、その熱気で客席側をしっかり巻き込んで没入させてくれる。なにが僕を℃-uteライブに導くかといえばそのパワーと歌心とダンスとひたむきさと安定感とバランスとグループシップと楽しさと、今になって鈴木愛理さんが圧倒的だからという部分に落ち着くんですけど、とにかくやってることに基本的にはまちがいないので次のツアーがあるとすればまた何度も観に行きます。

Blu-rayが8月15日に発売。注文しました。