グラビアアイドル吉木りささん人気の秘密

吉木りささんのどこがそんなに魅力的で、なにが心を突き動かすのか。
いつもその感覚的な心地良さにひたすら甘えて浸るばかりで、逐一言語化していない。
ぼくは吉木さんが総合的に好きすぎるため、芸能史に脈々と受け継がれる「グラビアアイドル」の系譜の最先端に吉木さんが新星として姿を現した、というより、吉木さんをぼんやり追っかけていたら、たどり着いた地平がたまたまグラビアの世界だった、という気分のほうが強い。また吉木さんを基準に見ているので、吉木さんのやってることが当たり前だと思っている。でも、評価する人によってはナンバーワンと断言してくれる方もいる。真実一郎さんとか。もちろんファンとして嬉しいは嬉しいけど、若干キツネにつままれた気持ちはある。
先日発売された月刊誌「EX大衆」(双葉社)9月号に掲載されている「さらば、グラビアアイドル−それでも、彼女たちは復活する−」と題した特集。「グラビア界の超新星 吉木りさかく語りき」と銘打たれたインタビューの中で、吉木さん自身、ふしぎがっている。

−−−−ご自身が支持される理由は何だと思いますか?
いつも不思議でマネージャーさんと首を傾げてます(笑)。でも私があまりにも普通で、逆に近所のお姉さんみたいに親近感を持ってもらってるのかなって思います。

吉木さんは自分の人気の理由を「近所のお姉さんみたいな親近感」と自己分析している。ほかのインタビューでもたしかそんなことを言っていた。
もちろん、人となりをちょっとでも知ると、それも十分わかる。お姉さん感もあるし、矛盾してるようだけど、同時に妹感さえ兼ね備えている。
とはいえ、顔立ちやスタイル、びしびし決まるポージング、などといった外見的な水準の高さが評価の大部分を占めていると考えるほうが妥当だ。一瞬一瞬を切り取るグラビアの世界、紙面わずか数ページがそのアイドルの存在する世界のすべて。そこに「近所のお姉さん」的な部分が顔を覗かせることは、そう多くない。「Quick Japan」vol.96で吉木さんも好きな梅佳代さんに撮影してもらった写真はたしかに見事なまでに「お姉さん」を体現しているが、それこそその特集のタイトルにもある「まだ誰も見たことのない、吉木りさ」。水着も身につけておらず、グラビアで見せる標準的な姿ではない。

クイック・ジャパン96
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「グラビアの世界でAKB48と対抗できる唯一のアイドル」などと言われることもある吉木さん。上述「EX大衆」もそのスタンスで吉木さんが扱われていた。昨年2010年3月発売のDVD「セキララ*彼女」をきっかけに、さまざまな雑誌を彩り始める。今やコンビニの棚を覗けば表紙やグラビア至るところに顔を見せ、その名前はじっくりじわじわ着実に浸透している。
AKB48が圧倒的な売れ方をしている現状、彼女たちが雑誌グラビアを席捲するのは道理だとも思う。ゆきりんもこじはるも実際みんな素敵。でも人数が多いぶん、クオリティ的にはどうしても安定感に欠けるし、露出度的な部分でも物足りなさを覚える人は多いと思う。
そこで対抗馬としての吉木さん。思い切りよく、大胆に攻めて、かつやりすぎず、やわらかく、上品に。もう大人なので、スタッフの人たちともある程度は話し合いを持った上で撮影に臨むことができる。撮られながらも、きっちり俯瞰できている。
吉木さんとAKB48のグラビアが目立ち始めたのは、ともにおおむね2010年夏あたりから。現在もそれは継続中だ。「GQ JAPAN」2011年9月号の特集「グラビアアイドルたちの逆襲」で、吉木さんはこう語っている。

グループアイドルが大ブームでグラビアアイドルの活躍の場が減っているのは困ったもんだと思いますが

「困ったもんだ」という言い回しがいかにも吉木さんらしい……というのはひとまず置いておいて、実は吉木さん人気の一端は、こういった「グループアイドル大ブーム」という時の運も意外と味方しているように思う。吉木さんも「キャンパスナイトフジ」の「キャンパスナイターズ」の一員だった。昨年2010年の「週刊SPA!」の「グラビアン魂」に初登場を果たした際、みうらじゅんが印象的な言葉を紡いでいる。

この人は深夜番組の「キャンパスナイトフジ」に出てたんだってね。でも、ああいう番組に出てる女の人って、オレは「怖い」んですよ。女だらけって、オレみたいな男は怖くてフニャフニャになります。(中略)大勢いると一人一人には焦点が合わないでしょ。でもこうやて一人だけで見ると、安心して、すごく可愛いのがよくわかります。

あくまでキャンナイからの流れがあった上で、現在ソロでいることがきっちりプラスに働いている。ましてや「対AKB48」という構図を描く人がいる世の中、判官贔屓なグラビアファンの心をくすぐっている。吉木さん自身はももいろクローバーZさんをはじめ、グループアイドルにも十分理解があるので、そんな構図も外野が見立ててるだけ、というのもまたいい。
17歳で芸能活動を始めた吉木さん。こと水着の仕事に関しては、デビュー当時こそ写真集やDVDをリリースしたし決してゼロではなかったものの、20歳を超えて2009年に「キャンパスナイトフジ」で大々的に“解禁”されるまで、ご両親からのお許しが出ていなかったらしい。「週刊大衆」2011年3月28日号インタビューで明かされていた。
いま吉木さんを猛烈に推している「週刊プレイボーイ」は、今年2011年3月の段階で「驚異の新人・吉木りさ」との見方を提示している。

デビューから6年も7年も経過しているアイドルさんを「新人扱い」するってどうなんだろう、と不思議に思ったりもしたけれど、たしかにグラビアアイドルとしての吉木さんがそう捉えられても不自然ではない。娘を慮るご家族の気持ちが今まさに巡り巡って、結果的に「遅咲き」とも言えそうな吉木さんの一社会人としての自立した躍進を後押しする結果となった。
先月7月5日発売の「FLASH」には、5人のカメラマンによる吉木さん評が、彼らが撮影した“ベストショット”とともに掲載されている。これらの貴重な証言から、吉木さんがグラビアアイドルとして支持される理由の一端が伺える。
樂滿直城

振り返りのひねりや曲線の出し方などポーズがうまく、こうしてほしいという撮る側の意図を汲み取ってくれる。あと、しっかり者のイメージがあったので、話し声がすごく可愛く思えた。そういうところがいいのでは。

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中山雅文

決め決めじゃないナチュラルな表情を撮りたくて。彼女はカメラとの距離感が抜群なんです。プロっぽくないというか、もしかしたら手が届くかもという楽しい勘違いをさせてくれる。今回も予想以上の笑顔をくれました。

宮澤正明

スレンダーなボディとウエットな皮膚感、流れるようで緩い動き、ときおり見せる甘い視線。非日常的な白昼夢が脳内に浸食してくるようだ。たしかな肉感と、現実を超越した色香が同居する彼女が誘う世界はまさに夢幻。

佐藤裕之氏

このDVDシリーズ(「セキララ*彼女」)は、撮影が夜中に及ぶようなハードな現場ですが、常に笑顔でこなすだけの精神力がある。なので、逆にこちらが励まされることも。それに、やらされてる感もなく現場を自分のモノにしていますよね。それが数字にも表れているんだと思います。

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西條彰仁氏(その1)

彼女は、すごく普通っぽくて身近な存在に感じるところがいい。可愛いんだけど、おっちょこちょいなキャラに隙があるというか。この撮影では、目隠しをすることでより隙を感じさせることができる。それが狙いです。

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西條彰仁氏(その2)

1年かけて撮った写真集(「赤裸々-せきらら-」)。少しずつ自信をつけて存在感を増していったと思います。茶髪や濃い化粧をしているイメージがなく、極めて素朴。色のつかないシチュエーションで素をそのまま出させるのがいちばんだと思う。

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被写体としての吉木さんと、もっとも近いところで対峙しているカメラマンからの高評価。一元的ではなく、ポージングのテクニカルな部分から、現場での立ち振る舞いまで、多角的に褒められている。こういう積み重ねが、次の仕事につながる大切な足がかりとなっていることは想像に難くない。
吉木さんの仕事に対する真摯な姿勢、素朴で朗らかな人間性。グラビアはもちろん、そこに留まらない幅広い活動領域の中で、本人が半ば自覚的に提示してくれる「近所のお姉さんみたいな親近感」の果たす役割は、今後ますます大きくなっていくと思う。