「金スマ波瀾万丈」後藤真希全告白、大丈夫じゃないけど大丈夫

7月23日(金)に放送された「金スマ」2時間スペシャル。がっつり後藤真希特集でした。
母親との関係を軸に、東京下町のちゃきちゃきな家庭で育ったことや、悲劇の始まりともいえる父親の山での転落死、モーニング娘。期の活躍、弟のデビュー&引退とそのあげくの逮捕、そして今年1月の母親の死まで、再現VTRと本人証言をもとに半生が紹介されてました。
本当にむごい話ばかりで、一ファンに出来ることなんて何も無いような気がします。常人には及びもつかない最大級の成功と筆舌に尽くしがたい苦難を経験した人に対して、わかったような言葉をかける理由はつゆほども見当たりません。
しかしごっちん、どうやら笑顔を失っていない。
ロケで見せる表情とかはごく自然なもので、銀座の母との手相占いも頭はたかれたりしながらニコニコしてて、すごくよかった。こないだ「MUSIC JAPAN」(NHK総合)でもPerfumeSKE48といっしょに流しソーメン食って笑ってました。ハロプロ時代はそんなふにゃ顔も魅力のひとつでした。
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金スマ」で今言えるであろうことのほぼすべてを語ったごっちん。でも芸能活動という点ではひとつ「ハロプロでのソロ時代の後藤真希」がほぼスルーされてました。
それはおおまかに言えば、2003年4月にスタートした1stライブツアー「ゴー!マッキングGOLD」から、2007年10月のツアー「G-EmotionII」最終日でのいきなりのハロー!プロジェクト脱退表明まで。
ごっちんファンには少なからずソロ時代に熱狂した者が大勢いて、ぼくもそうなんですが、しかしこの期間は一言でいえば「低迷期」ってことになるらしいんですよね。どうやら。
今の所属事務所のavex松浦社長が番組内のインタビューでこう語っていました。

モー娘。も終わって(卒業して)
で、ソロの活動もしていたけど、
さほど昔ほどは
ま、言っちゃ悪いですけど
目立ってたわけでもなかったんですけど

世の中のイメージ的にはそうみたいだし、ごっちん自身もソロでリリースするCDの売り上げがどんどん下がっていくのに怯えていた。それは雑誌「GLAMOROUS」2010年7月号のインタビューでも語られていたことです。

GLAMOROUS (グラマラス) 2010年 07月号 [雑誌]
おすすめ度の平均: 3.0
4 後藤真希の豊乳が目的
1 グラマラスはどこへ
4 後藤真希ファンなら”買い”でしょう!

でも、ソロライブを重ねるたびに、あれだけファンを熱狂の渦に巻き込み、一時期はソロで武道館コンくらい簡単に成功させてくれるんじゃないか? くらい夢見せてくれたごっちんの活動が、芸能アイドル史の中では結局「目立ってたわけでもなかった」でまとめられてしまうのは、単純にもの悲しい。
経験値を重ねるごとに、歌もダンスも、ちょっと手がつけられないほどのレベルに達していた。MCのフリートークも、それまで台本どおり進めるのが基本だったハロプロ内では、ごっちんのソロコンが先鞭をつけたようなところがある。
しかし、そうやってあれこれ習熟すればするほど、がんばればがんばるほど、(少なくとも数値的なことだけで見れば)低迷の一途をたどる、というおかしな結果につながってしまいました。
未完成で頼りなく、幼くて新鮮で、何色にも染まらない……そんな生まれたてほやほやなアイドルにより吸い寄せられる、というのがアイドルファンの習性だとは思います。鋼の肉体を手に入れたごっちんから次第にお客が離れていくのは、実は道理ではありました。完全に皮肉で不条理なことだけれども。
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じゃあこの先、ハロプロから抜けだしたごっちんは、いったいそこをどう昇華していけばいいのだろうか。超むつかしい問題です。
曲はいい曲もらってる気がします。
たとえば今回「金スマ」ラストに歌ってたバラードの「華詩」。後藤真希の作詞だそうで、しかも一度歌詞は出来上がっていたものの、この曲のレコーディング直後のタイミングで母親が亡くなってしまい、今完成したものはあらためて歌詞を書き直したものらしい。あまりにも意味が重すぎて到底真正面からは受けとめきれない。
でも、そこには今歌うしかない理由がちゃんとある。最悪もう売れなかろうがなんだろうが関係ないです。「金スマバージョンの華詩は歌声もつややかでしたし、なによりビジュアルが爽やかですごくよかった。
この「華詩」が収録されているミニアルバム「ONE」は7月28日収録なんですが、YouTubeとかで聞くかぎり、たとえば「告白」や「EYES」という曲がステキです。これがavex色まるだしなのかどうかはavex曲よく聞いてこなかったからよくわかりませんけど、歌声とかイメージとかひっくるめて本人のやりたいことがすんなり融和してるようです。こういう曲どんどん欲しいです。
・宝石

・EYES

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金スマ」本編のラストには、ごっちん本人の口からこんなことが涙ながらに語られてました。

いまは、うーん
……「がんばりたい」と思ってるんですよね。
うん。
……ははは(微笑)
そうですね、がんばりたいと思ってるんで、
だから、なんていうんだろ
……うん。
……「よかった」と思えるような、感じに、まぁ
……まぁ「芸能界に入ってよかったな」
と思えるようなふうに自分でしていく、
と思ってます

ここまでさまざまなものを失ってなお、「芸能界に入ってよかったなと思えるようなふうに自分でしていく」。
下世話な話、なにより目先の収入、お金のことは現実問題として当然あるだろうから、簡単にはリタイアは出来ないのかも知れない。しかしいくら巨万の富を得たからってどうにもならないってことは、誰よりも本人がいちばん知ってるはず。
それでも今はまだ芸能界。
ファンとしては、根本的な意味では本当に何ひとつしてやれることがないという無力感に苛まれながらも、すごく表面的かつ基本的なこととして「応援するよ!」というスタンスを愚直に取り続けるのが、これまで楽しませてもらったことに対する、せめてもの報いな気がします。
来週31日土曜日に渋谷タワーレコードでイベントがあるんです。まずは会いっぱぐれないよう、今日いまから「ONE」の予約をして整理券もらってきます。これまで大スターさんでなかなか間近で見られなかったのが、今はとりあえず見られるわけだし、なによりもあのごっちんだぞ! というワクワク感は今でもものすごくある。

ONE(DVD付)
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