「笑っていいとも」月曜レギュラーはアルタの中心でタモリを叫んだ


フジ系「笑っていいとも!」は既報のように 13 日放送分から一週間、司会のタモリが不在となる。2001 年にゴルフボールで目を怪我して以来の長期休暇。はたしてレギュラー陣は主不在のイレギュラーな事態に瀕して、ここぞとばかりにのびのびと生放送をこなすだろうか。それともその不在をあらためて噛みしめることになるだろうか。番組の様子を逐次レポっていく。

以下、13 日放送分。

オープニング

時報が鳴り、オープニング。いいとも少女隊の歌や踊りはいつもどおり。衣装も先週と同じ。渡辺直美の髪形はいつも変。

やがて普段タモリが出てくる階段から、レギュラー陣がぞろぞろと列をなしてちょっと駆け足で登場する。香取慎吾はじめ、石原良純、ガレッジセールのゴリと川田、劇団ひとり南明奈の順。月曜担当の松尾翠アナひとりだけがとりあえずハンドマイクを握っている。

石原良純は最年長だからしっかりしろ」的ないじり方を端緒にして、芸人勢の主導で、なんか小学生みたいにドタバタはしゃぎ転げ回るくだりがあった。タモリ間寛平をゲストに迎えたときによくあるようなじゃれ合いだ。ゴリは乱れたピンマイクを装着し直しながら川田と共にオープニングコーナーの進行に入る。

この日始まるという月 9 ドラマ宣伝のため、山下智久北川景子相武紗季が登場する。いいともにはこの番組宣伝にかこつけた力業があった。ある意味ドーピングとも言える。スターさんたち(特に山 P )の登場にアルタは甚だしく盛り上がる。しかし、ここから徐々に不穏な空気になっていく。

月曜オープニングは素人のおばちゃんがなんか「ミセスガーリー」とかいって若作りして出演するコーナー。これが著しく盛り上がりに欠けた。山 P とか出現した瞬間最大風速のあとでは、どんなおばちゃんが登場しようがネタとしてあまりにも小さい。劇団ひとりはカメラに向かって一発「タモさーーん!」と救いを求めて咆哮する。

容姿端麗ゲスト俳優陣もコメントが控え目かつ声のボリュームも抑えめ。そんな態度が皮肉にも会場のテンションをよりいっそう下げることになった。香取慎吾もあんまりガツガツいかないタイプだし、石原良純南明奈もほとんど空気になってる。とにかく笑いが起きない。ゴリもたまらず「タモさーーん! カムバーック」と吠えた。たとえ冗談めかした物言いとはいえ、お笑い芸人として、妙に腰が引けている態度のように思えた。

テレフォンショッキング

「テレフォンショッキング」は香取慎吾がひとりで担当した。冒頭の「そうですね」のやりとりもほぼタモリの完コピ。やりとりの最後にアルタの客がリアクション取りにくいこと言って「勝った…!」とか勝ち誇るような最近の傾向までコピってる。コーナーの土台は固定されているので、たとえタモリが休もうが、そのままコージー冨田ライクに進行するのが得策のようだ。これから月から金までの代理司会がタモリ流をそれぞれどう崩し、あるいはどう真似るかを見るのもたのしみ。

そして肝心のゲストは先週金曜日の高木美保からのつながりで「デーブ・スペクター」だった。よりによって、というべきか。あるいは勝手にペラペラ喋ってくれるから助かる、というべきか。デーブはさっそくこのコーナーについて『テレフォンショッピング』と呼ぶなど、まるで昭和の番組草創期にタイムスリップしたかのようなボケにもならない化石のような繰り言を述べていた。

それでも香取慎吾との共通言語としてマイケルジャクソン話でなんとか場をつないでいた。デーブはたまに本当に平気で意味のわからないことを言うが、このあたりはタモリが司会でも結果的に同じようなことになっていた気がする。「 100 分の 1 アンケート」は「マイケルジャクソンをナマで見たことがある人」という設問で、結果「 2 人」でハズレてしまった。とことん報われない日ということかも知れない。

デーブからつながる14 日火曜日のテレフォンゲストは「泰葉」になった。タモリ不在時になんというチャレンジ。80 年代の「フライディ・チャイナタウン」なシンガーソングライター時代に泰葉がテレフォンに出てる映像を YouTube で見たことある。このときは泰葉がまちがって一般人に次のテレフォンをつないじゃうハプニングがあった。古くから親交があるタモリがいれば思い出話で盛り上がることもあるだろうと思う。ここ一年ほどのスキャンダラスな泰葉について云々ではなく。

火曜日のテレフォンの進行は順当に中居だそうだ。対談のマッチングとして、タモリ、中居、泰葉、それぞれ誰の立場から見てももったいない気がする。

メインコーナーといいとも選手権

後半コーナーは終始「 100 人アンケート」が行われた。アルタの女性客に聞いたアンケートの回答の数字をどんどん減らしていけばいいというもの。ゲームとしての定型があり、また普段と同じように香取慎吾が進行するわけで、タモリ不在にさほど違和感は無い。オープニングから引き続き山下・北川・相武の 3 人も登場。

コーナーで失敗した出演者はニガいお茶を罰ゲームで飲まされる。失敗したのは南明奈北川景子のふたり。お茶を飲んだ瞬間、南明奈は歪んだ表情で悶絶し、北川景子は「あッ!」とか艶っぽい声をあげた。またゲームの流れとは無関係に、いいとも少女隊の渡辺直美がなぜかコーナー冒頭に毎週テストとして必ず飲まされており、今日もカメラを歪ませんばかりの絶品の顔芸を見せつけてもいた。今日のクライマックスはこのお茶リアクション三者三様だったかも知れない。

「曜日対抗!いいとも選手権」は今週中止するようだ。別に無きゃ無いでエンディングの告知コーナーだけこなしてしまえば、たしかに体裁は整う。時間調節をするにしてもトークで誰かが適当に場をつなげばいいからさほど難しくもないはず。

こうなるとわからなくなってくるのが「いいとも選手権」の存在意義だ。時間の埋め合わせという以外、いったい何のためにやってるのか立ち止まって考えさせられることになる。「爆笑オールスター・タモリンピック」以来、たとえ当時の超主要レギュラー・明石家さんまがこの曜日対抗ゲームに不満を漏らそうとも、それでも「いいとも選手権」に名前を変えて延々と続いてきた。とにかく続けたいらしい。

Wikipedia の「いいとも選手権」の項目に、その歴史の概略が載っている。90 年代半ばに「いいとも選手権」のない時期が 2 年ほどあった。

1995年10月2日にスタート。前身は1990年4月2日から行われていた「爆笑オールスター・タモリンピック」であり、1993年10月1日に同コーナーが終了してから2年間はゲストの宣伝等の時間に充てられていた(コーナー復活の際にコーナータイトルが変更されたのは、IOCJOCの意向による)。

ちなみにこういう「いいとも豆知識」を飲み会の席で得々として披露しても何も良いことはないです(実体験より)。


これまで二十数年ものあいだ、「いいとも」流のマンネリ・定型は、タモリとほぼイコールで結ばれてきた。何の目的があってやってるのかわからないことが傍目からは多く、今さらそこに理由を見出すことは難しい。タモリに言わせると「特に意味はないよ」が答えかも知れない。

タモリの不在は、いつもは目に付かなかったタモリ独自の流儀を炙り出している。劇団ひとりやゴリが及び腰で咆哮した「タモさーーん!」は、タモリの存在ありきのいいともワールドの中ではむしろ必然的に沸き起こった「悲鳴」だったのかも知れない。