アーティスト「泰葉」とは何者か


正直知りませんでした

11 月 3 日は文化の日ということで、せっかく無職になったことだし、あり余るこの途方もないヒマ時間になにかちょっとでも文化的なことをしようと考え、今回は「泰葉(やすは)」について深く思い巡らせてみることにした。

春風亭小朝との金屏風離婚会見がワイドショーを賑わせた 2007 年 11 月のそのときまで、ぼくはたいへん浅学無知ながら「泰葉」という人のことを、もうまったくまるで存じ上げなかった。そのときになって初めて「泰葉? 名字は??」とくだらない反応を示した次第だ。

もちろん家系的には類い希なる芸能一家に名を連ねていて、林家三平海老名香葉子の二女であり、海老名美どりの妹であり、林家こぶ平正蔵)や林家いっ平(次代の三平)の姉であり・・・。となれば必然的に峰竜太の義理の妹になるわけで、あげく、小朝の妻であった。

もう皇室にも引けを取らないほどファミリー的にフィーバーしまくっている。

こんな調子ならおそらくどこかのテレビなり雑誌なりで一度くらいはチラ見したことがあるはずなのだけれど、個人的にはなぜか完全にスルーしたっきりであった。結婚以来、ほとんど表舞台から姿を消していた、という事情もあるにせよ、今となってはこっ恥ずかしいかぎりである。

またそんな泰葉がかつてシンガーソングライターだったことも、そして「フライディ・チャイナタウン」というヒット曲があったことも、どこかにわかには信じがたい絵空事のようだった。かように突如として目の前に出現した(ように見えた)泰葉は、個人的には年齢のわりにやたら若作りだったり、離婚をふまえてわけのわからないキレぶりを見せつけていたりと、とにかくろくな人ではなかった。

ただ、そのようなイメージをど素人に植え付けたお騒がせっぷりは、 2008 年も終盤にさしかかった今に至るまで断続的に続いてはいるものの、とりあえず小朝との罵り合いみたいなものに関しては収束の方向に進みつつあるらしい。いつ再燃するかはわかったもんじゃないし、なんか谷村新司のマネジメントとも一悶着あったようだけど、蟻地獄のような大人の事情はひとまず無視することにする。

あくまで文化の日ということで、ここでは特に「アーティストとしての泰葉」に焦点を絞って、一夜漬けでネットで得たあらんかぎりの知識のあれこれを、得意満面にひけらかしていくことにします。

音楽的な経歴

みんなだいすき wikipedia にも泰葉に関してはいろいろ書いてある。

幼少のころからクラシックを学ぶ。東京都立芸術高等学校卒業。東京芸術大学音楽学部への進学を志望していたが、他の音大も含め不合格となり、浪人を選ばず進学を断念。その後、春風亭小朝と婚約中の1988年に桐朋学園大学音楽学部に入学(後に中退)(同年6月結婚)。


音大進学の失敗を機にクラシックから足を洗いジャズなどポピュラー歌手に転向する。

公私にまつわるゴダゴダは黙殺して、あえて音楽的な経歴のところだけ抜粋してみると、一見華やかな幼少時代を経ながらも進学については芸大音大を軒並み落ちたりと挫折があったようだ。

クラシックの素養があることにミュージシャンとしての地肩の強さを見る。

テレフォンショッキングに一般人が出ちゃった伝説の発端

さっそく話は音楽的なところから逸れるけれど、wiki に泰葉の「笑っていいとも」にまつわる読み捨てならないエピソードが載っていたので、備忘録代わりに転載する。

1984 年 4 月 23 日、『笑っていいとも』のテレフォンショッキングに出演した際、泰葉が「お友達紹介」の際に誤って一般人に電話をかけてしまい、タモリが冗談で「明日来てくれるかな!?」と問いかけたところ相手が「いいとも!」と答えたため、その次の日から3日間、本コーナーの前に一般人がゲストのテレフォンショッキングが行われた。

この伝説自体は聞いたことがあったけど、まさかその発端が泰葉だったとは!

それにしても「誤って一般人に電話をかけてしま」ったというあたり、はたしてそれがいわゆる「計算」なのか「天然」なのかわからないにせよ、そのあたりの煮え切らない違和感すべて引っくるめて、今に通じるふしぎな泰葉の味わいである。

フライディ・チャイナタウン

1981 年のヒット曲だという「フライディ・チャイナタウン」は、抑揚が激しくてパワフルでディスコティカでポップな曲。なかなか推せる。シンガーソングライターというだけあって作曲は泰葉本人の手によるもの。

こないだ NHK の「第 40 回思い出のメロディー」生放送で歌ってるのをたまたま見ていたのだが、キーボードを弾きながらステージの高台から歌い上げるさまが、いかにも 80's ジャパニーズシティポップな味わいで堂に入っており、ちょっとおトクな気持ちになったりした。

あと歌詞の表記的には「フライディ」は金曜日の「 FRIDAY 」ではなく「 Fly-Day 」なんですね。金曜日の夜に異国の地に派手にドーンと飛び出すみたいな意なんでしょうか。こじつけのような気もするけど、そのあたりのいい加減さもいかにも昭和歌謡なニュアンスです。荒木とよひさ作詞。つんく♂っぽいにおいも大いにする。



フライディ・チャイナタウン
作詞: 荒木とよひさ 作曲: 海老名泰葉 編曲: 井上鑑

ありがとう山崎邦正

忘れちゃいけないのは「ダウンタウンガキの使いやあらへんで」で毎年恒例になっている「山ちゃんガキ使やめへんで」ドッキリ企画のことで、もう別に誰に対しても何のドッキリでもなく、単に山崎邦正の変顔、泣き芸、歌い手としての達者ぶりを年に一度確認するための行事としてぼくはいつも愉しみにしてるんだけど、2008 年 3 月放送で山崎邦正は泰葉になりすまし、「フライディ・チャイナタウン」の替え歌の言うなれば「山ちゃんやめへんでバージョン」を披露したのだった。

さっき久しぶりに見返してみたら大いに笑えたので貼っておきます。



フライディ・チャイナタウン 山ちゃん ver.

「♪ガキ使 やめるの 嘘やで ダウンタウン」のくだりが最高すぎる。顔も激似だ。

歌手として

YouTube ついでにもう一個紹介しておこう。タモリの「今夜は最高!」に泰葉が出ている回。

若き日の垂れ下がったグラサンのタモリが当たり前のように管楽器を演奏していたり、作曲家で指揮者の山本直純(とうに故人なんですね・・・)がいろいろはっちゃけてたりしてるのが時代を感じさせるが、そんなふたりに挟まれて泰葉もまっとうな音楽的ゲストとして矢野顕子のモノマネをしたり、あとやはり「フライディ・チャイナタウン」を歌ったりしている。

その他にもいろいろ短時間で歌に演奏に笑いに濃いことをやっている。いい番組すぎる。



1985 年の「今夜は最高!」

今後の泰葉

直近の各スポーツ紙サイトに詳しいが、たとえばサンスポによると、泰葉は本格的な歌手復帰を企図しているという。

新曲『お陽様よほほえんで』をひっさげて、来たる 4 日放送の TBS 系「キミハ・ブレイク」でさっそく生歌唱するらしい。その後、同曲をまずネット配信の形式で発売し、12 月には CD でリリースするのだとか。

や、ワイドショーを賑わせているおばさんタレントという色眼鏡で括って見れば、そんなものは梅宮アンナが自伝を出版したとか神田うのがどこそこのパーティに出席したとかと同レベルで取るに足らない動向に過ぎないのかも知れない。

しかしネット動画の恩恵にあずかって遥か昔に遡ってその人の『ありし日の』仕事ぶりに触れてしまうと、いくらブランクがあろうとも、なまじ当人の意欲が衰えてないように見えるだけ、ほんのちょっとだけ「新曲」ってやつに期待しちゃたりもしている。

サンスポによれば『明るく前向きなミディアムテンポの歌謡曲に仕上がっているとか』とかとか。実際に歌ってるのを見てみて聞いてみて、ま、こんなものかと今までと変わらない日常を過ごすもよし。それでいて、万が一、ということもあるわけで。

期待しないで期待したい、今後の泰葉の音楽活動である。頻繁なトラブルとかに関してはあんまり母親・海老名香葉子をぐったりさせない程度にして欲しい。



最後に、2006 年、離婚とかで騒がれる前年にレコード会社主導のベスト盤が出てんのね。たしかに一歌手であった。