泰葉ちゃんは歌手をやめへんで

TBS 系「キミハ・ブレイク」の録画しといたのを早送りでざっくり鑑賞する。

泰葉の“緊急生出演"とやらを終始ものすごい煽りまくっていたようだが、その裏番組の日テレ系「さんま御殿」やフジ系「ドレミファドン」やテレ朝系の日本シリーズ「西武 vs 巨人」(しかし西武のホームグラウンドなのに巨人有利の明らかな誤審が 2 度とか悲惨だった)などのチェックで気ぜわしく、とても泰葉ひとりを追っかけている場合ではなかった。

そして、いくら爆笑問題テリー伊藤など手練れの人物が緩衝材になるといえ、泰葉のトーク内容はこれまでもこれからも基本的にはスルー推奨だ。聞けば聞くほどロクなことはなく受け流すより他ない。一瞬だけうっかり見てしまったけどノータイムでうんざりした。そのあたりはシブシブ後述する。

今回注目すべきはあくまで泰葉が歌手としてリリースするという新曲「お陽様よほほえんで」。

はたしてデビュー曲「フライディ・チャイナタウン」以来の軽妙でいい具合に懐かしげなシティポップに仕上がっているのか、あるいはきっちり現代的な作品を呈示してきて「ありゃりゃ、やっぱ才能あんじゃん」みたいに目にもの見せてくれるのか。それとも単なる駄作か。

まぁタイトルからして期待薄なニュアンスはにおっていたわけだけど・・・。


で、さっさと感想を申し上げると、泰葉本人が作詞作曲したという「お陽様よほほえんで」は、歌詞もメロディも歌声も泰葉のルックスも、すべてちぐはぐで噛み合ってなかった。ギターぶりぶりの勇壮なアレンジだし最低限ギリギリのところで世に出すレベルになってる気はするのだけど、空回り感が半端じゃないっていうか、例に出すのも憚られるもののなんか出来損ないの「空色デイズ」みたいだった。

悲しいかな泰葉 47 歳の歌声はヘロヘロで音程もところどころ定かではない。自分でこしらえたはずのロングトーンの伸びも息切れ気味で物足りず、個人的には歌声がいくらヘロっていてもそこをスポーンと補って余りある陽性な魅力があれば音楽としてはっきりと許せてしまうものの、かなりキツかった。


一応「注目」とされている歌詞は、とりあえずテロップ参照で以下のような具合だった↓ 

「お陽様よほほえんで」
作詞作曲 泰葉


なにげない日常に
隠れたシナリオが
ある事を知ったとき
劇場をあとにした


東南に進路を取れ
向い風を受け
続く果てしない道
ひたすら歩く


許してあげよう
すべての心を
ここにある正義だけが
正しいとは限らない


許してあげよう
自分の心も
お陽様よ お陽様よ
ほほえんで

ワンハーフの披露だったので二番の歌詞とかもあるかも知れないけど今回テレビで明らかになったのはこれがすべて。さまざまの騒動と歌詞の内容いちいち重ね合わせたりするのはやぶさかではないのだが、くだらないので考えることを放棄しちゃいましょう。だって、もう「まんま」だろうし。

泰葉 47 歳なりの B メロへの導入部「東南に進路を取れ」のフレーズにいちいち何か言いたくなるのもここは腹にグッと溜めて我慢したい。


ただひとつ、どうでもいいっちゃどうでもいいことながら、歌詞の途中で一箇所だけ画面テロップと実際の歌とで食い違うところがあるのが気になった。

テロップには

劇場をあとにした

と表示されているのだけど、泰葉が歌うと

劇場を飛び出した

という表現になっていた。

テロップが間違ってるとは考えにくいから、単に生放送で歌詞をトチっただけかも知れない。普通にあり得ることなので揚げ足を取るまでもないだろう。ただ、歌詞としては元の「あとにした」よりも「飛び出した」のほうが圧倒的に正解のように思う。これが泰葉の直感でアドリブで差し替えたのだとすればナイス判断。


で、泰葉本人は歌手活動をどうしても本格化させたいらしい。

おもえば今年の 4 月に山崎邦正が「ガキの使い」で泰葉の歌マネを披露していたのは、今あらためて見ても似てるし笑えるしで最高だった。

今となっては泰葉のほうが山崎邦正の泣き芸を逆輸入しているような気さえする。



「泰葉ちゃんは歌手をやめへんで〜!」(※実際には言ってません)


あと、歌い終わって放送のオーラス。テリー伊藤と泰葉のエンドトークが、あんまりだったので、文字で書き残しておく。一部抜粋だが決して大幅な誇張や改変はしていない。

テリー「どんな気持ちだ? 今歌い終えて」

泰葉「うれしいよ・・・歌いたかったんだ」

テリー「これが泰葉のメッセージの歌か」

泰葉「そうだ! あたしの気持ちだ!」

テリー「『許してあげようすべての心を』って言ってるよね」

泰葉「うん・・・そんな上から目線じゃないけど『許してください』という気持ちだ!」

テリー「うんうん」

泰葉「そして自分にも申し訳なかったと思っている」

言葉遣いというか、特に語尾の処理がもう狂気の沙汰なんですね。テリーもテリーだし泰葉も泰葉なんだけど、こんな喋り方する大の大人は生まれて初めて見た。テリー伊藤 58 歳と泰葉 47 歳。

孫悟空とチチの会話のようでもある。


極めつけとして、やがて司会のテリー伊藤にうながされて、泰葉が画面独占で咆哮します。

わたしはゆるい生き方が大キライ!

歌で勝負します

みなさんわたしを「ゆるく」しないで

一生懸命がんばるから!


お父さんありがとう!

パパーーー! 

最後の「パパーーー!」とかなんだそりゃって感じなんだけど、この一連のセリフ、生放送終了のラスト 0 秒まで完全にきっちり使い切って叫んでいるのが凄かった。0.1 秒のスキマもなく時間ぴったり。あまりにも現場スタッフとの連繋というかタイムキーピングが完璧すぎで笑った。

しかしそれと共に泰葉のさりげないしたたかさを突きつけられる出来事でもあった。



このあたりのくだり、YouTube に丸ごとアップされてました。確認のために好事家の方はぜひどうぞ。時間のむだかも知れませんが。