4 月に放送されたテレ朝系「爆笑問題の検索ちゃん」。
NON STYLE の石田がある日、酔っぱらった一般人のサラリーマンから「フリートークがヘタだ」などとイジられたうえに「とある屈辱的な仕打ちを受けた」として、そのことがクイズになっていた。
その仕打ちとは「酔っ払いに会話の HOW TO 本を渡された」というたしかに屈辱的なものだったようだが、このクイズに触発されたのか、爆笑問題や土田晃之が、とあるボキャブラ芸人のことを話題にしていた。
「底抜け AIR-LINE 」古坂和仁(現・古坂大魔王)のことだ。
土田晃之が突如として話を切り出す。
土田「でも、こういうのはアレですよね、あのー、古坂くんとかね」
太田「笑)古坂は許さないでしょうね」
土田「『底ぬけ AIR-LINE 』っていうのやってた」
田中「性格が許さない」
一般人から侮辱されたりするのを古坂は許さないという。
土田「いま『古坂大魔王』っていうのやってるんですけど、学園祭とか営業とか行って『つまんねー!』とかってたとえばお客さんが言ったりすると、『えっえっえっ、なになに?』みたいなのが始まる。そっから始まるんですよ」
田中「祭りが始まる」
土田「そしたら『今なんて言ったの? つまんないって言ったの? じゃあキミのほうがおもしろい? じゃあおもしろいこと言って? 3,2,1…あ、言えない、言えない』って言って、どんどんどんどんそいつを辱めるの」
太田「どんどん追いつめていく」
その流儀は飲み屋でも。
太田「古坂は飲み屋とか行っても隣の席の客に…」
田中「大学生とかがね」
土田「大学生ね、はしゃいでたの。そしたらふすまをバーンと開けてね、『プロの前ではしゃぐな!』って言ったの」
でもそんな古坂のことをみんな評価している。
土田「でもスゲェいいヤツなの」
太田「ぜんぜん、そういうことやんなければ絶対売れてるはずのヤツなの。天才的におもしろいヤツ」
土田「天才的におもしろい!」
田中「だからくりぃむの上田なんかも、もう『とにかく絶対に日本一おもしろいから、こいつが売れないのはおかしい』って」
太田「おかしいって我々みんな当時からみんな思ってる」
田中「みんな思ってるの俺ら」
土田「思ってる。で、上ぴょん(上田)はさらに、あのさんまさんに言いましたからね」
太田「笑)古坂を売り込んだ?」
土田「『日本でいちばんおもしろい奴がいる。古坂っていうんだけど…』って言ったら、さんまさんがちょっと真顔で『オレよりおもしろいのか?』」
オチこそ若手にさえ対抗意識を剥き出しにする明石家さんまの話になったものの、これは中堅ボキャブラ芸人のかなり深イイ話じゃないだろうか。
あらためて書くと爆笑問題や土田が言っているのは現在「古坂大魔王」を名乗っている、旧・お笑いユニット「底ぬけ AIR-LINE 」の古坂和仁のこと。
どことなく「古坂=ピエール瀧」かつ相方が「小島=石野卓球」というキャラクターの対比(まぁ見た目だけなんですが)があったり、また実際このふたりでテクノユニットやったりもしていて、「お笑い界の電気グルーヴ」のような趣もちょっとだけ感じさせるユニットだった。
「テクノ体操」というネタで立川談志の目に留まったこともある。
爆笑オンエアバトルの第 1 回チャンピオン大会では「テクノ体操」というネタを披露したが結果は「165キロバトル」という散々な結果で出場 10 組の中で 9 位だった。ところが特別審査員として参加していた立川談志が「元気があって面白かったよ。」と底ぬけを評価し「審査員特別賞」を与えた。その収録後、古坂と小島は談志から食事に誘われた。
これは「え? なぜ俺らが?」みたいにうろたえていたのがおもしろかった。
ぼくが初めてレンタルして見たライブビデオがこの底抜け AIR-LINE のものだった。古坂がマッドな教師役を演じてホワイトボードにわけわかんないことを書きつけながら熱弁を奮うみたいなネタで泣いた。
「底ぬけ AIR-LINE 」は既に解散している。元相方の小島忍も一般人になっているらしい。もともと「底抜け AIR-LINE 」は 3 人組で早々に脱退していた村島亮は現在俳優に転向しているのだとか。
しかしたとえば古坂のことを「日本一おもしろい」と評しているというくりぃむ上田は、最近でもテレビやラジオで古坂と積極的に共演してる様子。
また去年放送された『ボキャブラ天国』の復活スペシャルでも、土田晃之は古坂とコンビを組んでネタを披露していた。mihimaruGT と全国ネットの FM ラジオでレギュラーをやったりもしているらしい。
今のところさほどテレビ的に目立った存在ではないものの、爆笑問題や土田晃之、くりぃむ上田といったボキャブラ世代が口を揃えて「天才的におもしろい」「こいつが売れないのはおかしい」と評する古坂大魔王。
同業者でしかもことごとくお笑い界で出世をしてきた人間からの評価というのは、周囲に与える影響が大きそうだ。はたして有吉弘行のように本格的なブレイクを果たすことはあるだろうか。