加藤浩次が「ワイプ」に抱える葛藤

15 日深夜に放送された TBS ラジオ「金曜JUNK 加藤浩次の吠え魂」で、加藤浩次がテレビ番組でよく用いられる「ワイプ」の手法に対して自身の考えを語っていました。

「ワイプ」といえばテレビ番組で VTR が流れたり同時中継があったりするときに、他のタレントの顔を別のカメラで撮って画面の片隅に小さい枠で映し出すというような、アレです。

加藤はワイプに悩んでいる。


以下、加藤のトーク。なお聞き手は構成作家の「鈴木工務店」氏


・ワイプあんま好きじゃない

あの、ほんとに今あのー
VTR 主体の番組とかの「ワイプ」っていうのあるじゃん?


鈴「はい、ちっちゃい画面ですね」


ちっちゃい画面でね、
あのワイプで横にさ、顔が映るっていう


あのー、あれ、オレあんま好きじゃないんだよ



鈴「笑) 『スッキリ!!』多いですよ、けっこう」


「スッキリ!!」多いでしょう
オレあんまり(顔を)抜かれないでしょあれ


鈴「笑) 抜かれない、たしかに。あんまり映らないですね」


オレ、やっぱ、ちゃんと VTR に乗っかって
「へぇ!」と思ったら「へぇ!」って顔したいし


それは番組で一生懸命 VTR つくってるスタッフのためにね
それはそうしようと思うんだけど…


オーバーなヤツ見てしまうと急に冷めちゃうのオレ
悪いクセなんだけど


鈴「そうですねぇ」


うん、もう
(葉山)エレーヌがオーバーだからさぁ


「へぇーーー!」みたいな感じだから
どっか冷める自分がいるというかね


・「三割増し」くらいがちょうどいい

家でテレビ見てるテンションの「三割増し」くらい?


…がちょうどいいんじゃないかな
ってオレ自分でおもってるんだけど


七割八割乗っけられたら
それはどうなんだろう? っていうさ


鈴「そんなんじゃねぇだろ、っていうね」


たとえば料理のコーナーがあって
照英さんが「おいしいー!」って言ったときに
「えーーーッ?」みたいな顔って


オレ、ウソだと思うんだよ


鈴「笑)」


「へー」みたいなのあるよ、オレも


だから人それぞれね「温度」があるから
これ(一概に)決められた話じゃないですけれども


・うまいとかヘタとか

あれをやっぱりね違和感なくできるのは
バタやん(※柴田理恵か)ね


鈴「笑) 柴田さんね」


バタやんは少々おおげさでも
ぜんぜん入ってくるのこっちに
違和感がないの、もう
あれうまいんだよねー


鈴「うまいっすねー」


もう、あれワイプで映って
ムッツリしてるのも違うじゃん?
ムスーッてしてるのもなんか変な感じするしさ
あれ難しいんだよなぁ


鈴「矢口さんもうまいんだよね」


矢口真里さん?


鈴「うまいんですよ。よくリアクションしてますから」


だけどあれ「うまい」とかあんのか?


鈴「大きいんですよねリアクションがね」


それはさ、あれ番組の会議とか
オレ(番組に)出るほうだから出ないけど
会議とかになったりするの?


鈴「いや『あの人リアクションうまい』とかは話しますよね」 


やっぱそれ番組の会議になるんだ!


あの人リアクションうまいから
こういう VTR 中心の番組だったらいてもらったら助かる、とか


鈴「すごくいいですね、とかね」


へぇー
オレなんか絶対(人選に)入んねーだろうな(笑


別にムスッてしてるわけじゃないんだよ
真顔なんだけど
真顔がやっぱりムスッて見えるんだよね


鈴「興味なさそうに見えちゃうと損ですもんね」


・モニター位置の事情

だからオレ
すげぇモニターを「上」につけて欲しいんだよ


だいたいさ自分が座ってるテーブルっていうか
椅子より「下」じゃん
あの見るモニターっていうの?


目線が下がるからちょっとムッスリに見えるんですよ


もうちょっと上を見てるワイプになれば「楽しそうだな」って思うんだよね


鈴「なるほどなるほど。顔上がってるわけですもんね」


で、モニターをさ
バンバンずらしてくれれば、いろんなところに
こう左右に振ったりしてもらえれば
「あッ! あッ!」みたいになるじゃん


鈴「笑) なんか楽しそう」


・自分にウソつけない

中にはさ


「チッ(舌打ち) なんじゃこの VTR …」


みたいなのもあるじゃん?


鈴「まぁね、中にはね」


そのときやっぱり「わぁ〜」みたいな
「へぇ〜」って顔できないんだよね


鈴「ウソつけないんですよね」


そこはねー、つけないんだよねー、これー


・雑感
「ワイプ」画面が気になるテレビの中で、加藤のこういう率直な心情の吐露にはなるほどと得心した。やっぱり VTR の出来・不出来やまわりの共演者のリアクションに左右されてしまうところはあるという。むしろ言外に「自分の顔をワイプで映して欲しくない」とさえ言い出しかねないほどの口ぶり。

ただ今のところ加藤は番組 MC のレベルまで「出世」してる。ちょっとくらいムッスリした顔をしていようとも、最悪あまり画面に映し出されなくても、ポジションを脅かされることは、まずない。その意味ではもう「ワイプ」に関しては免除されている気がする。

「朝ズバッ!」のみのもんたなんて、よそ見しっぱなしだ。それが必ずしも好ましいこととは言えないが、かといってお咎めがあるわけでもない。

ワイプ画面とは、出演者が視聴者に対してひとつの番組の VTR に関係する「共感」を提供する場であると同時に、「わたしはいつでも気を抜かずこんなにいいリアクションしますよ!」と全方位的に幅広く制作者サイドに向けた「顔を売る場」でもある、と思う。

作家の鈴木工務店氏が「興味なさそうに見えると損」と言うように、大御所・ベテラン勢はいざ知らず、まだポジションがぐらぐら揺れ動いて定まってないようなタレントこそ、そんな「ワイプ」に人一倍、執心する。いや、むしろ“しなくてはならない”。そこは貴重なプロモーションの場である。

ワザとらしさに目を背けたくなることが多いとはいえ、滑稽なほどオーバーなリアクションを取るのも、ひとえに生存競争における必死さの裏返しなんだろうなと感じる。照英も矢口真里も、まだしばらくは声を張り上げ続ける。