「美勇伝最高!」はささやくばかり

顔文字やフォントいじりなどの派手な装飾を文章にあまり使いやせず、あまつさえステージ上の美勇伝ちゃんたちの一挙一動パフォーマンスそっちのけで周辺のヲタがKIMOIとかなんとかしょーもない愚痴ばっか連ねてるせいでまったく伝ってないかも知れませんが、ラスト 2 days 4 公演では、魂の奧底から沸き上がってくるような巨大なうねりに突き動かされて暴力的なほどにまで弾けることができた。

それでも座席周辺が気になったりさほど思い入れのない曲でうっかり気が抜けたり火曜日から仕事やだなー本気でやだなーとかおびえたり部分部分では集中力が途切れることもあったけど、これで見納めかと思えば思うほど喉が枯れるまで超全力で歓声だの合いの手だのヲイヲイ叫びまくったし、振りコピやらジャンプやらマワリやらとにかく全身全霊。身も心もやり残した感はひとっつもない。

結果的に、美勇伝説1から最終5までの全 5 ツアーが執り行われた中で、必ず 1 公演は最低でも観に行っている。地元北海道にはついぞライブツアーでは一度として廻ってこなかったのに。律儀でガチなことだ。すべてが思い出。また全ツアーが DVD にきっちり収録されていることもあって、( ^▽^)< 美勇伝は幸せでした! ってのはその部分でも首肯できる。なんだかんだで厚遇されていた。


今最終ツアーの曲目には美勇伝としてリリースされた全シングルが入っていた。まさに集大成。ショートバージョンも多くやや物足りなさも残ったが時間的制約があることを考えるとむべなるかな。一曲一曲に思い入れがありあれこれいちいち書ききれない。

アルバム曲やカップリング曲どれを取っても書き遺しておきたいことは山ほどある。

そこで安直に並べ立ててみると、たとえば「銀杏〜秋の空と私の心」では圧倒的な石川さん流フェイクの妙に耳をやられ、「曖昧ミー MIND 」ではシャープでクールなエロティカに翻弄されたあげく、ぼく自身「わだば美勇伝になる!」という死ねばいい自己満足のための振りコピに精を出すようになり、余談だけど練習がんばりすぎて左足親指を風呂場の洗面台にぶつけてドス青く変色させ、「唇から愛をちょうだい」ではオーラス夜公演で定番のタオルまわしをしながらこれが最後かとあらためて思うと一気に脱力感に襲われてへなちょこりん、「 LET'S LIVE! 」では( ^▽^)< 右手を上げて、ハイ! ( ^▽^)< 両手もアリだよ! などの石川さんのお茶目な煽りがたいそううるわしゅう。

最後の最後で「クラクラディナータイム」が選曲から漏れてしまったのが唯一残念だったな。すごくハッピーでいい曲なのに。そこはマジで。

ともかくどの曲に触れてみてナマ美勇伝体験の礎に深く濃くそのしるしを刻んでいる。決してド名曲ばかりではないが、数々の楽曲を媒介に、美勇伝と過ごした少なからぬ時間が忘れられない。


ところで最終日。すべてが終わって。

会場の客電が点灯し、係員が拡声器片手に客の帰宅を誘導しようとギャンギャン声を張り上げるなか、よほど名残惜しいのだろう客がほとんど誰もその場から立ち去ろうとせず、逆にその拡声器での煽りを掻き消そうとするかのように、「美勇伝最高!(パパンパパンパン) 美勇伝最高!!(パパンパパンパン)」だの、「おやチャミ!(パパパン)おやチャミ!!(パパパン)」だのと大勢の人たちが手拍子混じりのシュプレヒコールで声を枯らしていた状況は、にわかにでも一体感が生じたようでもあり、ちょっと感動的ですらあった。

こんな特殊な場はもう二度と体感しないかも知れず、ぼくも今まではあんまり叫ぶこともなかったけれど、このときばかりは拒絶感もなく尻馬に乗っかって、ささやくようにこっそり「美勇伝、サイコー・・・」と繰り返しつぶやいてみた。

ただ躊躇することはもちろんあって、もしも石川さんが堂々ソロで「石川梨華ライブツアー」なんかやっちゃえてしまうような望ましい未来がこのさき訪れるとすれば、その「美勇伝最高!」は、そっくりそのまま「梨華ちゃん最高!」にすり替わってしまうんじゃないか? そんなような気がしないでもない。


梨華ちゃん最高!」なら、真剣に声を上げることができる。

げんきんなものだけれど。

まだ旅は始まったばかりなのではないでしょうか。