次の日も七海ななのサイン会に行った

まさかの昨日のつづきです・・・。

土曜日にアダルトビデオ女優の七海なな(ななうみ・なな。以下、七海さん)の DVD 販促キャンペーンが札幌市内のありがたいエロ DVD &エロ書店「 SPOT 」で開催されるというのでなんとなーく行ってみたところ、ジャンケンで勝ち抜けてポスターもらえるみたいな小さな偶然も重なって予想以上の満足感を得て帰ってきたし、それをここでレポート書いてひとりウハウハ悦に入ってもいたのだが、このキャンペーンは土日に 2 店舗づつの合計 4 店舗で催されるという話ですなわち日曜日にも催されるわけで、悦楽感をまんま引きずって朝を迎え、いよいよ我慢できなくなって、結局次の日の日曜日にも札幌市内に所在する SPOT のまた別のチェーン店に赴いたのです。

たとえばハロプロの土日昼夜の全公演に足を運ぶのはたしかに時間もお金も体力も多大なる浪費を余儀なくされるといえ歌も踊りもルックスもぜんぶひっくるめた総合的なパフォーマンスが概ねステキなため状況が許せばいつでもゴーですよという気持ちを秘めているのだが、はたして二日連続で同じ AV 女優さんの特に歌うわけでも演じるわけでもないただのサイン会に行ってみて、そこにはあと何があるというのか・・・同じことの繰り返しなのでは・・・。

と、論理的にはひどく不毛な想いに駆られながらも、いっぽうで一度は今生のお別れを覚悟した七海さんにまた逢えてしまうというウキウキ感はとても否定できず、同じ札幌市内でクルマと JR と徒歩で一時間ほどかけて、ひとりぽっちで彼の地に乗り込むのだった。


かばんを「 SPOT 」入口のロッカーに預けてサクッと店内に入る。すると、昨日、プレゼントのサイン入りポスターをかけてジャンケンを最後まで争った白髪でちんちくりんで人生半分終わったようなおっさんが、また来ていた。

もしやぼくにジャンケン負けたことで浅からぬ恨みを抱いたりしており軽々しく目線でも合わせようものなら手前この野郎とキレて殴りつけられたりするのではなかろうか・・・? という被害妄想がうねうねと脳裡に浮かび一瞬震え上がったが、無論、特にどうということもあるわけがなく、むしろ昨日は単独行動だったはずのおっさんが幾人かのおそらく知己と思われる人々と曲がりなりにも談笑などしており、むしろひとりぽっちでこんな辺境のイベントへ連日訪のうている自分のほうが人生丸ごと終わってるんじゃねーの? とネガティブハートに苛まれた。

が所詮、にんげん死ぬときはひとりであり、孤独を畏れることなど何もないのです。さ、淋しくなんかないんだからネ!


周回遅れのツンデレギャグはともかく、サイン会や握手会への参加券がついているとおぼしき DVD をとりあえず買わないまま店内で「サイゾー」を立ち読みしながらボンヤリしていると、アナウンスがあって、「商品を買ってない方でも参加できます!」と二日連続で嬉しいゆるゆるフリーな参加権利が告げられた。おそらく悲しいかな思ったほど客が集まっておらず店に来た客なら七海さんについての興味あるやなしやに関わらずウェルカムですよ。と導いといて、最終的にはファンにさせてしまおうというサービス精神と商魂のないまぜになったかわいい蟻地獄がデフォになっているものと思われた。

ぼくは七海さんには興味はあるがその肝心のエロス作品に関しては様子見であるため、またもや一ミリも財布に手をかけることなくサイン会の列にしたり顔で並ぶ。そもそも前日にサイン会は経験済。とあらば精神的な余裕みたいなものがホヘーンと生じて二度目は楽勝とか思い込むのが当たり前のはずであるが、これがまるで逆で、むしろ至近距離でのかわいさを知っちゃっているし思い入れも多少なりとも生じているため、無性に緊張感がブリブリ昂揚する始末であった。我ながらチキンにもほどがある。


さてさて、七海さんが入場。

前日と同じような白を貴重とした露出もかなり控え目の「清楚」という印象しか与えようがないワンピースだ。デザインは二日間で若干違っていながらも一貫して北海道の白のイメージに合わせたのであろうところが、ニクいねぇ。

ってことでサイン会が始まると他の客はなかなか言葉巧みに話術を駆使したりプレゼントを用意してきたりしているようで、その会話のなかで七海さんもキャッキャ笑ったりしているのがうらやましい。半ば愛想笑いみたいな部分もあるとはいえ、では自分にそこまで笑わせられるような話術やネタがあるのかといえば、到底、あるわけもなし。そもそも人間として基本的な会話すらおぼつかないのだ。

話すことを考えながらじっとり静かにその瞬間を待ち、やがてそのときが来た。


サインの机を隔てて対面。七海さんは起立してお辞儀をしながら「よろしくお願いしまーす」と甘い声。「こんにちはー」とぼく。いや、変に録音とかしてないのでやりとりの内容は現実と妄想の挟間です。

「あのー、昨日の一回目にジャンケンで勝って、ポスターをもらった・・・」と、やんわり自分のことを覚えていてくれてる☆カナ? といういかにも痛いヲタにありがちな自意識過剰アピールから導入する。と、「ですよねー」なんて、どうやらわかってるふうの七海さん。あら、覚えてはる? 社交辞令かも知れないが(うがってばっか)、イベント参加者もせいぜい一回あたり 30 人ほどしかおらず、ましてや顔見合わせてジャンケンいっぱいしてるから覚えるのも当然でしょうか。


続いて「ポスターもらってテンションあがっちゃって、来る予定なかったんですけど、来ちゃいました!」と雄弁に気持ち悪いぼく。「うわーホントですか? うれしいですー」と、そうとしか答えようがない七海さん。で、「ポスターお部屋に貼りました?」 ←こういう流れで話を膨らませてくれるのが七海さんは本当に心根が宜しいと思うのです。「貼りましたよ」「あ、ホントですか? ありがとうございますー」

どうやら七海さんは「ホントですか?」が口癖のようだ。女性の「ホントですか?」は何も言うことがないときにとりあえず言っとけ的なオールマイティ手札でありながら、たしかに会話の潤滑油でもある。そしてここで、ぼくの笑いを狙ったいやらしい一言が飛び出します。

「まぁ、実家なんで親に見られるんですけど(笑」「あ、ウフフフ(笑」

おっとこの『 AV のポスター部屋に貼りましたけど実家です』ってな自虐ネタはちょっと笑ってくれた。「親とか部屋にたまに入ってくるんで見られることになると思います」「あ、じゃあ、ドアをバタン! って開けて、『ちょっとアンタ何してんの!』とかってなることも(笑」「あー、気まずいですね」「ですよねー」「でもポスター自体はとても健全な感じなので、大丈夫だと思いますよ」「じゃあ、今日のジャンケン大会でまた当たったらどうします? 二枚になっちゃいますけど」「二枚並べて部屋に貼ります!」「ホントですか?」「ちょっと『ひとりキャンペーン』みたいになりますが」「じゃぁ、お部屋でキャンペーンできちゃいますね!」

このとき緊張と脳内ドーパミン分泌しまくりによる一点ロックオンでまわりが見えなくなってたのは否定できません。ペラペラペラペラペラペラペラペラ調子こいて。

七海さんはようやく着席してサインに取りかかって、「えっとお名前は・・・」と聞いてくる。さすがにこちらの名前までは覚えちゃいなかった様子でそりゃそうだ。「えっと『ピエール』でお願いします!」とぼく。と、七海さんの手が一瞬止まる。「あれ? そんなお名前でしたっけ?」。

実際、前回は本名に限りなく近い名前で色紙やポスターのサインを書いてもらっていて、だからアップしたポスターの写真も伏せ字にせざるを得なかったんだけど、今回は伏せ字もイヤだしここに堂々とアップしようと、あえていきなり「ピエール」の名前でお願いしてみた。すると七海さんは「あれ?」と違和感を示した、と。とりあえず「前回が『ピエール』ではなかった」ということだけは覚えもらっていた。「えぇ、本名だと恥ずかしいんで、ネットとかで使ってるハンドルネームで」「わかりましたー」。

って、マジックでちょっとだけ手を汚してしまいながら名前を書き入れ、色紙にハートマークを描いてみて、はて、七海さんは黙ってしばらくなにか思案してる。ひとこと何を書くべきか真剣に考えているのだ。

やがてそのハートのなかには「ポスターに時々チューしてね♥(ママに見られないように!!)」との、直近のトークをふまえたリアルに恥ずかしいメッセージが書きこまれた。ポスターに時々チューとかそんなことはレジェンド石川梨華ヲタことふっち君。にでも任せておけばいいんだよ、などとは咄嗟に思ったが口に出すはずもなく、「うわー、いろいろシャレになりませんね」とぼく。

あとは「昨日ブログ読んで、札幌の夜景とか写真できれいに取れてましたよ」「ホントですか? 今日もまた更新するので読んでくださいね」とか言いながら、握手して、笑顔でさようなら。手は前日よりちょっと冷たかったけどそんな日もあるでしょう。

ともかく、明るさや客への気づかい、的確でちょっとユーモアのある色紙の書きっぷりなどなど、どれをとっても七海さんのサイン手腕はいちいち悦ばしいのだった。


あとは撮影会やツーショット撮影などをやや名残惜しくも華麗にスルーしたのち、ジャンケン大会が催されましたが、そうなにもかもうまく行くはずもなく、三回あったチャンスですべて初戦で敗北。それどころか昨日から書いてる白髪でちんちくりんのおっさんがなんと今日はジャンケンで勝ち抜いてポスターをゲットしており、なんだかすべてが丸く収まったような気になった。

最後の「質問コーナー」は昨日もあったんだけれどほとんど盛り上がらず今日もどうだろうと思っていたら七海さんが週に二本は見るという映画話をしだして止まらなくなったり、絢香MISIA宇多田ヒカルなどをカラオケで歌うときは声が低くなるとか言ってたり、もうすぐ来るという誕生日のことを言われて「大人になんかなりたくない!」と年齢のことを直接言うのは避けてみたりと、さまざまな顔が見えていいトークショーだった。


七海さんのスタンスは、黙考すべきところは黙考し、はしゃぐところははしゃぎ、話すべきところはきちんと話す。ときおり自分の言動に反省もしながら、でも基本的には愛嬌もあってニッコニコ。と、どこまでも折り目正しい。うーん、日ごろの職業が真っ裸でとんでもないことやらかしてる AV 女優であることとか、ホント関係なくってね、ひとりのアイドルとしての立ち振る舞いが、心底あまりにもすばらしいと思ったよ。と同時に、こぼれる笑顔がなんか申し訳なくってね。もっと上のステージで闘えるでしょうよ、となぜか憤りさえ。