ヲタヲタウオッチング

本文と画像とはあまり関係ありません

11 月 3 日(祝)に北海道厚生年金会館で開催されたモーニング娘。コンサートツアー「バリバリ教室〜小春ちゃん いらっしゃい!」の昼夜公演はともに異様に愉しくて大満足のうちに幕を閉じたのだけれども、最近にわかに街角のカッチョイイ殿方のことが妙に気になり始めたお年頃の僕としては、モーニング娘。らを観に全国各地から集ってきた多種彩々の同士イケメン殿方のことが気になるのもコレ無理からぬことなのであり、よって賑いを見せる会場内の一階入り口付近において僕は開演時間を待ちながらまるで街娼のごとくアンニュイに佇みながら「イケメンはいねが」とイイ男探しに余念が無い状況なのであった。だってこの中にきっといるはず! 白馬に乗ったわたしの王子様が・・・。

とはいえ冷静に観察してみると、そこにうようよしているのは王子様どころか大半がチビ、デブ、ハゲ、白髪、きちがい等々とにかく残念なモーヲタ方々のオンパレードなのであり、しかもこれらパンチの効いた飛び道具のうちどれかひとつだけ装備していればそれだけでもう十分な戦闘力を誇っているはずなのに贅沢にも「チビだしデブだしハゲてるし」のようなたいへん優れた複合アビリティを誇っている人々も数多く、要するにダメ人間見本市が大々的に展開されておるのだった。や、なればこそ、たったひとりのイケメンの存在が真っ暗闇の魔窟の中でまばゆい生命の光を放つことになるのであるし、うんこで作った五重塔にダイヤモンドが埋め込まれていたらどんなにステキなことでしょう、ということになるのではないかと楽観的に思っていたのであるが。

はたして残酷無比なるかなこの現実。結果、2300 人がキャパの会場で、僕が見かけたイケメンの総数は、「 3 人」だった。んもうぜんっぜんいない。日本ってこんな感じだったっけ。もちろん観客の全員ひとりひとりをじっとり舐め回すように鑑賞することはできやしなかったのだが、特に夜公演が始まる前に重点的に 15 分くらい入り口付近の行列を凝視していたら、もう誰を見てもがっかり教室ですよ。これでもかと押し寄せてくるモーヲタ凡夫の洪水に途中でいい加減うんざりして「もうお願いだからこれ以上入ってこないで」と泣きながら訴えかけそうになった。背がすらっと高く関係者のように堂々と振る舞っている人も実はただの脳の弱い人で失望感に拍車をかける。

どうしてこう揃いも揃って残念な殿方が一同に介してしまうのか。モーヲタとて人間であろう。コンサート中にいくら「さゆさゆ〜」とか「れいにゃハーン」とか大の大人がバカっぽく連呼していてもサイリウムうざいくらいぶんぶん振り回してても構わないから、せめてそれ以外のときは最低限のしゃんとした真人間の立ち振る舞いをできないものだろうか。別にお顔立ちが阿部寛レベルとか身長が 180cm 以上あって阿部寛レベルとかそんな贅沢なアベちゃん幻想を追い求めているわけではないのだ。もこみちレベルですらなくていいのだ。あたいのような中途半端な男から観ても「あらよき男かなフヌー」と鼻息荒く惚れ惚れうっとりとして隙あらば抱きついてしまいたくなるような爽やか加減を希求しているに過ぎないのだが・・・。

あとこの溜まりに溜まった怨念を吐き出すように申し上げると、去る 6 月に東京で開催された美勇伝の「紫陽花アイ愛物語」発売記念の握手会のとき、代々木のオリンピックプラザという屋外のだだっぴろい会場で、炎天下、入場整理券の配布を待つためだけの長い行列が何千人というばかな規模で形成されていて、まぁ僕もその地獄絵図の一員と化してはいたのだけれども、朝も早くから 2 時間とか 3 時間とか待っている最中は知己の者もおらずあまりにも暇だったものだから赤の他人のモーヲタ老若男女のお顔をじろじろ容赦なく拝見することにしたのだが、やはりこれがまた皆様ひとり残らず全員チビ、デブ、ハゲ、白髪、妖怪、ホームレス、顔面神経痛、奇形児のオンパレードだったので絶望した! はたして熱さのあまり皆さまのお顔なり肉体なりが平常時より何割か増しで歪んだり欠落してしまっていたのかそれとも僕の眼球が溶解していたせいなのかは分からないが、こりゃ酷い、と思った。東京は世界に誇るオシャレさんの集うファッション最前線な土地柄であると聞いていたが現実には古谷実的醜悪フェイスの愚民共の掃き溜めに過ぎなかった。

で、話を北海道娘。コンに戻すと、僕から見てイケメン認定できるモーヲタというのは、別にどう鼻筋が通っているとか股下がとんでもないロングサイズだとか、そういう超人ではなく、とにかく余計なゴテゴテした印象が何ひとつない、ヲタグッズにしろアクセサリーにしろかばんとかにしろ過剰ではない、足下から頭髪にかけてこざっぱりとした印象の、ある意味「ふつう」な殿方たちのことである。その「ふつう」がバランスよく配合されている人物がほとんどいない! またそういった貴重なイケメンさんが他の冴えない凡夫ヲタと対等にケラケラ談笑している場面を見かけたりなどすると、「おぃお前らとイケメンさんとは甚だしく身分が違うんだよ!」となんだかとても憤慨&嫉妬してしまうので、この乙女心をまずはどうにかして欲しいと思う。そしてそんなイケメンでもいざコンサートが始まれば颯爽と白馬から降り立ち準備運動など悠然とこなしながら平素のおしゃれ鉄仮面を華麗に脱ぎ捨てては振りコピを完全にマスターしているなどご立派な重度モーヲタかも知れず、そのギャップがまた魅力的よね。かくありたい。

あと明らかに彼女連れの場違いなモテヲタさんカップルとかも数組いたのだが、そんないやみな中でひときわきらりと光っていたのは小柄でメガネの某彼氏。名も年齢も誰推しかも何ひとつ知らぬ彼氏は一見なんてこともなさそうな実にのび太な佇まいをしているのだけれど、すーっと目の前を通りすぎた第一印象からして、なんだか彼ってばとても表情が柔和で、穏やかで、やぁ彼彼女らカップルの歩みといったら爽やかな一陣の涼風がそっと己の前髪を揺らすように通り抜けていくようで心地良くさえあり、「あぁこれか」「これが勝ち組か」と。妙にすっきりした敗北感にまみえると共に僕は右のポッケからハンケチーフを引っ張り出すと、そのはしっこをムキーッと囓りよだれを垂れ流しながら次第に燃え上がってくる嫉妬心を抑制することができなかったのである。彼女がうらやましいわ。