後浦なつみ

小久保と清原とローズをドンドンドーンとクリーンアップに並べた『史上最強』打線で、はたして 1+1+1 の答えが 5 にも 10 にもなったのだろうか、相乗効果が生じたのだろうかといえば、結果的には淡泊な攻撃にしかならなかった、などと、戦績・視聴率ともに大低迷中の巨人軍に対する想いと同様の感情を最後まで払拭できなかった「後浦なつみコンサートツアー 2005 春トライアングルエナジー」DVD である。

仲良しクラブ化の著しいハロプロの現状(『H.P.オールスターズ』とか言って結局総動員かよみたいな)では、我が我が我がの自己主張を狂犬的に露わにするのは現実的ではなく、かといって「どうせ私なんて・・・」など後浦なつみは誰一人として考えてない。この処遇とはすなわち生殺しであろう。ソロコンサートで各が培ってきたパフォーマンスから客に対する煽りまで、それぞれの確固たるスタイルがあるにも関わらず他 2 人と呼吸を合わさんがために、全員が己の持ち味をちょっとづつ抑制している。「ナイスエナジー!」っていくら口で言ってもちっとも完全燃焼してない気がする。なんか魂入ってない。

あとこれはコンサートツアー開始当初から言われてたことなんだろうけど、お互いを「安倍さん」「後藤さん」「松浦さん」と呼び合ってるのが、もう最初耳にしたときドン引きしたほど露骨に「お仕事」風情満載で、この冷めた距離関係が制作者側から容認されているアイドルユニットというのも類例は無いだろう。おぞましいかぎりである。

それでもモーニング娘。奇跡のツートップであった『安倍・後藤』の実はナイスバランスな蘇りコンビ、そして後浦なつみという活動全般における最大の収穫といえる『後藤・松浦』の名実ともにハロプロソロ二大巨頭にしてプライベート的にも意気投合してしまった最強タッグなど、組み合わせ方によっては観るべきところも大いにあった。ちゃんと歌える人たちだからハモりもきれいだし。まぁしかしごっちんというのはソロよしデュオよしユニットよしと歌手としての適性がオールマイティ過ぎる。

それに比して『安倍・松浦』というのは、また適当な話をぶり返して申し訳ないが小久保と清原のような、極論どちらかひとりが存在しさえすればステージが成立するような、まったく立派な右の長距離砲で・・・。