あなたとシェイクハンズ

さて、引き続き「ハロ 10 パーティ」について。最後に用意されていた握手会でのことを、あまり整理しないままさっくり直感の赴くままに述べてゆきます。まるっきり主観です。

座席指定のパイプ椅子、前列の人たちから規律正しくステージ上に連なる行列が握手へ向かってゾロゾロと進軍する。ぼくは 13 列目だったので時間的な余裕があったため心構えやセリフのシミュレーションができてよかったし、そのぶん余計なことをいろいろ考えさせられて緊張感が増幅したりもした。

なんといっても鬼門はあややとなっちだ。今思い出してもこのタッグには戦慄が走る。

ステージ上にあがり、最初はメロン記念日から。ステージ右端から、まずは村田がお出迎えだ。わりと余裕を漂わせながら「いつも愉しませてもらってありがとうございます!」 わっ噛まずにすんなり言えた! 村田「こちらこそありがとうございます!」

別にふつうすぎるほどふつうなんだけど、なかなか人間的なやりとりができたのではないかと自己満に浸っている。

次は斉藤。「字が上手いのがすごい好きです」 また噛まずに言えた。斉藤は字が抜群にうまいのが冗談抜きで好きなのでその気持ちにウソはない。斉藤「ありがとうございます!」 わー凡庸。この時点でまだ特に緊張はしていない。

柴田。握手は通算で四回目か。正直いつも超めんこいし今回も相変わらず後光が射していたので途端に緊張感がブリブリ盛り上がってきた。「カ、カ、カッ、カジュアル、デ、デデ、ディナーショー行きましたぁぁぁッ」 あぁもうダメだ。カジュアルディナーショー行ったからなんだってんだ。しかも噛むしロレツが回らない。やがて高速握手の激流に呑まれて柴田からの返答はろくに聴けず。

おかげで大谷の記憶はない。


で、松浦亜弥が、そこにいる。いる。顔をパッと見る。今さらなことだけれど、小猿みたい。

2001 年頃からテレビやラジオやコンサート等あらゆるメディアで死ぬほど触れてきて自分の中で培ってきた偶像としてのあやや像と、現存する生身の肉体とをすり合わせる初めての機会。大接近。なるほど小柄で小顔、そして小猿。頭の中の「あやや」がすべて吹き飛ぶようなリアル本人との瞬間最大風速。

でも、テンパっても、何か言うしかない。「だ、だ、だ大好きです!」 愛の告白です。で、一瞬の間を置いて満面のちょっとウソくさいアイドルスマイルで松浦は「ありがとうございまーす」。  はい。あぁ。なんだ。むぅ。絶望的な気分でも、むしろ感涙にむせび泣くわけでもなく、ただただ、あの松浦亜弥の肉声が、ネトッと響いた。

家に帰ってきたあともう一度「ダブル レインボウ」の DVD を一から見直してあやや像に補正をかけ直している。


そして松浦の隣には、安倍なつみだ。なんだこの気の狂ったような人員配置は! 松浦のことで既にカオス脳なところに、追い討ちをかけて安倍のまるで固定されたような微妙な笑顔の丸顔が飛び込んできた。背は小さいので見下げる。デビュー 10 年目にして初めての握手。おもえば昨年はモーニング娘。 10 年記念隊のコンサートもアコースティックコンサートも行った。ちょいちょい北海道には来ている。よく間近で見ている。しかし、握手。

「あ、なっち!」と、本人の前で叫んだ。それだけだった。あとは手を握ったんだか握ってないんだかすらわからない。ひたすら平身低頭。たぶん何も言い返してもらってない。でも、それでいい。あややとかなっちとかに対しては、ちょっとやそっとの握手で気持ちを伝えるとか、何を言い返してもらえるとか、そういう話ではない。もうなんでもいい。


最後、中澤裕子

いちばん印象に残っている。冗談のような力強い眼力にてこちらの両目をキッときちんと睨めつけると、中澤のほうから「ありがとうございます!!」とガッチリ力強い握手。なるほど当方も中澤の睨みに正気を取り戻して「これからもよろしくお願いします!」 中澤「ありがとう!」

うん、中澤との握手も 10 年で初めてだったんだけれど、年の功というか、そもそも出自からして キャワキャワ な女の子アイドルとかそういう範疇におさまる人ではないから、そのぶん性差とか年齢とかを超越して、いちばんスタンスに人間味があって、単純に感動した。


以上です。