ピエール瀧さんのサイン会に行った話

電気グルーヴピエール瀧さんの単行本「ピエール瀧の23区23時」が10月に発売されました。
その名の通り東京23区を1区ずつ丹念に散歩していく街歩き本。歩く時間帯がおおむね夜の23時あたりに設定されているのがポイントだと思います。
こないだ11月1日、ヴィレッジヴァンガード下北沢店でこの本の発売を記念した瀧さんのサイン会が開催されたので、行ってきました。

ピエール瀧の23区23時
ピエール瀧の23区23時
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ピエール瀧
産業編集センター
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サインしてもらいました。

お恥ずかしながら僕の長年名乗っているハンドルネーム・ピエールは、ずばり瀧さんから拝借したもので、もちろん瀧さん好きです。電気グルーヴのライブに足を運んだこともある。面と向かってお話するのは今回が初めてのことでした。
サイン会の整理券は先着100名限定だよ、と公式にアナウンスされており、どれほどの人気なのか正直あまり見当がつかなかったので、ためしに配布初日の開店時間、朝10時にヴィレッジヴァンガードの店頭に行ってみました。これで入手できなかったら仕方ない。
ところが特に行列もなにもなく、結果そのまますんなり整理券を入手できてしまいました。番号は4番とほんとに最初のほうで、拍子抜けするほど。とはいえ、この初日だけで整理券は100名に配り終えましたよ、というくらいのさばけ方ではあったので、とにかく油断しなくてよかったです。
そして迎えたサイン会の当日。集合時刻より少し遅れてヴィレッジヴァンガードの会場に赴いたため、整理番号はもはや関係なく、行列の最後尾に並びます。ほどなくして瀧さんが登場。マイクとかは用意されてなかったので声は聞こえませんが、泰然自若って感じで着席し、ほどなくしてサイン会が始まります。ゆったりした感じで1人1人と丁寧に接している瀧さん。実に朗らかな雰囲気。「あだ名をつけてください」みたいな女性の無茶ぶりに応じて、その女性を上から下から、背中くるっと回転させながらジーっと凝視して、あだ名をつけてあげたりもしてました。
やがて僕の番。サインしてもらうときには自分の名前も一緒に書いてもらえるのですが、これは事前に整理券の裏側にわかりやすく記入しておくシステムで、これはもうこれしかない、ということで僕のハンドルネームであり瀧さんの名前でもある「ピエール」を書いてもらうようにしました。
スタッフの方を介して瀧さんの手元に整理券が届く。

自分:恐縮ですがネットのハンドルネームとかでピエールを名乗らせてもらっていて……
瀧:お、同じ名前だ。どこから取ったの?
自分:瀧さんから拝借させていただいたんですけど……
瀧:名字は何ていうの?
自分:え? えっと、○○(本名)です
瀧:じゃあ「ピエール○○」ってことだなー
自分:あ、そうなりますね……

ぎこちない会話をしてしまった。緊張しました。
また瀧さん、サインとともになにか一言、その人その人に異なるコメントを書き添えてくれる。サインをしながらのトークは、と同時にどんな一言を書くべきか瀧さん自身が探っている時間でもあったようです。
数秒、しばらく思案したあげく、僕に捧げてくれた言葉は……



ピエール君へ
「苦労かけるね」


これはっ……!!


優しい。ピエールを名乗ってしまったことの悲哀が通じ、共鳴したような感じです。そして逆に申し訳ない気持ちにもなりました。もちろんちょっとしたシャレッ気があってのコメントなんでしょうけれども、「苦労だなんてとんでもない!」と全力で首を振って否定したいような気持ち。ただ結果的には、なんのリアクションも示せず、ただじっと目を見つめて「あ……ありがとうございます!」と握手。サイン本を受け取り、瀧さんの前をあとにしたのでした。
毛布に包まれたようにふわふわで暖かな握手でした。