「ももいろクローバー」の百田夏菜子がこわい

11 月 14 日(土)、秋葉原の「石丸電気」に行って、6 人組アイドルユニット「ももいろクローバー」のミニライブを観てきました。とても楽しかったです。

その勢いで、落語(の、ようなもの)を書きました。なんのこっちゃかわけわからんかも知れませんが。


落語『かなここわい』


秋葉原ではここ最近「今、会いに行けるアイドル」こと「週末ヒロイン」こと
ももいろクローバー』のステージが連日のように催されています。


集まってくるのはももクロちゃんにあてられた歴戦のヲタたち。
彼らは今日も今日とてももクロちゃんの魅力を口々に語り合っています。


あるとき「推しメン」談義が始まりました。


「俺はあかり推し。バタくさいルックス好きなんだよね」

あかり(早見あかり


「俺はももか推し。あの叩き上げ感がパねぇんでアリヤス!」

ももか(有安杏果


「俺はあーりん推し。吸い込まれるような目をしている…」

あーりん(佐々木彩夏


「俺はれに推し。だってなんか俺だけにすげぇ夢中なの」

れに(高城れに


「俺はしおりん推し。これは実に妹萌えではないでしょうか……!」

しおりん(玉井詩織


誰もがそれぞれの「推し」に対する想いを熱く語っています。
しかしそんな中、ひとり「推し」を白状しない者がおりました。


ヲタのひとりが話し掛けます。


「おい、ピエール」
「なんだい」
「さっきから黙ってるが、おまえの推しは誰なんだ?」
「推し? ……いやぁ、推しなんざ誰もいやしないよ」
「するってぇと『箱推し』ってやつか」
「まぁ、せいぜいそんなところかな」
「しかし握手やツーショットチェキ撮影、糸電話などのお遊びで推しとの交流を深めるのも、意外と乙なもんだよ」
「だいたい子どもとの握手なんて興味がないね。ツーショットチェキなんざ単なる生き恥晒しだ。糸電話に至ってはもはやまったく意味がわからねぇ」


威勢よく持論をぶつピエールでしたが、はたと何かに気づいた様子。


「おい、どうしたんだ」
「……そういや、逆にこいつだけは絶対に推せねぇな、って奴をひとり思い出した」
「誰だい?」


百田夏菜子


「かなこ?」
「そう。絶対に推せない。推せるわけがない」
「めっぽう可愛いリーダーじゃないか」
「じゃあ聞くが、あの満面のスマイルはいったいどう説明をつけてくれるつもりだい? ひたすら理解の限度を超えているじゃないか。あぁ、もう思い出すだけでもたまらない。ありゃとっくに表情筋がイカれてらぁ!」
「あんなにすてきな笑顔そうそう見られるもんじゃないよ」
「ちょっと待ってくれ。本当にやめようぜ。こわいんだよ。かなこのことがこわいんだ。だから、このことを考えようとするだけで、頭が、頭があぁぁぁ」


一気にまくしたてたピエールの顔色は、みるみる青ざめていきました。


「ちょっとトイレ行ってくる」


そう言い残すと石丸電気のトイレによろめきながら駆け込んだのです。
そしてそのまま何分経っても出てきません。


「なんだあいつ。ももクロヲタの風上にも置けやしない」


しばらく会話の内容を聞いていたヲタのみんなは憤怒。
そんなピエールをこらしめるべく、
ためしにちょっとした「いたずら」を仕掛けてみることにしました。


数分後、ひとりのヲタが、
ピエールが閉じこもったままのトイレのドアをノックします。


「おぃ、ピエール。身体の具合はだいじょうぶかなこ?」
「ちょ、その名前を出さないで」
「冗談だよ冗談。はい、プレゼント。これでも見て元気を出して」


そう言ってひとりのヲタが石丸電気のビニール袋をピエールに手渡しました。


「かなこだ! 全部かなこだ! かなこがいっぱいだぁ!」


中身を見たピエールはすぐに悲鳴をあげました。


石丸電気のビニール袋の中には、ヲタのみんなが金を出し合い、
物販の列に並んで大量に買い漁った「百田夏菜子グッズ」の数々が入っていたのです。


ヲタのみんなはピエールの悲鳴を聞いて
「かなこのことを悪く言ったバチが当たったwざまぁwww」と大はしゃぎ。


「うわ、かなこの生写真だ! かなここわい!」
「やびゃぁ、今度はかなこのポスターだ! かなここわい!」
「うりぃいいぃぃ、かなこの生声がアラームになった直筆サイン入りめざまし時計なんてものまで入ってるじゃないか! かなここわい!」


「……おい、でもピエールのやつ、実はちょっと嬉しそうじゃないか?」


どうも様子がおかしいのに気がついて、ヲタのみんなはトイレの中を覗いてみました。


「かなここわい! こんなこわいものは食べちゃうぞー!(ブチュー」
「なんでぇ、かなこのポスターにキスしてやがる。なにがこわいもんか!」
「あ、見つかった( *´3`)」
「おぃ、ピエール! 本当はいったい何がこわいんだ?」



「えへへ、ここらで静岡のお茶が一杯こわい



かなこ(百田夏菜子静岡県出身。通称「茶畑のシンデレラ」)

ってことで、元ネタはもちろん落語の古典「まんじゅうこわい」でした。おあとがよろしいようで……。


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