吉木りささんお笑いバトル「スタモン」優勝に歓喜の一夜

9月24日(土)の夜、東京・下北沢の北沢タウンホールで開催されたお笑いイベント「スタモン」吉木りささんが出演するので行ってきました。
これまで幾度となく激闘が繰り広げられ、今年の正月にはテレビ東京で番組化もされた「言語遊戯王」の流れを汲んで、今回から新たに始まったイベントです。いろいろルールはあるのですが「人物名(上の句)と攻撃(下の句)を組み合わせて、その面白さを1VS1で競い合う」というのがおおまかな流れ。ランダムにカードが配布されるという運の要素もありながら、それぞれ出場者は持ち前のお笑いセンス、大喜利の実力が問われるというライブです。吉木さん以外の出演者は、鬼ヶ島、THE GEESE尾関、バッファロー吾郎・木村、浜野謙太、℃-ute中島早貴と、さながら異種格闘技戦。トーナメントで第1回チャンピオンの座が争われました。
で、この大会で、我らが吉木さんがぐいぐい勝ち抜いていっちゃって、最終的にはなんと優勝してしまったんです。すごい。びっくり。大騒ぎです。
今ひとつ興奮が伝わりにくかったりするのですが、今回のイベントで吉木さんがタイマンで戦って撃破したのが、「キングオブコント2011」決勝進出して5位になった鬼ヶ島(1回戦)、ミュージシャンであり俳優としても活躍している浜野謙太(準決勝)、そして「キングオブコント2011」では準決勝で敗退したもののコントには定評のあるTHE GEESE尾関(決勝)。こういった強豪の男性陣を、いずれも「おもしろさ」で上回って、いわゆる「アイドル枠」で登場した吉木さんが頂点に輝いた。
歴代の「言語遊戯王」の覇者と並べてみると吉木さんの異質さがわかりやすいかも知れません。正月のテレビ東京言語遊戯王 THE TV」で優勝したのはバナナマン設楽。今年2月の中野サンプラザでのイベントで優勝したのは東京03豊本。昨年オードリー若林が2連覇したこともあります。最終的には芸人が順当に勝ってしまう大会ではあり、そんな中で、イベント名が変わったとはいえ、主催者が同じ、ゲームシステムもほぼ同じ、司会も南海キャンディーズ山里と同じ、といった布陣の中、吉木さんが勝っちゃった。
このイベントではアイドル枠としてこれまでにも「キャンパスナイトフジ」で吉木さんとともに活躍した藤岡みなみや、吉木さんもお気に入りのももいろクローバーZ(出演当時はももいろクローバー)、そしてこないだ吉木さんとテレビ番組の収録で初共演を果たしたモーニング娘。道重さゆみといったメンバーも出場してきました。それぞれに本戦だったりエキシビジョンマッチみたいな出演の仕方だったりと扱われ方は違うので一概には言えないのですが、これまでのそんなアイドル枠の人たちが期待されながらもなかなか実現できなかったことを、吉木さんがやってのけたような気がしています。
その手腕には司会の山里もhttp://natalie.mu/owarai/news/57006:TITLE=舌を巻くほど。

吉木さんめちゃめちゃ強かった! マシンガンのような感じ。スピードがとにかく速いんだけど、その人物がこれをしたら面白いだろうという落差を生む答えを的確にどんどん出せる。正直、今後吉木さんを崩すのは結構難しいんじゃないかと思いますね。

大絶賛です。元来頭の回転が速いのに加えて、本人も認めるせっかちぶりが若干掛け合わさって、芸人をも凌駕するスピードで回答を生み出していた。しかもこの日の午前中、吉木さんは親知らずを2本抜歯してきたらしく、にも関わらず平然としてて、すごかったんですよ。
もうひとつ注目すべきだったのは、吉木さんの「手札の出し方」がとっても美麗だったこと。ピンと伸ばした指をすらりと揃えて、デッキと呼ばれるテーブルの上にそっと手札を出す。その手札から指をゆっくり離していく際の「文字の見せ方」や「間の取り方」も抜群。さながら囲碁や将棋の一流女流棋士のような手さばきで、その優雅さ、端整さは、最後まで崩れることがありませんでした。
たとえば大喜利巧者として知られるバカリズムバッファロー吾郎・竹若といった芸人は、回答が面白いのはもちろん、前提として書き文字が綺麗だったり絵が上手かったりといった部分でアドバンテージがあったりするんですよね。勝ち負けに関わらず、大喜利としての優雅な魅せ方をきっちり心得ていた吉木さんの活躍は必然だったのかも知れません。
吉木さんの「大喜利好き」は以前から表明されていたこと。自身のブログでも読者にお題を投げかけてその答えを紹介したことが何度かあります。アイドルが多数出演するトークイベントでもコンスタントに良質な回答を出したりしていた。正月の「言語遊戯王 THE TV」も吉木さんTwitterで実況してたりしてましたっけ。あと「笑点」も好きなんだそうです。
昨年、吉木さんが出演していた劇団ひとりのラジオ「劇団サンバカーニバル」公開収録の放送終了後、ぼくが吉木さんに「大喜利が好きなのは誰かに影響を受けてるんですか?」みたいなことを尋ねてみたところ、吉木さんが「“みなみ氏”がブログでやってたのでヽ(´▽`)/」と藤岡みなみの名前を挙げてくれたことがありました。なんかいろいろつながってるなぁ、という気持ちです。
イベント全体としては、これはもうずっと前からそうなんですけど山里の司会ぶりがとにかく最高。個人的にも同世代なのでアニメやマンガ、ゲームのたとえ話がおおよそ理解できて本当にありがたいんです。あと℃-ute中島早貴なっきぃ)が出てきたのは本当に嬉しかったし、吉木さんと同じ舞台に立っていること自体が夢の競演でした。吉木さんに敗れ去った鬼ヶ島、浜野謙太、THE GEESE尾関が、なぜか対戦後にみんな吉木さんとがっちり握手をする、という決まりごとがいつの間にかできていたのも面白かったです。この男性陣みんな吉木さんにメロメロだったのは当然のことでした。
勝戦で吉木さんが優勝を決めた一手は、「健介・北斗夫妻」という上の句に、「の、ただただ卑怯な攻撃」と下の句をつけ加えたもの。組み合わせると「健介・北斗夫妻の、ただただ卑怯な攻撃」という手札で、この字面もう超面白い。吉木さんは基本的にアイドルさんなので、いくら面白さの極限を目指しても下ネタやブラックなネタを披露するにはある程度の限界があると思うのですが、その点「スタモン」では「そのフレーズを手札として持っている」ことを最大限に生かして、それなりのアナーキーな笑いを無言で淡々と生み出していけてたのが、本当にすごくよかった。
ゆるふわなワンピースで可憐にステージに登場した吉木さん。例のごとく美しいわ、予想以上に面白いわ、結果的に最強だわ、で、なんかちょっとこれ以上ない一夜でした。