真野ちゃんはモラリスト

ハロプロの超正統派ソロアイドル・真野恵里菜のイベントが 28 日(土)に東武百貨店池袋店・8F 屋上ステージ、29 日(日)に東京ドームシティ・ラクーアで催されたので、2 日連続で行ってきました。

真野ちゃんは何が良いって人間性が良いところが好きです。イベントの MC がそれなりに面白くて、ときに台本どおりに、ときに自らの持論をもってして、モラルのあることを言い続けるのです。


たとえば東武百貨店のイベント MC ではこんなことを話してました。

先週の金曜日に藤本美貴の結婚披露宴があったらしく、真野ちゃんも後輩として出席したんだそうです。で、真野ちゃんが「結婚式に何を着ていこうか」とマネージャーと相談したらしいんですね。

マノモラルが発揮されます。


披露宴に着る衣装をマネージャーさんと買いに行ったんです。
マネージャーさんには『清純派を表すために白で行こう』って言われたんですが…。

真野「白でいいんですか?」

マネ「いいんだよ」

真野「いやいやダメですよ!」

ってことになって、結局、黒の服を買いました。
参照

マネージャーを説き伏せた。

結婚式のマナーとしては「白は花嫁の色だから着ないようにする」というのが常識なんでしょうね。だから黒の服を買う。「清純派だから白でいこう」というマネージャーに反駁しうるだけのモラル。よくできた子じゃないですか。

真野ちゃんはマネージャーを説教する」

という冗談めいた都市伝説があるのですが、真野ちゃんはこの話をファンから教えられてしまい、律儀にも公式ブログで「なんですかそれ???」と返答したことがありました。

でも今回の結婚式の一件なんてちょっとした「説教」ですよね。あながち冗談でもなかったと。もちろん真野ちゃんはなにも間違ったことを言ってないわけですが、こういうガチで常識人なところが、ひょっとするとアイドルとして鮮烈なインパクトを残すための阻害要因になっているのかも知れません。

真野ちゃんほど世界の平和と秩序を保つために必要な存在もいないと思うのですが…。


お客さんを魅了するだけの才能はもちろん持ってるんです。

ラララ-ソソソ」という自分の曲をプライベートレッスンで弾いてるという公式動画が YouTube に去年アップされていて、すこし時代は遡るんですけど未見の方はぜひ一度ご覧になってください。時代に左右されないエバーグリーンな良さをまとっています。

袖をすこし捲ったカーディガンの黒髪ポニテ少女が時折笑みを浮かべながらいい姿勢でアップライトピアノ弾いてるんですよ。出来のいい娘の成長を見守る父親のような心境ですよ。

もうそれだけでも既にフルコンボでお腹いっぱいなのに、さらには一通り演奏し終わって周囲のスタッフから拍手をもらってる中、真野ちゃんが一言

「うふふ、まちがえちゃった」

みたいなことを漏らすんです。完璧です。

所詮アイドルなんてものは虚業だし偶像だし、信じれば信じるほどどん底に突き落とされるリスクも大きい罪作りな存在なのかも知れませんが、少なくともこの動画でピアノに向き合っている真野ちゃんの姿には何ひとつ嘘がない。


そんな真実の人・真野ちゃんのファーストソロアルバム「FRIENDS」が 12 月 16 日に出るということです。ソロデビューから一年半が経過し、待望の作品です。

シングル表題曲の「マノピアノ」「ラッキーオーラ」「ラララ-ソソソ」「乙女の祈り」「世界は サマー・パーティ」「この胸のときめきを」+新曲 4 曲+ライブ用書き下ろし曲で既に披露済の「まつげの先に君がいる」を含めた全 12 曲入り。

真野ちゃんワークスについてよく語られる印象は「 80 年代の角川映画の主題歌みたい」。同じピアノ弾く人つながり&事務所つながりで KAN が真野ちゃんのデビューから 5 曲のシングルで作曲していて、そこでカラーが統一されてもいます。実際 KAN は 86 年の大林宣彦の映画「おかしな二人」で音楽を担当したりしてるので、あながちつながりのない話でもありません。

今回のアルバムには、最新 5th シングルでやや毛色のちがうはっちゃけソング「Love&Peace=パラダイス」が収録されておらず、そのあたりからも統一されたカラーをより強く打ち出したいとの思いが伝わってきます。


そして、なんといっても凄いのがこのアルバムのジャケット写真です。

どうですか。

往年の沢田研二以来じゃないですか。

正直、楽曲の質や歌唱力みたいなものに関しては、真野ちゃんよりも世間の興味関心を集める歌手がいっぱいいるかも知れない。このアルバムが売れるか売れないかというのも難しいところです。

でも、このジャケ写だけはさすがに問答無用で破壊力抜群でしょう。みなさんジャケ買いしましょうジャケ買い。初回限定盤だけのおたのしみですよ。

収録曲:1.乙女の祈り 2.OSOZAKI 娘(※新曲) 3.世界は サマー・パーティ 4.いつもいつでも(※新曲) 5.ラララ-ソソソ 6.はじめての経験 7.ラッキーオーラ 8.サンタのサキソフォン(※新曲) 9.この胸のときめきを 10.まつげの先に君がいる 11.おやすみなさい(新曲) 12.マノピアノ(Album ver.)

ちなみにラスト曲の「12.マノピアノ(Album ver.)」については 29 日ラクーアの MC で、ボーカルと演奏を録り直した新録バージョンだと話してました。おもえばデビュー曲の「マノピアノ」、初めてファンの耳に触れたときは、真野ちゃんのその超絶的な歌唱力にみんなズッコけたものでしたね。もう懐かしい話です。

へたはへたなりの味がある。上達すれば上達したなりの聞きごたえがある。どちらに転んでも楽しめるのが真野ちゃんの良さだし、敷衍すればそれがアイドルの良さでしょう。音程ははずすけど、やることは決してはずさない。それが真野ちゃんですよ。伝説の「マノピアノ」がどのような変貌を遂げるのかも楽しみなアルバムです。