「バンバンバン」と「ブラタモリ」の歩く道

毎週金曜日の昼に放送されている TBS 系( MBS 制作)の板東英二バンバンバンをよく見てます。


板東英二が日本各地に旅立って、山に登ったり、川や海に潜って漁をしたり、温泉に入ったりします。最終的にはゆで卵を食べます。毎週原則的に生放送。今年 4 月に始まったばかりの番組で、69 歳という年齢にしてやたらアグレッシブに行動するし、好奇心も旺盛なようだしで、見ていて飽きません。板東英二トークも衰えを見せておらず、時事ネタから愚痴、減らず口までポンポン飛び交っていて、きっちり笑える番組でもあります。

4 日の放送はちょっとした夏休みというテイストで、過去数回の放送を振り返る番外編のような内容でした。普段は中継に出ずっぱりの板東英二もこの日ばかりはスタジオに座っていて、ゲストでこれまでも数回出演しているラサール石井MBS のアナウンサーなどと VTR を見ながら撮影の裏話などで盛り上がっていました。

で、この放送の序盤で、板東英二がたしかこんなことを言ってたんですよね。

「スタジオで喋ってるだけでギャラがもらえるなんてありがたい」

この番組ではロケに出かけることが当たり前になりすぎて、「スタジオからの放送なんて夏休みのようなものだ」と言うんですよね。ビデオ録ってないんですが大意でこんな発言でした。生放送はたしかに毎回 1 時間が過ぎれば自動的に終わるのですが、ときには僻地まで足を運ぶために移動に何時間もかかるんだそうで、朝早く家を出発して、夜遅く帰ってくる。そのぶん体力も消耗する。ぎっちり一日仕事なんです。

今のところ板東英二は問題なく健康そうだし、元プロ野球選手ってことで常人離れしてたくましいから成立してるという部分はあると思うんですけど、「トシのわりに無茶してんなー」という、大ベテランがこの年齢になってまで若い人がやらないようなことをやってる映像の面白さがいちいち強烈です。

このさき秋から冬にかけては「冬山で登山がしたい」なんてことも板東英二みずから言っていました。「バンバンバン」でいままでに中継に行った場所を確認してみると、北海道や東北の北日本はまだ一度も訪れてないようです。この冬、「バンバンバン」の北上に歯止めは効きそうもありません。


という流れで話をつなげますけど、タモリNHK 総合でブラタモリという新番組をこの秋から始めるそうじゃないですか。

日本坂道学会副会長」タモリによる街歩き番組で、一回だけパイロット版を放送してみたら好評だったという流れでレギュラー化に至ったようです。イメージとしてはどうしても「タモリ倶楽部」がダブっちゃうわけで、本人やスタッフを含めて誰もがそこを意識し、また差別化を図ろうとするはずですが、ひとつ言えるのはこれもまたタモリ流の「フィールドワーク」であることです。

ミュージックステーション」や「エチカの鏡」なんてのは、極言すればスタジオで座ってトークだけしてりゃいい番組で、肉体的には楽なもんです。また大御所だし年齢的なこともあるし、そういう仕事をしても誰も文句は言わない。

そこをあえて外に出る。「足」を使う。タモリ 64 歳。

この番組の企画をパイロット版、そしてレギュラー版、ともに快諾したというのは、きっと根底に「外に出たい」というのがあったはずです。テレビ局やスタジオアルタの往復だけでは退屈なんでしょう。

決して「バンバンバン」みたいになんでもかんでもベテランが無茶すりゃいいってわけでもないのですが、功成り名を遂げたベテランが、スタジオを飛び出して「外」に触れる。目を輝かせる。そんな番組が恒常的にあると、見ているこっち側も、「このおじちゃん達だってキラキラしてるんだから…」と、なんだか浮き足だった心持ちになる気がするんです。「テレビを消して街へ出よう」みたいな啓蒙にさえなりそう。ゆくゆくは経済活性化なんかにつながるといいんじゃないでしょうか。

ブラタモリ」は 10 月 1 日(木)22:00 スタートの 43 分番組。バラエティ的には日テレ系「ダウンタウン DX 」や TBS 系「ひみつの嵐ちゃん!」の裏です。昨年 12 月放送のパイロット版も 23 日(水)深夜 0:10 に再放送されるそう。ちなみに番組名は「ブラタモリ」だと、上着の下にこっそりブラジャー着けてるタモリみたいな変態姿をどうしても夢想してしまうので、「タモサンポ」あたりがよかったなー、と思ってるのですが、既に「ちい散歩」もがあるのでムリでした。そういえば地井武男も 67 歳なんですよね。


というわけで、まるで高齢社会の合わせ鏡のように、還暦のベテランがテレビで歩き始めています。間寛平 60 歳のアースマラソンはまた別腹です!