ビートたけしの「テレビ界の世代交代が進まない理由」

29 日放送の TBS 系「クメピポ」最終回はビートたけしがゲストでした。

その中で「テレビ界の世代交代」について語っていた部分を書き起こします。

「今の若いヤツは…」なんて態度の人に比べると、よっぽど懐が深かったです。

久米:昔の VTR の中でさんまさんとね「オレとタモリの時代はもう終わった」ってタバコ吸いながら(※「ひょうきん族」でたけしが言ってた)。

でも、あれずいぶん前の映像ですけど、なかなか終わってないですよね時代がね。いつまでも経ってもたけしさんがいてタモリさんがいて、って。これ終わんないっていうか、次が来ないっていうか、代替わりしないっていうか、なんなんですか?

たけし:結局、テレビで我々のあとのタレントも才能があって優秀なんだけど、それをバックアップするテレビの予算と流れ自体が落ちてるんで、上がってこられないだけでしょう。

カールルイスの時代って、カールルイスのあと、カールルイスよりもいい記録出してる奴がいるんだけど、爆発的な人気が出ない。ボルトみたいに強烈なのは出るんであって。スターが出るには実力と土壌がなきゃだめですよね。

今の人たちは、テレビでギャグやなんか観てると「いい才能してるなー」とは思うんだけど、いかんせんその発表の場が「ひな壇」の上だったり、クイズ答えながらひとこと言うだけでとか、完全にその人の本当の実力を見せてなおかつお客が見てくれる土壌がなくなってるだけ。

久米:さんまさんより若い人たちが死にもの狂いでやってはない、ってことではないんですか?

たけし:いや、いい才能してますよみんな。そういうの見て育ってきたわけだから。「階段」はもう知ってるわけで。

オレはお笑いの感覚なんかはね、「若い人に負けない」なんて絶対思わない。「負けてるに決まってるじゃん」って思ってる。

千原ジュニア:そういう感覚なんですか?

たけし:そう。ただ、ちょこちょこと、そのネタのやり方ふり方は「オレが作ったことある」って。

ある時期さ、走り高跳びで「ベリーロール」とか「ロールオーバー」とかやってて、「背面跳び」になった瞬間のすごさってあるじゃないですか。あれでオリンピックでぜんぶ背面跳びで世界記録出したでしょ?

でも、最初に背面跳びやった奴は、それだけだよ。記録があとぜんぜんこんなに違うから。でもその人が歴史に残る。だから実力的に今の人のほうが絶対に上だけど、「あ、それオレやったことある」みたいな、優越感だとしたらそこの部分くらいだね。で、やっぱり今のほうが上じゃない、そのアレンジしたやり方だったら。


あと番組冒頭のトークで、都内のスタジオで最近たけしがタモリと会ったときのエピソードが語られていて、それも短いながらよかったです。

タモリがたけしに対して「仕事辞めるときは僕に言ってね! 先越されるのはイヤだから。あなたがやってるから私もやってるんだから」って言ったんだそうです。

たけしが「オレ辞めたらすぐ辞めるの?」って聞いたら、タモリは「辞める!」と答えたという。

あくまで冗談の一環なんでしょうけど、これを額面通りに受け取ったら、ビートたけしが第一線を退いたそのときにバタバタッと一気呵成に世代交代が進みそうだ、ってことにもなりますね。うーん楽しみで恐ろしい。