板東英二の自慢話とそのあしらい方

17 日に放送されたテレ東系「やりすぎ都市伝説」で、語り部のひとりとして出演していた板東英二が、『高倉健渡辺謙北野武のラブコールを蹴った男』という大仰なタイトルを冠した話を披露していました。

要は「大物からのオファーを足蹴にしたったで」という自慢話なんですけど、板東の語りが若干うさんくさく聞こえてしまう。それは板東も自覚していて、だからこその大きな括りでの「都市伝説」とも言えます。

そんな板東英二の得意げな話ぶりを、今田耕司東野幸治という MC 2 人は、とても軽やかにあしらっていました。決して「さすが板東さん」だけでは終わらせない。眉唾の姿勢で聞いている。

ただ、板東も板東で後輩からの非礼に対しては抜群の受け身を取っていて、これはあるべき大ベテランの姿だなぁ、と思いました。面白かったです。


高倉健のラブコールを蹴った男


わたしのことを皆さん方が
「ホラ吹き」だとか「嘘つき」だとか言いますが
ただ事実を申し上げているだけでございますから


東野「でもね、(高倉健渡辺謙北野武と)そうそうたるメンバーですよ。
普通(オファーを)蹴るようなことないですよ」


このたびも盆暮れになりますと
このようにすばらしい贈り物を…
(と高倉健が親しい人にだけ贈るという風呂敷を見せびらかす)


東野「すごいですね!」


こういうふうにちゃんと包んでですね


東野「『高倉』と(書いてある)」


そして「ミスターベースボール」という映画を
ご存知の方がいらっしゃる…ありましたね?


今田「アメリカと日本の」


そうですそうです


この(ミスターベースボールの)帽子を見ていただくと
ドラゴンズがモデル
そして星野仙一を一応イメージしながら


ところが高倉健さんは野球があまり詳しくなくて
高倉健、これは(映画で)ドラゴンズの監督ですが
「ヘッドコーチが欲しい」ということで


やっぱりあのぼくのことを
高倉健が)「板東さん」と言いますからね
「板東さん、手伝ってもらえないだろうか」というときに


わたし「マジカルバナナ」とかワーワーやってたんで
「それはちょっと…」って(断った)


東野「え、『マジカル頭脳パワー』やってたから断ったんですか?」


いや「3 ヶ月は(撮影のために)要る」って言いますから


今田「まずはひとつめの自慢が終わりましたよ!」


高倉健のラブコールを「どうしても」というので引き受けた男


それではふたつめ(の自慢)まいります


それからしばらくして
「板東さん、来年はちょっとスケジュールをあけておいたほうが
いいことあるかも知れませんよ」


今田「それは誰に言われたんですか?」


高倉健さんに直接パーティのときに


「そうですか」って言いながらほったらかしになってましたら


どうやら名作の「鉄道員(ぽっぽや)」の相手を
健さんの相手を(実際には)小林稔侍さんがなさってましたが


どうもぼくをイメージしていたのであろうと!


年齢的にも稔侍さんよりもぼくは 15 も上ですから


今田「役柄の設定としても」


そしてわたくしがやっぱりあの寒い雪の中でひとり立って
「発車!」
っていうのがもうほんっとに浮かぶじゃないですか
全国の映画館で


東野「結局スケジュール開けてなかったから…(できなかった)」


ただし「どうしても」っていうんで
北海道の富良野の奧まで行きました


東野「え、行ったんですか」


撮影の現場まで行きました
高倉健は)やっぱり忘れてなかったです
わたしの役をひとつだけちゃんと設定してくれました


東野「なるほど」


そしてわたくしが高倉健、駅長に
「夕刊!」
と(新聞配達員としての台詞を)ひとこと言いながら
そのままスーっと(去っていった)


今田「いやだから、チョイ役で出たんでしょ? 鉄道員に」
東野「頭下げてチョイ役で出さしてもらったんでしょ?」


…これはなんですか
あなた方は陪審員ですか? わたしの


今田「あまりにも(話の)都合が、ね?」


渡辺謙のラブコールを蹴った男


しかしケンといえば渡辺謙さん


今田「ハリウッドスターですわ」


そもそも渡辺謙さんはぼくのファンだったんです


今田「え、(渡辺謙は)熱狂的な阪神ファンじゃなかったでしたっけ?」


そうです。わたくしも、阪神ファンです
(※板東は元中日の投手)


今田「え、中日は?」
東野「ちょっとおじいちゃん。おじいちゃーん!」


今田「板東さんのファンというよりは野球全般が好きなんですよね?」


野球といえば板東です


今田「なんですぐすり替えんの!?」


名古屋で食事がしたいということで
わたくしが行きつけの鳥料理のところへ行きました


そしたら
「またぜひとも板東さんとあの自然の演技を
ご一緒に目の当たりにして芝居がやりたい」と


今田「鉄道員も見てくれはったわけですか?」


見ててくれました
そして「沈まぬ太陽」(映画)のオファーが来たんです


東野「え、沈まぬ太陽ってホンマですか」


そして
「すいませんが最低でも 2 週間(スケジュールが必要)」
と言われたんですけれども
「これがスケジュール 2 日間だったらなんとかなります」
って言ったら
オファーが突然取り消されました


東野「ていうかアレでしょ? 日銭が欲しいだけでしょ?」


北野武のラブコールを蹴った男


それよりも、あのたけしさんが!


今田「ぼくね、たけしさんと 10 年以上番組一緒にやったんですよ。
板東さんのバの字も聞いたこと無いですよ!」


いいえ
「あ・うん」のときにアカデミー最優秀助演男優賞もらったときに
助演男優賞 5 人いました候補が
緒形拳さんもおりました
たしか西田(敏行)さんも


東野「すごいなー」


たけしさんもいたんです


東野「え、板東さんと、緒形拳さんと、たけしさんと」


西田さんもいた


東野「西田敏行さんもいてて」


あと山崎努さん


今田「山崎努さんは何の映画で?」


「あ・うん」です
(※このあたり板東の記憶はけっこう曖昧で
山崎努は「あ・うん」には出てない)


で、座ってたんです
「さぁそれでは!」
ってこうなんかライトでガー回して


「最優秀助演男優賞は…板東英二さん!」
って言われたときに


本当に山崎努さん
「なんでや!?」
って言うたんですよ


東野「そらそうや。本命!」


でもぼくは出て行ったんですけど
そのときにたけしさんが言ったのは
大久保清(※昭和の死刑囚)の役を板東さんがやって
ぼくが刑事になったらおそらくオモロいなー」って


東野「あーなるほど。プランがあったんですね」


水道橋博士「その後に(たけしが)大久保清ドラマやりましたよね」


「だけどそれよりも板東さんがやったほうが」と


東野「監督ならではの目線で板東さんの狂気をね」


それはなんでかな? と思っておりました


その前にもうぼく
木下惠介さんでしょ
黒澤明さんもそうですしね
市川崑さんも
全部出てます


東野「え、黒澤明さんもですか?」


まあだだよ


そして黒澤明監督が
「板東さんで来年は絶対映画撮るからね」
って言って


そしてお亡くなりになってるんですよ


東野「板東さん、誇大妄想狂ですか?」