続・ビートたけしと松本人志の映画対談

12 日放送の TBS 系「情報7days ニュースキャスター」で、ビートたけしと映画「しんぼる」の宣伝にかこつけて出演した松本人志との対談の後編が放送されました。先週放送された前編の続きです。

今回スタジオの生放送になぜかビートたけしは不在でした。しかしレギュラーコーナーのいわゆる「たけしメモ」みたいな VTR は何本か事前にきちんと撮ってあったようで、かえって手間がかかっているような気がしました。

たけしの代役として所ジョージが出演してました。ちょっと珍しい感じですが先々週 8 月 29 日も同じように出ていたようです。最近仲が良いらしい「たけし×所」のカップリング。所は「明日(日曜日)もたけしは自分の家に来る」と言ってました。

さて「たけし×松本」対談は先週より短めで、映画はもうほとんど関係なくなってます。

しかし内容的にはかなり濃かったです。「ふたりは今のお笑いをどう捉えてるか」「自分たちのコンディションはどうか」というあたりが、主にたけしの先導によって示されていました。


・己の衰えを認めるたけし

たけし:ちょっとお笑いに関してはどうなの? 今
松本:(笑 いや、たけしさんにそう言われると僕も困るんですけど。どうなんでしょうか?
たけし:俺はもう、要するにきよしさんとシャレでも漫才できなくなっちゃってるし
松本:はぁー、いや、そうですか
たけし:俺ね、今(松本が)40 いくつでしょ?
松本:はい
たけし:その頃ね、完全にね、頭ダメになっちゃってたからね
松本:ニャハハ(笑 はい
たけし:アドリブがまるっきり利かないの
松本:あ、あー、どう、そう、そうですか? うーん
たけし:なんかほら、お笑いってさ
松本:はい
たけし:その瞬間にいちばん適切な言葉があるじゃない?
松本:はい、バッと出てきた中で、はい
たけし:それでいちばん面白いことを言う奴の勝ちじゃない?
松本:はい
たけし:ところがね「えーっと…」ってなっちゃった。イメージではあるのに「えーっと…」って
松本:うーん
たけし:「あ、これはアドリブ出来なくなってる」っていうか
松本:うーん、まぁ
たけし:すごいショックだった
松本:それをズバッと言うところがすばらしいなとは思うんですけどもね
たけし:(笑 (松本は)詰まんない? 最近は。パッと出る?
松本:今のところ、まだ大丈夫…まぁでも、そうですねー、波はありますけどね、はい

たけしが自らのお笑い芸人の「幕引き」として、かなり核心みたいな部分に自ら言及してる。「えーっと」ってアドリブ利かなくなって「すごいショックだった」とかって。かなりヘビーな話じゃないですか。もちろん年齢的なものもあるし、みんなうすうす勘づいていることとはいえ、ちょっと正直すぎです。


・テレビのお笑いの停滞

たけし:あのお笑いのさ、あの、サイクルがすごく早くなって
松本:はい、はい
たけし:サイクルは早いんだけど、あんまり進化はしてないと思うんだけど
松本:そうですね、少し足踏み状態というか
たけし:グルグルグルグル(小さく)このへんで回ってるじゃん?
松本:ええ
たけし:ただ、ネタの進化じゃなくて「やる奴が変わってるだけ」っていうか
松本:はい
たけし:それがなんか、なんて言うんだろ、落ち着かなくてしょうがないよね
松本:はい

エンタ芸人やレッドカーペット芸人を漠然と連想。


政見放送には放送コードが無い

たけし:あれは俺一回ね、前にね、ビートきよしさんとね、衆議院立候補しようと思ったの
松本:はい
たけし:それで 5 分間
松本:はい
たけし:NHK で「政見放送」できるでしょ?
松本:はいはい
たけし:あれ何言ってもいいわけだから
松本:あ、あれ放送コード無いんですね
たけし:無いの
松本:そうですね
たけし:だから今まで怒られた放送禁止用語をずーっと並べてやろうかと思って
松本:(笑 それがやりたいだけのために!

政見放送は放送コード関係なし」だそうです。ただ、放送禁止用語とかそこまで極端にならなくても、いい意味で放送コードなんかすっ飛ばせ、くらいなお笑いがテレビの場で見たいですよね。昨年末のテレ東の特番で笑福亭鶴瓶が水着の女性とローションまみれだったのが今でもいい思い出です。


・昔の話をよく蒸し返される

たけし:テレビはさ、正直にさ、あのー、ダメな場合は使ってくれなくなるじゃん?
松本:はい
たけし:すごい正直じゃん
松本:はい
たけし:だから、長持ちしてることはしてるけど、よく考えればさ、いろんな人が出たり入ったりしてるわけじゃない
松本:はい
たけし:「アイツはどうしたアイツはどうした」って。俺らは「しぶとい」んだと思うんだけど
松本:はい。(中略)で、「昔より面白くなくなった」みたいに言われるときもありますからね。「でもそれは昔オッケーやったところをカットされてんのや」というところを分かってもらえない、っていうツラさもありますし。うーん
たけし:いやもう、俺なんかはもう、昔の話ばっかりされるもん。「たけしは昔おかしかった」とかさ。「昔に戻れ!」って、誰だそんなこと言ったのは? っていったら相棒だった(笑 きよしさんが言ってたって。「お前に言われたくねーよコノヤロー」って

「昔のほうが面白かった」を肯定してる感のあるたけしと「昔より面白くなくなった」を否定したい松本。現役感の違いでしょうか。
それにしてもたけしの話にはビートきよしを絡めたネタが多いですね。そして軽いトリビアとして「ビートキヨシ」がいつの間にか「ビートきよし」にプチ改名していたことをご案内します。往時も「ビートきよし」だったようで、たしかに平仮名表記のほうが「ビートたけし」との対比でしっくりくる。


・若手芸人を憂う

たけし:なんかねみんなね、今のタレントの人ね
松本:はい
たけし:あのね「生き急ぎしてる」っていうかね、焦ってる感じがしてしょうがない
松本:うーん。ま、たしかに若手なんかは正直ちょっと「歯車化」してる感じはあるんですけどね

(中略)

たけし:若手の人、逆に言えば、「ちょっとかわいそうじゃん」っていうか、もうちょっとじっくりやらしてあげりゃいいのにとか思ってて
松本:あとやっぱりこう、どうしてもスベリ芸というか、「弱芸(よわげい)」に逃げてしまいがちですねー
たけし:うん、うん
松本:だからアレはぼくはお笑いで言うところのステロイドというか、それをやっちゃうと、あのー、たしかにその時はいいんですけど、どんどんカラダが蝕まれていくというか。選手生命が短くなっていくなー、っていう感じはしますね

たけしの若手への視線が比較的寛大である一方、これは松本の「スベリ芸はステロイド」発言がドンズバ。お笑い芸人にとっては厳しくも優しい発言だと思います。

ちなみに対談のラストは、その対談場所にいろいろ事前準備してあった変装用の道具をたけしが活用。井上陽水を真似るつもりでヅラとグラサンをつけたら、なんだか北朝鮮のトップの人になっちゃた、というニュース番組らしい終わり方でした。


・VTR 終了後

所ジョージなにをちゃんとしたこと言ってんですか? あの方たちは。なに話し合ってんですかホントに
安住アナ:たぶん空気に耐えられなくなって、(最後に)なんか面白いことやりたくなったんですね


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