Perfumeのアイドル防衛戦


Perfume の札幌ライブには、もしかしたらちっとも楽しめないかも知れない、という不安を抱えたまま観に行ったんです。

のっちとかしゆかの例のアレが影を落としてないか? とか、もうユニットとしての鮮度が失われちゃってるんじゃないか? とか。個人的にもリアルな Perfume に昨年 11 月以来ふれてこなかったぶん、疑心暗鬼に苛まれてしまっていました。

しかし、結果的にはどれも杞憂に過ぎなかったんです。


そもそものっちとかしゆかの例のアレなんてぼやかして言ってますけど、詳しいことは知らないです。知らないんですけれどなにか問題でも? そんなものには目もくれてやらないのがいちばんの得策です。スキャンダラスで好奇な目線にさらされるという事態そのものにものすごーく反発心がある。潔癖と言われればそれまでだ。

MC でどうも「お騒がせしてすみません」とか謝った会場もあったらしいんですが、しかし何を謝ることがあるのかと。知らんがなと。そんなノイズは気にしないで楽しみたいんです。もちろん礼儀としてわからなくもないですけど。

で、謝られてテンション下がったらイヤだなぁ、と思っていたんですが、結局ぼくが赴いた 2 日目の MC ではいっさいそこに触れられることはありませんでした。もしかしたら 1 日目になにか言及があったのかも知れないし、他の会場でも今後同様のことがあるかわかりませんが。とにかくよかったです。知ったこっちゃ無いってんですよ。PerfumePerfume だ。

キャリアのわりには妙にスレてない。たとえ売れても増長したりしない。そんな人間性のよさやユニットとしてのまとまりで、本来こぼれ落ちそうないろんなものを次々とガッチリつかみ取ってきた人たちです。そこの芯の部分の大事なところを、こっちが信頼してやらなくてどうするのか、って話です。


もちろん、これ以降しばらく露骨な恋愛ネタはタブーになるんじゃないか、という空気はありました。MC のときに Perfume は会場にいるファンのコスプレいじりみたいなことをするのですが、Perfume 側からの「どうやって作ったん?」みたいな問いかけに、女性のコスプレイヤーが客席から「彼氏と一緒に作った!」とか言ってたんですよね。

正直な回答なんでしょうけど、そのとき一瞬会場の温度がちょっと下がったような感覚に陥りました。少なくとも Perfume のライブにおける NG ワードとして「彼氏とかいいなー」「超欲しいー」みたいなものが加わっていることはたしかなようです。

とはいえ MC では、かしゆかとのっちが幼い頃の初恋の話なんぞをしておりました。のっちの小学校時代の両想いとか、かしゆかの函館に住んでた頃のワイルドな男友達のエピソードとか。平和なことです。


また、あ〜ちゃんのテンションが半端なくよかったです。ライブが進行していくに連れグイグイグイグイ昂ぶりを見せていったようで、泣いたりこそしてませんでしたけど、特に後半に入ってからはこれまで見たことないようなくらい満面の笑みでずーっと踊り続けていました。決して変な意味じゃなく、盛り上がっちゃってるお客との相乗効果で、ほんとにすごい輝き。

釣られたのか、かしゆかやのっちも振り付けや立ち位置を豪快に間違えるなどしており、そこがまた楽しそう。のっちがかしゆかに「今、まちがった?」とかオフマイクでワチャワチャ言ってるのが口の動きから読み取れました(妄想含む)。全国ツアー中のたかだか一会場とはいえ 3 人とも満喫していたようで何よりです。

むしろかしゆかが最後のほうで何度か顔を両手で覆ったりしてて感極まってるように見えました。気のせいかな? あくびしてたとかいうわけじゃないと思うんですが。とにかく今のところ Perfume はまだぜんぜん大丈夫でした。本当に要らぬ心配だった。特にあ〜ちゃんは地下アイドルもかくやというばかりのエナジーで、まだまだ野心に満ち溢れているようでした。


もうひとつ、Perfume ライブでは客いじりに余念がありません。途中あまりの 3 人からプレッシャーに「こっち見んな」と視線を逸らしそうになるほどです。のっちはアンコール後の MC で「このままお客さんと飲みに行きたい!」とか節操のないことを言っていて、いくらかリップサービスが過ぎると思いましたが、もしかしたら演者と客とを隔てる見えない障壁さえ無ければ、特に下心もなくお互い本当に行きかねないな、と錯覚してしまえるような気楽さがそこにはありました。

会場では「本人に花束やプレゼントを直接渡すことができません」とか張り紙で注意書きが掲げられています。実際、客席からステージ上へとなにやらブツが投げ込まれたりといったハプニングがあったりしたらしく、防犯の目的が大きいんでしょう。

しかし、そんなことはまったくおかまいなしに、むしろ Perfume 本人たちの側からお客さんに「それ、くれるんですか?」ってステージ上からプレゼントを手渡しで催促したりしてるのが笑えました。スタッフの意向無視! なんたるパンク! ただこれは本人達の不注意とかじゃなく客が中田ヤスタカのコスプレを身に纏った常連のようだったから心許した部分もありそうです。

商業的に大成功しちゃったせいでどうしても大きな会場でばかりライブやらざるを得ない状況になってますけど、本当はこういうファンとの交流みたいなことがいちばんやりたいんじゃないかとさえ思います。アグレッシブな姿勢が見られる。久しくライブで見ないうちに MC の広島弁が以前よりさらにディープになってきたように感じられるほどのフランクさでした。


しいて引っかかった部分があるとすれば、MC の客煽りネタが、以前とほとんど代わり映えしないことです。男の子や女の子に呼びかけるのとか、TRF や B'z 歌っちゃうのとか、行商あ〜ちゃんによる売らんかな精神まるだしのツアーグッズ販促とか。同じようなことを昨年「GAME」ツアーや武道館公演でやってます。あるいはもっと昔からやってたのかも知れない。

もちろんトークの腕もあるし面白いんです。ちょっとしたマイナーチェンジもある。でも基本的にはいつ見ても同じようなネタを引っ張っていて、驚きがない。こればかりは停滞したイメージにもつながっちゃってる感じです。「これが Perfume ライブでしか味わえない定番のやりとりじゃけえ」ってことなら平伏するしかないんですけれど。

我が身を振り返れば「笑っていいとも」におけるタモリの「そうですね!」を連日嬉々として飽きもせず見ている自分が何をかいわんやという話でもあります。

おもいおこせば「GAME」ツアーでのアドリブ芝居は圧倒的でした。かなりの長尺だったけど、うわ、3 人ともすげぇ…って絶句した。きっちり DVD に収録されてない(はず)なのが口惜しいくらいです。そんなふうな秘めたる芸能的ポテンシャルを今後とも出し惜しみなく放出してもらえればなー、って「願い」があったりするのです。


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