「伝染るんです。」FLASHアニメ化＆DVD発売を祝う

新型インフルエンザ警報発令中のおりに縁起のわるいことながら吉田戦車作の不条理四コマ漫画の金字塔『伝染るんです。』が、このたび FLASH アニメ化！ 8 月 21 日（金）に DVD 作品の第 1 巻が発売されました。第 3 巻まで発売される予定です。

最新号の「 TV Bros. 」では、今や世界におけるテクノロジーの歴史を俯瞰する上での最重要資料となった電気グルーヴのインタビューの他に、今回「伝染るんです。」のアニメを制作した映像作家の「まんきゅう」氏と原作者・吉田戦車との対談も掲載されていました。

しかも電気の最新アーティスト写真でもある「電人ザボーガー」のイラストを、吉田戦車が「伝染るんです。」の世界にひきつけてコラボ的に描きおろすなどもしており、個人的にはお得すぎる一冊です。

対談は半分以上が「仮面ライダー」や「シンケンジャー」など特撮ヒーローの話に割かれており、正直よくわかりませんでした。「主題歌フェチ」を自称する吉田戦車が、電気の「モノノケダンス」を「墓場鬼太郎」の主題歌だからという理由でカラオケで歌ったことがある、というのは心温まるエピソードでした。

とはいえもちろん肝心のアニメの内容についても当事者なりに語っています。吉田戦車によれば見どころのひとつが「メカかわうそ」。この漫画の代表的なキャラクターといえば「かわうそ」ですが、連載の中盤あたりから突如として現れたライバルです。ゴジラに対するメカゴジラ、水戸黄門に対するニセ黄門みたいなものでしょうか。吉田戦車は「これもヒーローメカだ」といいます。

しかも今回の FLASH アニメ化に際して、この「メカかわうそ」だけは、「攻殻機動隊」や「イノセンス」を手がけた 3D クリエーターの人が制作したのだそうです。

もともと「メカかわうそ」は「本物のかわうそよりも 20% いい」という設定ですが、まさかの「 3D 化」。大迫力の出来映えになったといいます。原作でははしょって描かれていたメカかわうそ搭載の「マシンガン」も緻密に表現されているらしく、かわうそがさらに嫉妬心を煮えたぎらせること必至。DVD 第 2 巻に収録されるそうです。

声優陣に目を向けると、「かわうそ」の声を担当するのは「ちびまる子ちゃん」の「永沢君」の声でおなじみの茶風林氏です。適役！そしてカブトムシの「斉藤さん」の声はカンニング竹山が務めています。日テレ系「中居正広のブラックバラエティ」で準レギュラーの竹山はなぜか「カブトムシ斉藤」などという別称で呼ばれていますが、その絡みでまんきゅう氏が起用を決めたとのこと。

なおダムを守る正義の人「ダムダム人」は今回の DVD には惜しくも入っていない模様。ダムダム人ファンには残念なところですが、おなじみのかっぱやかえる、山崎先生など、「伝染るんです。」ワールドの住人たちが四コマの殺伐とした空気をまとって次々と出没するようなので、いつか見てみたいなぁ、と思っています。

ちなみに余談ですが、まだ無職じゃなかったときに職場の後輩男子（ 1988 年生）に「伝染るんです。」の話をしようとしたら、「それ何スか？」って言われて面食らったことを今でも鮮明に覚えています。うろたえながら「え、ほら吉田戦車の四コマ漫画…」と話をつなげようとしましたが、彼は「吉田戦車」をまったく知りませんでした。

たしかに「ビッグコミックスピリッツ」で連載されていたのが 89 年から 94 年だというから年代的に仕方のない面もありますが…衝撃でした。時代性に囚われない普遍的な不条理ギャグ漫画だとは思っています。

CM 「下の方などいない…！」ほか本編 6 話の公式サンプル