案内人

(※律儀にレポるのが飽きてきたのでここからは適宜うそを交えていくことにします)


さぁ、ようやく入場です。

番号札と引き替えに手荷物を預けて手ぶらになると、いつの間にかひざまずいた女性店員が待ちかまえていました。「お帰りなさいご主人様。お風呂にする? ごはんにする? それとも、ア・タ・シ?」とふしだらなことを聞いていたので、よく顔を見ると三好でした。

「なぜ三好ちゃんが?」と驚いたぼくが話を聞いてみたところ、なんでも美勇伝では石川とその他のふたりで給料がぜんぜんケタ違いらしく、「貯金がない」「 CD 売れないからここのバイトでなんとかやってる状態なんだ」と半べそで裏事情を話してくれました。昨日まで「ハロ☆プロパ〜ティ」で元気に踊っていた三好さんの面影は微塵もなく、そこにあるのは憧れの上京を果たしたものの夢と現実とのギャップに戸惑う 21 歳のひとりの女性の姿でした。

「あたし寂しいの・・・」 歩きながらぐいっと腕を絡ませてくる三好。僕は同郷のよしみもあり抵抗もせずそのままテーブルまで密着しながらたどり着くと、「あ、アタシそろそろ行かなきゃ・・・!」と三好はいきなりダッシュで厨房の中へと走り去っていきました。呆然としながら三好の去った先を眺めていると、厨房からは「な〜にやってんねんこのエロ道産子!」と威勢のよい関西弁が聞こえてきます。おそらく岡田の声でしょう。精一杯のハイテンションが、かえって悲壮感を増幅させるようでした。