同席者は

案内されたのは 7 人掛けのテーブルで少々窮屈だったのですが、それ以上に窮屈だったのが同席した他 6 人のヲタの方々とのコミュニケーションです。

僕は僕で元来人見知りのひきこもりですから他人と会話するにしても基本的には「ん」と「ぐぬ」と「梨華ちゃん可愛い」しか発声できずに不自由な思いをしてきました。しかし辛うじて正気です。ところがヲタという連中はそのおおよそが痴呆、電波、植物人間、犬畜生のいずれかに当てはまりますからどいつもこいつもまったく話になりゃしません。

たとえば出された料理を写メで執拗に撮影していた一見リーマン風の隣席の男についてですが、彼が小声でぽつりぽつりとひりだしていた発言をなんとか耳をそばだてて拾い出してみたところ、実は就職活動中の学生であるということでした。ただあまりにぼそぼそ喋るので何を言っているのかいまいち詳しく聞き取れない。「貴様はそんなぼそぼそ喋りのていたらくではどこも採用してくれませんよ」など正しいことを思ったりしましたが口には出しませんでした。

ちなみにその学生はディナーショーが進行していくうちだんだん身体に変調を来してきたようで次第にうわ言を呟くようになり、たしかにそのおかしくなっちゃう感覚は理解できるのでその発言にいろいろ相槌を打ってみたのですが、なぜかそのほとんどについて「ノーリアクション」というひどい憂き目に遭わされましたので、最後のほうはもうほっときました。


正面座席の男は「ディナーショウが終わったらみんなで飲みに行こう!」とノリノリハイテンションで人心を著しく惑わせていました。その男は一見人が良さげで話もしやすいのですが彼は彼自身のしている話にいちいち「うん、うん」と自ら頷く癖があり、また鼻を頻繁にフンフンフンと鳴らすのが非常に耳障りで、一言で申し上げれば挙動不審。

初対面とはいえヲタとしての同志ではありますから興奮醒めやらぬまま飲みにいくのも決してやぶさかではないのです。ただ様子のおかしな貴方とは今回はちょっとご勘弁を・・・と、ディナーショウの終了後は爽やかに「じゃ、お疲れ!」とさっさと逃げ帰ってきました。