お台場「等身大ガンダム」の股をくぐってきた


接写


11 日土曜日、東京はお台場の「潮風公園」にそびえ立っている「等身大ガンダム」を見物してきた。一般公開の初日のしかも午前中のことだ。等身大ガンダムを見物しようとスケジュールを決めたその瞬間から、やたら気分が昂揚するのを抑えることはできなかった。

「本物のガンダムに会える!」のだ。


東京テレポート駅を降りてお台場「潮風公園」までしばらく歩く。おもったより人通りが少ない。意外と人気ないのかな? と思ったが、公園の入口に近づくに連れて四方八方から見物客がなだれ込んできた。車は渋滞している。

潮風公園の中に入ると、喧騒が聞こえてきた。

生い茂る木々をかきわけて、はたして全長 18 メートルの等身大ガンダムが、眼前にそびえ立っていた。


ガンダム大地に立つ!!」


圧倒的なスター性。

ときおり全身からプシューと煙を吹き出したり、頭部を左右に振ったり、眼を光らせたりしていた。外敵の急襲に備えて睨みを利かせているのだ。

眺めていて飽きない。

ガンダムを取り囲むように幾重もの人垣ができていた。ケータイやデジカメ、あるいはムービーで、みんなガンダムを激写していた。

やきそばやカレーやかき氷などの屋台も数多く軒を連ねていた。多くの人たちが地べたでのんきにダベっていた。まるでピクニック気分だ。限定発売らしいガンプラやグッズなどの物販には、公園内を横断するほどの長蛇の列が延々と続いていた。

ガンダムの周りには人が集まる。一本の巨大な花見桜のようでもあった。


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ガンダムの股下を人々が次々とくぐっていた。

「股下をくぐるための行列」が延々と続いていた。基本的にガンダムを見るのにお金はかからないのだが、ガンダムに最接近することができ、あまつさえ自らの手でその脚部に触ったりするためには、行列に並び、その股下をくぐるのが唯一の手段であった。

「列の中で立ち止まらないでください!」 係員の注意喚起の怒号が飛び交う中、みんなそれを無視して立ち止まって、よりベストポジションでガンダムを撮影したい。ぼくも行列に並び、たまに立ち止まってガンダムを接写したりした。

これはなんだかアイドルの握手会のようだぞ? と一瞬、激しく錯覚した。

このときばかりは頭の中がガンダムのことで占拠され、むしろガンダムの名前さえ頭の中で唱えていれば終生報われるようであった。あぁガンダムガンダムガンダムとアイドル。ともに虚構と現実のはざまで人々を翻弄し続ける存在だ。

「アイドルの股をくぐるイベント」

などがもしも開催されるとすれば、参加するのもやぶさかではないかも? と夢想したりもした。むしろ積極的に辱めを受けにいってこそのアイドルファン稼業であろうな、と思っている。股をくぐらせてくれるアイドルがいれば今すぐにでも駆けつけたい。

どうでもいい煩悩に支配されながら、いよいよガンダムの股下にやってきた。

ガンダムの白い脚をそっと触ってみた。「樹脂製」のガンダムの肌ざわり。

その質感は、ほとんどリアルに「クルマ」であった。白い新車にさわってベコってなる感じ。「ガンダムの脚に触ってクルマみたいだなと思う」。そんな日がよもや訪れるとは想像だにしていなかった。

なんだこの未来は。