握手に至る助走

こないだ土日は吉木さん三昧で、2日(土)は秋葉原ゲーマーズ本店で「トーク&ブロマイドお渡し会」、続いてアニメイト秋葉原店で「トーク&握手会」、翌日3日(日)はタワーレコード新宿店で「トーク&ミニライブ&握手会」と、すっかり満喫しました。
すべてyoshiki*lisa名義でのシングルCD「Destin Histoire」発売イベント。震災の影響もあって約1カ月ぶりの吉木さん現場となりましたが、雑誌やラジオやTwitterやブログで頻繁に接している(ような気が一方的にしている)ため、さほど間隔があいたような感じはありません。
吉木さんは前日に美容室できっちり整えてきた髪型含めて相変わらず麗しく、それでいて全イベントで突如として開催されたプレゼント争奪ジャンケン大会では、とてつもない陽気なハイテンションでお客さんをとことん鼓舞。周囲のお客さんの顔を見渡せばそんな吉木さんのテンションに呼応して誰もかれもに笑顔が伝播している、と四方八方から素敵に楽しい空間でした。
またタワレコのイベントでは、すべてが終了して「ありがとうございましたぁあ!!」とステージ上からハケるとき、吉木さん本来のイメージではササッと颯爽と立ち去るはずが、手元に持っていたマイクとスピーカーがぼぅん!と結構なハウリングを起こしてしまい、お客さんに「りっちゃんwww」とツッコまれるなど「はけ下手な女」ぶりを発揮。本人にとっては実に不本意かも知れませんが、不可抗力だしご愛嬌ってことで最後の最後まで楽しませてくれました。


この2日間で吉木さんと2回握手してもらいました。
しみじみ思うのは「握手って助走がたいせつ」ということです。
助走といっても別に吉木さんの前までうおりゃーと全速力で突っ走って凄絶な勢いでブンブン握手してそのままシュタタと風のように立ち去るとかそういう韋駄天、盗塁王的なことではなくって、要するに握手に到るまでの心構えのことです。


最近よく思い出されるのは、中澤裕子安倍なつみ松浦亜弥メロン記念日Zepp Sapporoに集った「HELLO!10TH〜ハロテン〜PARTY」のこと。2008年2月、ハロー!プロジェクト10周年を記念して全国で行われたイベントです。
このメンバーが懐古トーク、カラオケ、握手会などを行ったのですが、やはり特にこの最後の握手会が強烈な印象でした。行列はメロン記念日松浦亜弥安倍なつみとオールドハロプロファンには圧倒的な並び。そして最後を中澤さんが締める流れです。
この握手が今でも忘れられない。
個人的に中澤さんとは初めての握手。モーニング娘。デビュー以来、ここに至るまでの助走期間が、約10年間ありました。
いわゆるベルトコンベア式の高速握手ではありましたが、中澤さんは完全にこちらをガン見して、顔を覗き込むようにぐいっと近づけて、手を力強く握るや「ありがとう!」と、あの関西のイントネーションで一言。
「ありがとう!」。「と」の部分にアクセントがあります。
なにか年齢や性差を超越した、言葉にできないたぎるような熱い想いが、たしかに感じられたんですよね。


で、話は現在に戻って吉木さんとの握手。
吉木さん以上の存在は、今のところありえません。常に満足。なにからなにまで気持ちいい。ただ、そんな吉木さんとの握手においてすら、自分の中での納得度、握手のクオリティみたいなものに、微妙な違いがあったりもする。
おもえば2日(土)にアニメイト秋葉原店で約1カ月ぶりにしてもらった握手は本当にすばらしく、ふんわり超然としたものでした。話の内容もキャッキャウフフ。ある程度ゆっくりと時間が取れて、あれ以上の環境はなかなかない。
一方、翌日3日(日)のタワーレコード新宿店での握手は、お客さんの人数も多くて慌ただしかったというのもありますが、たっぷり楽しんだ昨日の今日ということもあって、なんだか気持ちが平たくなってしまった。起伏がない。反省です。とはいえ最後の「はけ下手」ぶりですべてなにもかも吹き飛んだ部分はあるんですけれども。


アイドルさん握手会には「ループ」という文化があって、たとえば1枚CDを買うごとに1回握手ができるような場合、極端な話「100枚CDを買えば100回握手ができる」。脳が沸いている状態なら握手の列に何回も並びなおして握手マシンと化すことが可能です。
ただ、ぼくもうっかり吉木さん相手にループをしてしまいたい衝動に駆られることがあるんですが、なんか絶対しっくりこない気がするんですよね。
なぜなら助走が足りない。
もちろん吉木さんは笑顔で迎えてくれるのですが、違う、そういうことじゃないんです。1イベントにつき握手は1回きりにするべきなんだろうな、ということをほんのり思ってます。諸々ケチってるとかそういうことじゃなくて、そうじゃないと、せっかくの握手がどうしようもない結末になってしまう。なんというか、価値が下がってしまう気がするんです。
そのかわりチャンスがあるときは、助走をつけるだけつけて、加速して、一気に宙空を舞っていたい。チャンスはいつだって1度きり。弾みでいろいろ飛び越えちゃうなら本望です。価値も意味も言葉も、ぜんぶ。