「踊る!さんま御殿!!」の「アメトーーク」化

26 日放送の日テレ系「踊る!さんま御殿!!」は『マニアな芸能人大集合スペシャル』という謳い文句でした。

ゲストの陣容は「ミニカーコレクター」森永卓郎が意図的なウザさをまき散らしていたのを筆頭に、「昭和歌謡・高層ビルマニア」の半田健人、「家電マニア」の細川茂樹、「漫画・アニメマニア」の加藤夏希、「大映ラママニア」の友近、果ては「メロンパンナちゃんマニア」の大相撲・雅山関などなど、それぞれ特定分野に関するマニアを売りにする著名人たちでした。

最近の「さんま御殿」は、今回の「マニア芸能人」みたいにあるひとつのテーマに添って番組を進行していくことが本当に多くなりました。「離婚経験者」とか「 B 型男性」とか「金持ち vs 貧乏」とか。

これっていうのはもしかして、テレ朝系「アメトーーク」でおなじみになった『くくりトーク』の好調ぶりに影響を受けているのでは…? という気が最近しています。

もちろんいわゆる「ひな壇トーク」の番組という意味ではさんま御殿が圧倒的に先発ですし、以前までもさんま御殿は改編期 3 時間スペシャルみたいなときに限ってワンテーマを貫き通す『くくりトーク』が一般的でした。

ただ、それがいよいよレギュラーにまで浸透してきた。


「さんま御殿」が「アメトーーク」化してきているのかも知れない、というのが今回のお話です。


さんま御殿の公式サイトに過去の番組内容がダイジェストで紹介されています。

ちょっとづつ読み返してみたところ、「 2009 年 2 月 10 日」の内容紹介で初めて、特集名が赤文字で明示され始めました。『バレンタイン直前! さびしい男達に愛の手を!!』というタイトルです。

ここがさんま御殿のレギュラー放送における『くくりトーク』の原点のような気がします。


時系列を遡っていきますが…

・2009 年 5 月 26 日『マニアな芸能人大集合スペシャル』

・2009 年 5 月 19 日『バツアリ芸能人特集』

・2009 年 5 月 12 日『お坊ちゃま・お嬢様 VS 苦労人スペシャル』

・2009 年 4 月 28 日『芸能人コンプレックス特集』

・2009 年 4 月 21 日『インテリ VS ノットインテリ特集』

・2009 年 4 月 14 日『有名人の妻スペシャル』

・2009 年 4 月 7 日( 3 時間 SP )『親子特集』『日テレ新番組「サプライズ」特集』『女性芸能人が憧れる男性芸能人』

・2009 年 3 月 10 日『芸能人 No.1 特集』

・2009 年 3 月 3 日『女だらけのひな祭スペシャル』

・2009 年 2 月 24 日『東北&沖縄出身芸能人 SP』

・2009 年 2 月 17 日『イケメン VS ブサメン特集!』

・2009 年 2 月 10 日『バレンタイン直前!さびしい男達に愛の手を!!』


さんま御殿公式

スペシャル」だか「 SP 」だか「特集」だか、用語の不統一が気になるものの、いわゆる『スペシャル』だらけです。レギュラーなのにスペシャルだらけ。そのあいだには改編期の大がかりな「 3 時間スペシャル」も放送されているのでややこしいことです。


たしかにこれ以前のレギュラー放送にも「飲み友達」とか「美女と野獣」みたいな『くくりトーク』はありました。

しかし公式サイトで赤文字強調されるようになったのも、また新聞のテレビ欄や番組宣伝の煽り文句で目立って「今夜のさんま御殿は○○スペシャル!!」みたいにやたらと喧伝されるようになったのも、ここ数ヶ月のこと。

『くくりトーク』傾向がより強化されている、常態化している、というイメージです。


さんま御殿にはいわゆる「ひな壇トーク」ならではの「席順の法則」みたいなものもありました。

ゲストの座る席には向かって左側にさんまのトークを補佐できる準レギュラー的お笑い(ピン芸人)、 前列中央にベテラン俳優、後列左側に若手俳優(特撮出身である事が多い)、後列中央に新人タレント・文化人、 後列右側に若手お笑い(コンビ芸人)が配置される傾向がある。
踊る!さんま御殿!!-Wikipedia

あくまで「傾向」であり完全に固定化されているわけではないのですが、この法則もまた最近の『くくりトーク』によってだんだん通用しなくなってきました。

参考例としては今年 2 月 17 日の「イケメン VS ブサメン特集」があります。この日は「スタジオゲストが全員男」という出演者陣で、サンドウィッチマンダイアモンドユカイバナナマン日村、温水洋一蛭子能収などのなかなかに男くさいメンツ。

で、公式サイトによると、10 年以上番組が続いてきた歴史上、「ゲストが全員男」というのはこの日が“初めて”のことだったようなんです。地味に歴史が塗り替えられています。この「初」というのは裏を返すと「さんま御殿」のゲスト選びが放送開始以来“いかに一貫して老若男女バランスよく執り行われてきたか”の証拠であるといえます。


ちなみに次回の放送は 6 月 2 日、テーマは『有名人主婦特集』。出演者はインリン・オブ・ジョイトイ海原ともこ、榊原郁恵、坂下千里子、日テレ鈴江奈々アナ、高岡由美子新山千春北斗晶松居一代前田典子村上知子ユンソナ。こんどは女性オンリーの回になりそうです。

出演者陣の「まとまりの無さ」も番組の持ち味だったんですけれどもね。

さんま御殿が『くくりトーク』という手法によって確実に変容しています。