松村邦洋がプロ野球の開幕に合わせて死の淵から生還


3 月 22 日に催された「東京マラソン 2009 」の途中で一時心肺機能停止状態に陥り、その後の安否がシャレにならないほど気遣われていた松村邦洋の『生還会見』の模様が日テレ系(読売テレビ)「ミヤネ屋」で放送されていたので、その内容をできるかぎりすべて書き起こします。


会見がおこなわれたのは 4 月 3 日の午後。くしくも日本のプロ野球が 6 年ぶりにセ・パ両リーグ同時開幕を迎える、ちょうどその日のことです。

えー、どうも今日はみなさんほんとにお集まりいただきまして、ありがとうございます。

えー、自分のほんとにこう不注意とかそういうこともございまして、たくさんのみなさまにご迷惑をおかけしたことを、ほんとに深くお詫びしたいと思います。

こうして生きて帰ってこれたのが、ふしぎなくらいです。三途の川を太りすぎたおかげで帰ってきたのかな? というくらいの気持ちで、こう、きましたけれども・・・。

このたびはほんとにあの、AED 隊という、「モバイル AED 隊」、国士舘の学生さんが自転車で常にこう準備していただいていたことと、そしてあの、マラソンランナーの方が、本来は 4 時間くらいでゴールできるのに、つねに我々、ちょっとこう「体調の悪い人がどのくらいいるのかな?」という部分でしっかりと見ていただいたおかげで、こうして今、生きて、こうやって・・・話ができることに、深く、ほんとに、ほんとに喜んでおります。

ちょっと座らせていただいてよろしいでしょうかね、すみません。

まぁ、あの、今回をきっかけに、本当に、えー、「デブタレント」といいますか、ちょっとこう卒業させていただいて、できればもう、内山くんとか、ガリガリガリクソンとかけっこういっぱいいますんで。できれば、あのー、芸能の寿命よりも、ほんとの寿命がちょっとこう、恋しくなってきたなー、という部分もありますね。

それであの、また、病院のほうにもこう今回入りましたら、やはりふつうの人は麻酔が「 1 個」で良いんですけど、ぼくは麻酔があの、105kg の体重なもんですから、麻酔が「 3 個」必要だったみたいで。

それであの、倒れてから病院でいざ気がついたら、ぼく夢の中で、東京マラソンでゴールしてまして、夢の中でゴールしてて、それでパッと目が覚めたもんですから、まわりの看護師の方々に「ありがとうございます。あなたのおかげでゴールできました! あなたのおかげでほんとにゴールできました!」とずーっと言ってたみたいで、あまりにもひどいこと言ってたんで、お医者さんが「じゃあ麻酔をおかわりしとこうか」ということで、ご飯だけでなく 2,3 杯おかわりをさせていただきました。

ただ、今日は 4 月 3 日、プロ野球の開幕でありますし、金本選手の誕生日でもありますので、こういう日にほんとにぶじ退院できたことに、ほんとにありがたいと思っています。病院はすごく設備のいい病院なんですけど、スカパー! が入ってなかったもんですから、土曜日とか日曜日に退院することになると「阪神 vs ヤクルト」が見れない。これ非常にぼくにとって重要なポイントですので、えー、阪神戦が見れる、ことがすごく嬉しかったです。このあと愉しみにしております。

そして、本当にこう、目が覚めたときに、自分自身がしっかり目が覚めたときに、ちょうど、25 日だったですかね…

と、CM へ。ここで「ミヤネ屋」の中継は終了です。

誠実でおもしろくて軽快でとっちらかりぎみなトークでした。こういう病後の復帰会見の芸能人って、たまに見てらんないくらい体調が怪しげなときがあるんですが、今回の松村に関しては今のところ後遺症とか問題もなさそうです。会見場にも小走りで入ってきました。

心底よかったです。


蛇足ですがかんたんに松村邦洋についての個人的な想いを述べておきます。

松村ほどの「お笑いエリート」ってそうはいないと思うんですね。片岡鶴太郎に見出されたとかで若いころからテレビに出てきたし、芸の幅が圧倒的に広い。ものまねの力量が図抜けているのはもちろん、プロ野球、昭和の芸能アイドル界、日本史にとても詳しく、それでいて絵が描けたりもする。「オールナイトニッポン」で培ってきたラジオトークもいける。デブタレントという括りの中にもいるし、また最近ではあまり見られませんが「電波少年」があったように生粋のいじられキャラでもありました。

最新の時事ネタにも抜群の対応力を見せています。小泉純一郎安倍晋三麻生太郎と、最新の首相のものまねをそっくり度と狂気を絶妙に兼ね備えたハイレベルでマスターしてる。この「実は王道」であり、ちょっとおっさん寄りな「風刺」もある感じ。ビートたけし高田文夫、あるいは相撲界へのパイプもあるなど「東京的」でもあります。山口県出身なんですけどね。

ダメっぽいレッテルを貼られがちですが、確たる実力と豊富な人脈をもってして、たぶんこのまま食い扶持には事欠かないと思うんです。

また、楽屋でウザい、実生活でも周囲の人が飽きるほどものまねを続ける、という話をよく聞きますが、そういうのも「境界」の人というか、「根っからの」を感じさせるエピソードです。まわりの人にとってはときに迷惑なこともあるでしょうが、表舞台に出るかぎりは裏でいくらウザかろうが関係ありません。エピソードとして「芸人のサガ」が漏れ伝わって聞こえてくるぶんには、呆れちゃうくらいのパーソナリティがちょうどいいんです。


最後に、記者会見のなかでも言ってましたが・・・

芸能の寿命よりも、本当の寿命が恋しくなってきた

ほんとその考えでいいです。いくら俺は芸人だから云々とカッコいいこと言ったって、死んじゃったら元も子もないんです。