さて、今回の更新はエイプリルフールの浮かれたおふざけトーンから一転わりとマジなんですが、去る 2009 年 3 月 31 日は、モーニング娘。らが名前を連ねる巨大アイドル艦隊「ハロー!プロジェクト」にとって、ひとつの大きな転機の日でした。
この日をさかいに「ほぼ古株メンバーのハロプロ卒業」という名の大量離脱が完了したのです。
なんのこっちゃという方もいるでしょうが、もうめちゃくちゃな数のアイドルたちが、それまで所属していた「ハロプロ」のメンバーから外れたのです。
元モーニング娘。勢では、中澤裕子、飯田圭織、安倍なつみ、保田圭、矢口真里、石川梨華、吉澤ひとみ、辻希美、紺野あさ美、小川麻琴、藤本美貴。あるいは稲葉貴子・里田まい(一応カントリー娘)・メロン記念日・前田有紀・松浦亜弥・三好絵梨香・岡田唯・音楽ガッタスの面々。
もうみんな「ハロプロ」じゃなくなりました。
しゃれになりゃしません。
所属事務所とかはまだおおむねそのままらしいので“名ばかり卒業”といってしまえばそれまでなのですが、上記メンバーを正式には「ハロプロメンバー」と括れなくなってしまったのが、やたら静かに重たいところです。
とはいえ何年か前にとっくにモーニング娘。を離脱している矢口真里や藤本美貴なども未だにモームスモームス呼ばれることが多いので、コップの中の嵐というか、あんまりハロプロであろうがなかろうがたいして関係ない気はしますけれども。
ぜんぶひっくるめて「ハロプロ」はたのしかった。でも、ちょっと「過去形」です。でもでも、まだすべてが終わったわけではありません。
今回はそういう自分で書いててじわじわ胸やけする長いやつです。
ここ 10 年以上。
モーニング娘。をはじめとするハロプロアイドルの森羅万象にこころ揺さぶられる日々が続きました。あるときは狂気じみて愉しく、あるときは激しい憤りをおぼえながらも、なんとかやってきたのです。
当サイトも以前はハロプロのことばっか書いてました。ぼくがはてなアンテナやはてなダイアリーを使い始めたのも、もとはといえば他のハロプロのオタクども通称ハロヲタが使っているのに影響されたのです。
「ハロプロ」こそが共通言語でした。
いきなりイベントレポ
そんなハロプロの残留組で、こないだソロデビューした真野恵里菜というアイドルタレントが、 3 月 29 日の日曜日に地元ショッピングセンター「サッポロファクトリーアトリウム」でイベントを開催するというので、行ってきました。
第一部(13:00 開始):「マノピアノ」「水色想い」「乙女の祈り」
第二部(16:00 開始):「ラッキーオーラ」「水色想い」「乙女の祈り」
それぞれ 3 曲を、ローランドのキーボードを弾きながら可憐に歌っておりました。まじめで活発で清潔なイメージで、今のところすこぶるかわいいです。
ぼくとしてはその場で CD を購入して握手会にも参加するなど、変態ニヤケ男まるだしでそれなりに堪能してきました。
で、そんな第一部が終わったあとのこと。
ぼくはその日いきなり出会った初対面の人とハロプロを語りあうことになります。
まだ続いている握手会の様子を遠目からぼんやり眺めていたところ、見知らぬ男性に「おひとりですか?」と声をかけられたのが事の発端でした。
「すわ、なにかの勧誘か?」と警戒しましたが、よくよく話を聞くと握手会に参加したあと、第二部が始まるまで暇なので、いっしょに時間をつぶして欲しい、とのこと。
「あるいはもしかすると物盗りなのでは?」と、外套のポケットに入った財布がスられないように最低限の用心を払い続けながら、その初対面の男性としばらく時間を共にすることになりました。基本的に人を信じてません。
初対面とはいえ、打ち解けるのに時間はまったく要りませんでした。
こっちはこっちで長年の蓄積があるヲタならば、あっちはあっちで前回に札幌でおこなわれた真野恵里菜イベントにも行っているという熟練者。
「あ、なるほど真野ちゃんヲタなんですね?」と半ば確信的に問いかけたところ、意外な答えが返ってきました。
「いや、栞菜ヲタです」
これはなかなかせつないです。
なにがせつないって、「 ℃-ute 」というユニットに所属している有原栞菜(ありはら・かんな)は、外反母趾という足の疾病であることを公表しながら、しかしなぜか今や ℃-ute のアーティスト写真からも顔をはずされてしまい、ユニットそのものから「いない人」扱いをされ始めているわけです。どうやら次の全国ツアーにも参加する予定はないとのこと。
もしかしたら外反母趾は単なるフェイクかも知れない。
本当はさる恋路に血迷った的な、不貞の事情によるフェイドアウトなのではないか、と。ジャニーズとの禁断のお付き合いが云々と。あくまで憶測にすぎないわけですが、実際ちっとも予断を許さない状況ではあるのです。一応公式サイトには「現在休養中」と書いてありますが、本当に単なる「休養」で済むのだろうか。はたして真相やいかに・・・?
で、その栞菜ヲタさんは ℃-ute の全国ツアーをいくつかまわる予定だったらしいのです。北海道からの「遠征」なのでそこそこいろいろたいへんです。しかし髭男爵いうところの「事情が変わった」なのであり、チケットはことごとくキャンセル手続き。辛うじて札幌のライブだけ行く心積もりのようで、ぽっかりあいてしまった心とからだのスケジュールをいったいどうしようか、とお悩みの様子でした。
お察しします、って感じですが、絶望感に打ちひしがれた自虐ぶりがひどかったので、正直ちょっと笑いました。
そんな導入から始まって、次の公演が始まる 2 時間 30 分ものあいだ、ネットでの関わりもいっさいない「完全初対面」であるにも関わらず、チョー意気投合! とまではいかないまでも、酒も飲まずにこの男性とトークが途切れることはありませんでした。
いわゆる「現場」エピソード(「東京厚生年金会館の一階席のうしろのほうは天井低すぎてジャンプできない」「品川ステラボウルは神会場かクソ会場か論争」「さいたまスーパーアリーナは都心から遠いから二度と行きたくない」「ヲタの友達が初めて行ったハローの現場がベリのバスツアー」等)、これからファンクラブは続けるべきなのかどうなのか、ハロプロエッグはいい加減くすぶらせてないでモーニング娘。とかに抜擢していきゃいいんじゃないの、云々・・・。
うんうん、新鮮ながらもどこか懐かしいフィーリング。あんまり「メタ」に寄らないこの感じ。なるほど長年にわたって培い続けてきた「ハロプロ」という共通言語が、両者の距離を一瞬にして近づけたのです。そうそう、こんな感じでハロヲタはいつの間にか仲良くなって、なんとなく楽しくやってきたんです。
真野恵里菜の二回目のイベントを終えて、その男性とは「じゃ、また、どこかであいましょう」という別れの挨拶をし、結局お互いの名前を名乗ることもなく、メアドを交換するわけでもなく、本当にその場かぎりで別れました。あやしい宗教に勧誘されることもお金を巻き上げられることもなく命拾いしました。
ハロプロのゆくえ
わんさかいたはずのヲタの総数は、正直かなり減ってしまったように思われます。
まだ軸足をハロプロというかアップフロント周辺のアイドルに残している人たちはいるものの、ある人は AKB48 にスライドし、ある人は Perfume がどうこうとうるさくなり(自分もですが)、ある人は円満な家庭を築くなどリア充満開、ある人はハロプロどころか地下アイドルにずぶずぶのめり込んでいる。
そして多くの人はヲタを脱し、あるいはサイトの更新をやめてしまいました。まぁこれは実生活の転機とかもろもろ事情があるでしょうからハロプロ関係ない部分も大いにありますが。
つわものどもが夢の跡です。
ハロプロ解体の直前、今年 1 月には「エルダークラブ」という名のほぼ古株組による最後の合同コンサートが東名阪のツアーでおこなわれました。
そこではモーニング娘。をはじめ、タンポポやプッチモニなど、ハロプロの歴史から選りすぐられた往年の大ヒット曲の数々が演舞されたといいます。オールドファンにとっては時空を超越したとてもたのしい催しだったみたいです。
東名阪のみの開催でそう気軽には行くこともできず、すべてが伝聞ですが、ネットで拾った情報から公演内容を自分なりにちょこっと妄想で噛み砕いてゆきます。
セットリストを追っていくと、一曲目の「 I WISH 」でいきなりピーク。松浦亜弥は「 I know 」だの「 Yeah! めっちゃホリディ」だのといった鉄板曲を繰り出し、タンポポは「たんぽぽ」、プッチモニは「 BABY! 恋に KNOCK OUT! 」、メロン記念日は「 This is 運命」、藤本美貴は「ブギートレイン’03」、中澤裕子は「悔し涙ぽろり」など、代表曲かそれに準じたヒット曲の数々が飛び出します。
モーニング娘。は OG メンバーで『モーコー→真夏の光線→愛あら→ピ〜ス!→ラブマ』という超絶メドレー。そしてラストは卒業ソングの定番「 Never Forget 」をステージ上のメンバーもヲタも全員で合唱しながら涙々という・・・。
こんなものいちいち懐かしいわけじゃないですか。やっぱりつんく♂のつくったおおよそ名曲の連発には震えがくるわけじゃないですか。ハロプロに過ごした青春の懐かしい日々が、キラキラ輝く記憶の中でダンシング・オール・オブ・ザ・ナイトなわけじゃないですか! なっち、なっち!!(うるさい)
ちなみに、そんな公演の模様が収録されたライブ DVD が 3 月 25 日に発売されているようです。どなたか見終わったあとにこっそり貸してください。
Hello!Project激動の瞬間を捉え、パッケージした2枚組DVD!
ハロープロジェクト全員が参加、これからの4つのファンクラブに期待のあるコンサート
と、最後はなんだか amazon リンクを貼って物売りの宣伝みたいになってしまいましたが(実際そうなんですが)、ともかくこういうライブなりリリースなりが続くかぎり、「ハロプロ」の過去も現在も未来も語りたいし、いろんな人のいろんな視点によるまっとうな語りを聞かせて欲しい、と思うのです。
ハロプロも、ハロプロを離脱した人たちも、そして「ハロプロ周辺を語ること」も、あとつんく♂も、まだもうちょっとだけ続くんじゃ、です。ノスタルジーとかすかな希望の入り混じった感情。