ふととんねるずが許せなくなる瞬間


水掛け論


もうテレビバラエティの世界で自分たちの根城を築いて二十年以上なんやかんやで元気にやってきて、とんねるずはよくもわるくも殿様なんだよってことを頭では完全に理解してるんです。スター誕生みたいな初期段階を除けばほぼリアルタイムにとんねるず世代ですよ。仮面ノリダーはまったはまった。

にも関わらず、15 日放送の「みなさんのおかげでした」内「食わず嫌い王」でさまぁ〜ずのテーブルに向けて石橋貴明がコップの中の水をぶちまけちゃった(しかも「機嫌が悪いから」というよくわからない理由で)場面というのは、どーーーにも解せず、単純にすっごいおもしろくなかったです。

しかも誰にもわけのわかんないまま何度も執拗に同じことを繰り返していた。特に有効打になりそうなボケとかでもなさそうだったんですけどね。いったいなんだったんでしょう?


また石橋貴明も当然相手を選ぶわけで、ベテラン俳優とかスポーツ選手がゲストだったらまず絶対にそんなこたぁやりゃしません。

こういうのは共演者による多少理不尽な振る舞いに対しても飄々と受け身の取れるさまぁ〜ずのような中堅お笑い芸人相手だからこそ繰り出すことが可能なワガママですよね。またさまぁ〜ずも実際「悪い日来ちゃった」とか運を天に任せたように諦めるみたいな軽い切り返しをしてて、その対処能力の高さを端的にあらわしていました。

以前は大泉洋とか若手のお笑い芸人にもやってたことあったかな。単純に「イジリとしての水ぶっかけ」ならいいんです。ところが「三村が嫌い」という言いぐさに、どうも正当性が見出せなかった。

おもしろいおもしろくないで言ったら普通にスッと食わず嫌いの対戦に入っていったほうが絶対おもしろかったですよね。なんだこりゃ単純に自分がさまぁ〜ずの肩持つようになっちゃってるだけなのかしら。

木梨憲武がそんな剣呑な空気に付随して味方チームだとか関係なしにさまぁ〜ずの足元に水ぶっかけちゃったのは理不尽ながらもちょっとした意外性があって「いつもの発動」って感じで笑えましたけれど。


逆に水ぶっかけた以外はわりとおもしろい場面が多い放送回ではありました。

三村の食べている状態をそのまま放送しないでわざと編集で静止画像にしてしまってそれをあとからナレーションで本人に「二コマ漫画かよ!」みたいにつっこませるのとか、さまぁ〜ずの DVD に挿入されてるおまけチャプターみたいでクスッとなりました。あと周囲が全員動いているなか CG でただひとり三村だけを完全に石像みたいにしたりするのも不気味な映像でめずらしいものを見た気がします。

ってそれもこれもトーク中の石橋の三村イジリに端を発したものでわがままに過ぎないのかも知れないけれど、こちらはなんとか編集スタッフの技術や三村の仕事などによって補完されてるので結果的にぜんぜんオッケーでした。

話をオープニングの「ムダベストテン」に移すと、バナナマン日村が得意だという竹馬をとんねるずにシカトされながらスタジオ内に用意されてたコースぜんぶ走り終えて、一言「ゴールッす」「俺今ゴールッす」って連発してたのも妙にツボりました。己のムダ芸に対して真面目。あとアンタッチャブル柴田が卵かけご飯早食いで木梨憲武にひそかにカラシかなんかご飯に入れられて口から鼻から大噴射しちゃったのも愉快でしたね。二回目完全にワザとやってたし。


そして最後にむりやり話をグイッと元に戻しますと、さまぁ〜ずの対戦相手は矢田亜希子でしたね。どうでしたか。ぼくとしてはその存在を忘却の彼方に追いやっていたけれど、久しぶりにテレビにまっとうな形で出てきてみりゃ、あの押尾学と既に結婚しているわけで、奥さんだし、子持ちだし、30 歳だし。まったくしみったれた現実です。