真・後藤真希に鈴木 Daichi 秀行

マッキング Gold 1

ハロプロアレンジャー界のスーパーイリュージョニスト・Mr.スズキックスこと鈴木 Daichi 秀行さんネタはそろそろ何週間かにも渡って断続的すぎて読んでるほうもつらいでしょうか。こっちの書いてるテンション的にも若干アレかも。でもやるんだよ。

というわけで今回は自分でネタふっといてそのままほったらかしだった後藤真希さんです。


後藤真希のソロシングルの歴史は、特に初期から中期にかけて、イコール鈴木 Daichi 秀行作品の歴史であったといってもちっとも過言じゃない。当時はある程度の話題を呼んだしヒットもしたデビュー曲「愛のバカやろう」(2001)に始まって、「うわさの SEXY GUY 」(2003)「スクランブル」(2003)「抱いてよ! PLEASE GO ON 」(2003)「さよなら『友達にはなりたくないの』」(2004)と、 シングル曲では Daichi さん作品フィーバーが、とてもフィバっていた。特に 2003 年はリリースした 3 枚のシングルがすべて Daichi さん作品という熱に浮かされたような怒濤の波状攻勢ぶり。

そもそも Daichi さんとハロプロとの関わりは、めだったところでは後藤さんのこの「愛のバカやろう」が端緒なのではないかと思われる。2001 年 3 月発売。すべてはここから。それ以前におそらく鈴木 Daichi 秀行さんはハロプロ音楽には携わっていない・・・はずだ。よく調べてないので確証は持てず、異論がある方がいればお気楽にどうぞどうぞ、って感じなんですけれど、ともかく後藤さんの華々しいソロデビューと共に Daichi さん劇場の苦々しい幕が開いた感がすごくある。

で、「愛のバカやろう」が 2001 年の序盤というモーニング娘。絶好調期における発売で、歌番組にも出まくったしかなりの注目度だったため、楽曲の出来云々に関わらず 40 万枚とかヘタに売れてしまった。そんな成功をきっかけに、これは勝手な憶測なのだけれども「鈴木 Daichi 秀行イケますね」「ギャラも安いし納品も速い」「よっしゃ、これからどんどん使っていくで〜!」みたいな流れが発生したんじゃないか。たぶん、後藤真希との絶妙なタイミングの出会いこそが、長きにわたる「ハロプロ Daichi 推しヒストリー」の始まりだったのだ。良くも悪くも。


明らかに異様な熱気を帯びていた初期の後藤真希ソロコンサートツアー、その屋台骨としての役割を楽曲的にたしかに担っていたのがそんな Daichi 楽曲群で、なるほどいずれも盛り上がりには欠かせないものであった。

特にいつのまにかコンサートの最重要楽曲となっていた「スクランブル」の神懸かりぶりったらなく、web 有志様たちによる「ハロプロ楽曲大賞 2003 」の投票結果一位というのも、当時の時流を鑑みるに妥当なランキングであった。

個人的には「スクランブル」は iPod みたいなので街歩きしながら聴いていると歩調とぴったり BPM が一致するので実に心地が良い。あとメロン記念日との生バンドライブ DVD「 Rock ですよ!」でも、やっぱり「スクランブル」はアンコールのラスト曲で、なぜかメロン記念日の特に柴田さんさえこの一曲で感動の渦に巻き込まれて涙していたりしていたので、やはり「なにかある」曲なのだとは思う。

「うわさの SEXY GUY 」はドコドカドコドカジャリジャリジャリジャリと打ち込みドラム音が終始こまかすぎる。気忙しいったらない。でもライオンの制汗剤「 Ban 」のCM 曲にもなったし年末のマチャアキの日テレの歌番組とかにも出たし、この曲で平成のアイドル歌謡界に足跡を残したり残さなかったり。決してきらいじゃないです。むしろ踊りまくりでやけくそです。

そして「抱いてよ! PLEASE GO ON 」はライブで人気の一曲だけれども、もうこれは、じっくり聴いてくれるな、感じろ! いいから騒げ! の領域でしょう。ほんと腹立つわー。ポンポコポンポコポンポコポコペーン とか ピョワピョワピョワピョワ とかうるさいっつーの。なんなんだよこの音のチョイス。

また「抱いてよ!」のカップリング「おふざけ KISS 」も Daichi さん楽曲らしいのだけれど恥ずかしながらまったく印象に残っていない。

ひるがえって「さよなら『友達にはなりたくないの』」は、「たいせー(現「たいせい」)」作曲×鈴木 Daichi 秀行アレンジというマイナス要素とマイナス要素(まぁ無礼千万な話なんですが)を掛け合わせたら、公式どおりに本当にプラスになっちゃった、という希有な例で、派手さはないがダメなところもない、見事な佳曲っぷり。シリアスな仕上がりです。


ファーストアルバム「マッキング GOLD 1」(2003)収録曲にも、シングルの他に「盛り上がるしかないでしょ!」「晴れた日のマリーン」の 2 曲がある。♪なんか足んない なんか足んない もっとちょうだい もっとちょうだい、と音像空間の物足りなさを耳にうすうす感じつつ、それでもコンサート会場ではバカみたいに愉しめてしまうのが、ライブ空間の大味な思考回路である。

盛り上がるしかないでしょ!」はタイトルからしてちょっと狙いがそのまんますぎて抵抗感があるものの、「晴れた日のマリーン」はシングル曲に迫る出来。つんく♂師匠のドスダミ声と相変わらず耳障りな ピョロピョロ 音さえ克服できれば夏ぴったりの爽快ナンバーです。間奏から後藤さんの激 キャワ 台詞「グッ フィーリン オーライ」までが率直にいい。


そしてあえて最後まで取っておきましたが「 LIKE A GAME 」(2001)。

これは「溢れちゃう...BE IN LOVE 」のカップリングなんですけど、アレンジャーのクレジットを見るまで、Daichi さん楽曲とはまーったく気がつきませんでした。

素人感性からしておもいきって申し上げると、悔しいかなめちゃめちゃカッコイイですよ。久しぶりに聴きこんでみてもその印象は変わらず「 LIKE A GAME 」超イカス。うるさいけど腹の立たないうるささ。めりはりが効いている。激しいダンスを取り入れることの多いライブアレンジも何パターンあるかわからないけどことごとく秀逸ですよね。


そんなこんなで、いい曲もどーってことない楽曲も、ライブを重ねることで次々といわゆるキラーチューンの様相にまでたくましく育て上げた後藤真希さんが、なんだかんだでいちばん偉いんだよ、ということは言えると思います。うん、偉い偉い。