クリスマスシヴイ

今年も一年いろんなことがあったりなかったりしましたが、そのまえに 12 月 23 日(土)の個人的な行動記録でも書き残しておきたいと思った。表サイトでも書いたけど妙なクリスマス・ハイが全身を包み込んでいるのだった。


まず、外套を購入した。いわゆる冬用のコート。

僕は洋服を買いに行くのとガソリンスタンドに行くのと理髪店に行くのがとりわけ苦手で、なんとなればそこに行ってしまえば最後、店員がつかつかと歩み寄ってきたりいろいろ話しかけてきたりするわけで、もうすげー恐怖、というかコミュニケーション不全のぼくにとってみれば心の底から鬱陶しいことこの上ないのです。ほっといてもらいたい。

理髪店では、もみあげはどうしますかー、とか、痒いところありますかー、とか何も聞かなくていいからとにかく一語も交わさず無言で黙々とアナタの好きなように散髪してください、と切に願うし、ガソリンスタンドのやれ無料点検してますよだのタイヤ買いませんかだのといった営業攻勢とか、ほんと最悪なんだよ。

コミュニケーション不全でありながらいっぽうで騙されやすい愚鈍な市民である僕は以前ガソリンスタンドで従業員のこの車このままじゃヤバス的な危機感を煽るような口車に乗せられて、なんかよくわからない部品だかなんだかを何万円かで購入させられたことがあった。結局未だにそれがなんなのかよくわかってない。愚かであった。

とにかくそんなトラウマというかくだらない判断ミスがあって、それ以来営業攻勢には心の防護壁を建立して「いや、いいです」とそっけなく伝えることによって身を護ることに苦心してるのだ。


と、そこで外套を購入した話に戻るのだけど、もうどこのお店に立ち寄って品選びをしようとしてみてもことごとく店員がつかつかと歩み寄ってきて「らっしゃいませー」と話しかけてくるので、そのたびに逃げ出して違う店へ行かざるを得ないのだ。いいから見て見ぬふりをしていて欲しいんだって。

そんな中で「ダイエーなら大丈夫だろう」と思いたち、庶民のスーパーマーケット・ダイエーの紳士服売り場みたいなところへ行ってもみたのだけれど、なんとダイエーの店員までもがそういった風情ですり寄ってくるので本気で失望した。

いっそのことネットで買ってやろうかしらとも本気で検討したが、いざ家に到着してみたらサイズが合わないとか生地が肌にかぶれてブツブツが発生とかいう事態も考え得るわけでそうなると地獄。


さんざん懊悩したあげく腹をくくってこの店で買おうと僕はコムサ・デ・なんとかといったような一軒のこじゃれた店になるべく無心で入ってみることにした。

案の定さっそく店員が近寄ってくる。ゆっくり自分のペースで眺めて決めたいのに。

ていうかコミュニケーション不全なので僕は話しかけられた途端に完全にテンパって舞い上がってしまいあ、あ、あ、などとどもったあげく何も喋れなくなってしまい目的を果たすことが出来ないのである。


僕は店員が話しかけてくるのに対して、「無視」という最終手段を取った。酷い話ではある。


ただ、よくよく品物を見てみると欲しい候補がいくつかあり、価格帯もちょうどいい頃合いだったので、入れ替わり立ち替わりいろんな店員が怒濤のように話しかけてくる展開に対して内心キレ気味になりながらも、つとめて平静を装って無視モードを解除、品選びに協力してもらうことにした。

おしゃれ偏差値のいかにも高そうな男性店員が、あの商品はどうか、これはどうか、お仕事用ですか? プライベートでも着られますか? などとあれこれ仕掛けてくる。

正直おしゃれ偏差値小学校二年生レベルの僕には負け戦であることは目に見えていた。


モコモコした頭部のフードのついているざっくばらんなタイプと、スラッとスリムなタイプの二種類の選択を迫られ、店内の全身映し鏡を前に試着などで赤面しながら大いに迷いに迷ったあげく、最終的には、スラッとスリムなタイプを購入してしまった。あとになって思い返すと冬は雪で頭が冷えるためフードがついてたほうがどう考えても実用的ではあるのだが、もうどうでもいいさっさと済ませてさっさと店を出たい、という気持ちであった。


呼んだときにだけ店員が来るような居酒屋のような衣料品店は無いものですか。



クリスマス・ハイの欠片も見せないままこの日記はいったん終わる。次はひとりカラオケに行ったのでその話。