女優というか声優

おもえば矢口真里のことは平凡なファンレベルには過去それなりに凝視してきたつもりだったのだけど、30日にスタートした TBS 系昼の連続ドラマ「銭湯の娘!?」全 45 話中の第 1 話放送を見ながら、ぼくはこれまで一度も聞いたことのないような、とてもカラフルな「声」が矢口の声帯から生まれていることに、とても驚いた。デビュー 8 年目の真実。

その「声」というのは、バラエティでキャハキャハと甲高く騒いでいるのとも、ハロモニコントとかで裕ちゃん裕ちゃん言ってる猫なで声とも、ラジオでのおそらく素に近いであろうまったり喋りとも、もちろん歌声ともまったく違っていて。俳優、というか、どちらかといえば「声優」に意味が近いような、矢口らしくて矢口らしからぬ声であり、具体的にどうとは今ひとつ表現しにくい。

たとえばドスの利いたハスキー声で叫んでいるときの矢口は、ま、若槻千夏のようであった。何かがふっきれていた。ともかくネクストレベルである。爽快である。

ちなみに逆に 29 日放送のフジ系「新堂本兄弟」で、森山直太朗の「さくら(独唱)」を「番組スタッフの反対を押し切って」(本人談)歌ってた若槻千夏は、豪胆なタレントイメージのわりに実は繊細かつハスキーだった声の感じが、あぁなんか矢口みたいだなぁ、って思ったものだ。矢口と若槻、遠くて近き二人のタレント。まっとうに新境地開拓してる。

なぜか大根芝居と評されることの多い矢口だけど、第 1 話を見たかぎりではそんなに酷くなかったのではないか。むしろ十二分に「闘える」レベル。それは声もそうだし表情がいちいちキラキラ輝いてるのね。水を得た魚。演るほうも愉しいんじゃないかな。


しかし今、本当に頭の中を駆けめぐっているのは、この「銭湯の娘!?」主題歌の KAN の新曲『カレーライス』のことだ。ね、いい曲でしょ? あれそうでもない? ともかく「銭湯の煙突の上に袢纏を着た矢口がちょこんと座っている」 そんなファンタジアな背景映像に乗って、KAN の甘ったるいホームドラマな歌声がゆるやかに流れているわけである。

♪何がどうあれ ぼくたちはずっとこの家で
 暮らしてゆくんだよ 何十年先まで そう
 つくり過ぎたカレーを 翌朝食べるように
 一度さめて またあっためて
 それでいい


ごめん

このオープニング映像と楽曲だけでこのドラマは自分の中で完結しそう。