最終兵器

後藤真希の次期ニューシングル「スッピンと涙。」の作曲者は KAN である、という確定情報。

http://www.kimurakan.com/news/index.php

これまで KAN とハロプロのつながりといえば、せいぜい「新作童謡ポップス」など明らかにメインストリームから外れた場所でこっそり作曲していたくらいなもので、こうしてシングルの作曲者として堂々クレジットされるのは史上初のことである。古くはカントリー娘。の「プロデューサー」田中義剛に始まって、五木ひろし堀内孝雄、あるいはまこと、たいせー、はたけのシャ乱 Q 勢など、それはそれは数々のアップフロント系ミュージシャンがモー娘。バブルのおこぼれにあずかろうと絡みまくってきたことを考えると、KAN の登場はちょっと遅すぎたくらいだ。

ハロプロが積極的に作詞作曲の「外部発注」をおこなうようになったのは、ようやく 2004 年初頭にもなってのこと。それまでモー娘。はじめハロプロ系の楽曲は、ほとんどすべてをつんく♂たったひとりが頑なに作曲してきており(もちろんゴーストライターとかのありがちな可能性をしかとすれば)他のタレントの出る幕など無かったのだ。

しかし「外部発注」を掲げてから起用されたミュージシャンといえども、たとえば松浦亜弥風信子(ヒヤシンス)」の谷村新司や、同じく松浦「ずっと好きでいいですか」の Something ELse の今井千尋など、一応つんく♂一辺倒からは脱却して多少なりとも楽曲のカラーには変化がついてきたとはいえ、結局これらもアップフロントというプロダクションの内側ないし周辺への発注でしかなかった。利益をなるべくグループ内で独り占めして外部に漏らさないようにするためなのか知らないけど、どうにも内弁慶すぎる。

ついでに言えば同じシャ乱 Q 勢ではあるがロックなアイドル歌謡魂バリバリのつんく♂に比べてやや作曲能力が疑わしいたいせーやはたけなどの登用までどさくさに紛れて増加している始末で、「外部発注」とデカくぶちあげた看板に対する「あれ? この人選ではかえってトーンダウンになるのでは・・・」「平井堅とか aiko とか呼んでこい」などの不満・疑念・注文は未だに強く残っているのである。

愚痴はともかく、この抗いようもなさそうな内部的な人材の流れをふまえると、ミュージシャンとしては一応辛うじて現役で少なからず知名度もある KAN がハロプロに絡み始めるのは、もはや時間の問題であった。最終兵器と言ってもいい。


ちなみに後藤真希の新曲「スッピンと涙。」はまだ世の中に向けて公表されていないが、上記 KAN オフィシャルサイトによると『スローバラードの王道』らしい。アレンジは鈴木俊介。これ、なんとなく松浦亜弥「 THE LAST NIGHT 」のような、まぁ「重厚」といえば聴こえはいいがその実とてつもなく地味でスローな楽曲がドロップされる危険性も否定できない。大丈夫だろうか。

そもそも KAN 自身、 2001 年 9月 の「 Superfaker 」以来、4 年近くも己の新曲を出していない。はたしてブランクは? もし今の完全に潜伏しているタイミングで、なにかの間違いで名曲が生み出されてしまったりすれば、KAN にとっても後藤真希にとっても双方のファンにとってもたまらないのだけれども。どっちのファンとも「まだまだこんなはずじゃない」とか思い込んでいるのである。