18 回目[曇天]

PV 映像が流れ出してまず目に飛び込んでくる『モーニング娘。 大阪 恋の歌』というロゴの背景において、あるいは、その後もモー娘。メンバーが 3,4 名ごとにどこかあらぬ方角へまなざしを向けながら佇んでいる背景において、しばしば現われる、曇天の、ひどく沈鬱な空模様。ぶ厚い雲が早回し VTR のようにうねうねと表情を変える、そんな映像がある。

「これって『ザ☆ピ〜ス!』の PV に映っている空と同じものでは?」

web 世界にお住まいの諸賢人たちがそう指摘しているのを読んだ。

あぁなるほどそうかもね、ってんで、ぼくはさっそく「映像ザ・モーニング娘。 2 〜シングル M クリップス〜」の DVD ソフトを取り出し、「ザ☆ピ〜ス!」の PV をこの『空模様 CG 使いまわし疑惑』検証のために見てみたのだけれども。

えっと、ま、あらかじめ危惧はしていたことなんだけど、こんな「ザ☆ピ〜ス!」の PV なんてものはね。うっかり見ちゃダメね。なぜならどっぷり心身ともに浸ってしまって戻れない。 2001 年のメジャー感の凄まじく横溢しちゃってる時期のなんかとてつもなくキラキラした映像を見せつけられちゃったら、そんな検証とか瞬時に忘却の彼方へポ〜イ。

まだ実に頼りなかったころの石川のセンターポジション抜擢に驚愕し、その脇を二大エース(それは文字通りの!)である後藤と安倍が支えた曲。あとの 6 人も全員がキャラ立ってるし、もう全員が主役。こりゃ人気あるわ。

でも、そんな「ザ☆ピ〜ス!」の PV を見た回数よりも「大阪 恋の歌」の PV を見た回数のほうがここ数日でなぜか完全に上回っており、であるからして今現在の懸案事項としては『空模様 CG 使いまわし疑惑』に関していちはやく何らかの答えを見つけ出すことに全力を注がねばならないのだった。ようやく正気を取り戻した。

で結論を述べると、「大阪 恋の歌」のほう、うねうね動いている雲については置いておくとして、モー娘。の屹立している背景に浮かんでいる雲。これね。

CG ってか、「絵」だった。セットだった。メイキング映像の初っ端でモー娘。がハネ回っている背後にまんま置いてある。極めてアナログ。しかもあらためて PV 本編を見直してみると、この雲、なんと微塵も動いてなかったのな。モー娘。自身が微風に吹かれて髪とかゆらゆら揺れてるせいで、イメージ的に動いて見えていただけで。映像トリックのようだ。

いっぽう最初からうねうね動いている CG のほうは、そもそものネタ元となる『 CG 素材』みたいなものはもしかしたら一緒なのかも知れないけど、ただ、実際に映し出されている映像には「ザ☆ピ〜ス!」側とぴったり合致している部分はほとんど無い。使いまわしかどうか確定的なことは言えやしないのだった。

ところで「大阪 恋の歌」で使われている『モーニング娘。』というどこかで見たことあるようなロゴが、「ザ☆ピ〜ス!」のものとは似て非なる別個のものなんだけれど、「 Mr.Moonlight 〜愛のビッグバンド」のものとはまったく一緒である、というあまり需要のなさそうな発見はなんとかできたよ。