14 回目[逃亡]

メイキング映像のいちばん最後は石川のソロコメントで〆だった。

歌衣装が妖精みたいな感じになっているのをそのまんまストレートに解釈した石川、コメントの最後に「じゃあわたしは、妖精のように羽ばたきます! さようなら(笑)!」とかテンション高いまま述べ、両手をひらひらさせながらスタジオの出口のほうへ小走りで去っていく。

そのとき石川が小さく「恥ずかしい〜」と漏らしたあとに叫んだラストの言葉が「逃げろ!」。

この石川のおもわぬ最後っ屁に、ぼくは 1966 年にビートルズが来日して日本武道館での公演をおこなったさい、その前座のうちの一組として出演したザ・ドリフターズがわずか数分の持ち時間を終えたあとでリーダーのいかりや長介が「逃げろ!」と号令をかけて加藤茶らメンバーともども大慌てで舞台から撤収した、そのときの情景を思い出した。「逃げろ!」ってのは恥じらいとユーモアがあっていい。

ちなみにドリフはその翌日公演での「退散!」バージョンもあるらしい。