「℃-uteコンサートツアー2013春〜トレジャーボックス〜」ざっくり回顧

2013年6月もあと1時間半で終わり! 締め切りが設定されてないと本当に何も書けないので、この1時間半の間に昨日千秋楽を迎えた「℃-uteコンサートツアー2013春〜トレジャーボックス〜」についていろいろ書いていきます。
悲しき雨降り/アダムとイブのジレンマ(初回生産限定盤D)
とりあえず7月10日に発売される℃-ute最新シングル「悲しき雨降り/アダムとイブのジレンマ」の美人を貼ってから話を始めます。
全21公演のうち僕が参加したのは4月20日(土)のハーモニーホール座間 大ホール昼夜、4月28日(日)の中野サンプラザ昼夜、5月12日(日)のよこすか芸術劇場 大ホール昼夜、5月25日(土)の五反田ゆうぽうとホール昼夜、そして6月29日(土)パシフィコ横浜 国立大ホールの千秋楽、合計9公演。
東京近郊は4月21日(日)の座間昼夜以外は足を運んでる。座間21日も行く気でチケット購入してたんですけど、いきなり2日連続で参加しちゃうと飽きちゃうんじゃないかと心のブレーキが働き、うっかり自重してしまいました。何事もほどほどが大切で、行き過ぎるとリバウンドが怖いですもんね! 9公演行ってる時点でそこそこ首突っ込んでる気はする。
初日昼を見て、ライブの前半が率直になにか新曲リリースイベントの拡大版のような印象を受けました。「この街」の歌詞をファンから募集して紹介するコーナーは、ライブというよりはファンに向けた親密度の高いイベントのようで、歌う前の段階で歌詞の紹介にけっこうな時間が割かれていた。このあたりは冗長だという判断があったのか、さすがにその後舞美ちゃんの歌詞読み上げパートが駆け足になる改善があって、そこはグッジョブだったんですけど。
あとはセットリストをご存知の方はおわかりだと思うんですが、前半にアルバム曲が1曲もないのがシングルリリイベ感を増幅させていました。最新シングル表題曲「Crazy完全な大人」に始まり、自己紹介を兼ねて5人全員が単独ソロ歌唱を担い新たな扉を開いた「SHOCK!」、ライブで初めてお披露目された未発表曲「誰にも内緒の恋しているの」、そして「Crazy完全な大人」のカップリングで歌詞あて書きの「私は天才」(中島・萩原)、3人のハーモニーと会場全体のクラップで音楽的な一体感が生まれた「地球からの三重奏」(矢島、鈴木、岡井)。
「この街」「ハエ男」と20枚目シングル表題曲&カップリングの森高千里バーも、そうです。ツアー途中で3曲目は「悲しき雨降り」になったけど、これも次のシングル。ひたすらシングルシングルしていて、どこか大雑把な曲の並び方だな、という感想でした。とはいえ曲の属性にシングルもアルバムもなく、僕がそう思っているというだけで、あくまで曲は曲なんですけどね。「ハエ男」は最初発表されたときに気分的にまったく高まらなかったんですけど、いざツアーが始まってみるとバックダンサーのハロプロ研修生のかわいらしさや振りつけの単純な楽しさがあって、セットリスト前半はこの曲を待ち望む気持ちもありました。
このツアーの目玉とも言える巨大スクリーンを駆使した剣劇ダンス&パフォーマンスコーナーはすごく前向きな試みだったと思います。スクリーンに映し出されるCGの敵を倒していったり、開かない扉みたいな障害を会場一体となったパワーで乗り越えていく、みたいな冒険活劇。℃-uteツアーには歌って踊る以外にもフラッグパフォーマンスなどのチャレンジが毎回あって、これもその延長線上だという気がします。しかもすごくスケールが大きくなって、手間ひまがかかるようになった。中盤にこのコーナーがあることでグッと締まったし、ツアーとしての独自性が生まれました。特にメンバーの中では舞台での殺陣経験に一日の長があり、身体能力にも恵まれている舞美ちゃんの動きが圧倒的にすごかったと思います。
またライブのテーマ曲ともいえる「ザ☆トレジャーボックス」がこのパフォーマンスのエンディングテーマ的に歌われるんですけど、この曲抜群にいいですね! 最初はライブの1曲目に歌われるんじゃないかな? みたいな予想が立ってたりしましたけど、さらに深くライブのテーマと連動する形で1つの山場を中盤に作り上げた。CD音源だけ聴くとイントロや間奏の「オイ!オイ!」みたいな声的な音が正直いくらか過剰に聞こえるのですが、ライブ会場ではファンの歓声とうまいこと融和してほとんど気になりませんでした。パンチの効いた愛理、岡井ちゃんあたりのボーカル、2コーラス目のなっきぃの歌い出しの迫力、そしてBメロのまいまいの音をかぶせた歌声の中毒性。ライブ曲として見応え聴き応えあるし超楽しいです。
ここからの後半戦は、盛り上がり曲の畳み掛け方が無慈悲なほどだな、といった感覚で、異常なほどに体力を消耗しました。終盤に昂ぶる曲が続くのはお決まりとはいえ、千秋楽では炎の特効も噴いた「ひとり占めしたかっただけなのに」からの「会いたい会いたい会いたいな」(途中で「誰にも内緒の恋してるの」に取って代わられてカットされたのは少し惜しかった)、スタンドマイクもっと効果的に使えたんじゃないかなという気もしながら結局ツアー途中からいつもの振り付けが戻ってジャンプ連続が激しい「僕らの輝き」、間奏で着替える珍しいパターンでこの曲は間奏も1つのキモだから最初は嘆いたけど研修生がきっちり間を埋めてくれた「Midnight Temptation」、そして問答無用のキラー曲「Kiss me 愛してる」、で、このあたりで初日に見たとき「まだ続くのか!」という絶望感にも似た喜びを抱かされて、あとは「超WONDERFUL!」、そしてまいまいシフトに完全移行された「都会っ子 純情」まで。曲の勢いにまともに付き合ってたら、1公演だけで死の淵が見えます。
アンコールの「Danceでバコーン!」はハーフサイズでしたが、それくらいのサイズ感でちょうどいいと思いました。アンコール衣装はツアー途中までメンバー自身がアレンジを加えたというかわいらしいもので、普段キレキレの破壊力抜群のダンバコも、祝祭感にあふれたおまけ的でのんきな演目にアレンジされた気がしたのです。サビで岡井ちゃんを眺めていたら、いつもは鋭い振りをビシビシ決めているはずが、なにやら客席のほうを余裕たっぷりに見渡しながら笑顔で手を振るくらいの気楽さがあった。この衣装はツアー途中でお役御免となったわけですけど、着るものによって演者の気持ちも変わり、曲のありようも変わるのだと思いました。
そのほか、Perfumeのライブを思わせるレーザー光線、抽選で披露されるソロ曲の演目が変わる企画、メンバーが秘蔵の宝物を持ち寄るトークコーナー、大好きな超かっこいい「Bye Bye Bye!」や安定の「世界一HAPPYな女の子」が入った「トレジャーメドレー」など、見どころ語りどころ満載のツアーでした。千秋楽も千秋楽でパシフィコ横浜 国立大ホールという大きな会場がぎっしり埋まって、9月10日の℃-uteの日が「記念日」になったと発表されたり、9月10日の嬉しい武道館公演の追加公演として9月9日の「前夜祭」が告知されたり、とトピック盛りだくさんでしたね。
最後に1つだけ、細かいけど実にいいなと思ったことがこのツアーに存在したので書いておきます。ライブの最後の1曲とかになったら、MCで「次がラストの曲です!」みたいに演者さんが告げることが基本的に多いじゃないですか。で、ファンが「えーッ!?」みたいに言う。「今来たばっかり!」みたいな。そして演者さんが「ありがとうございます!」って一礼する。これはこれで出来上がってる挨拶のような流れで、様式美でもあり、悪くはないんですけど、今回のツアーでは、一連のこのやりとりが一切存在しませんでした。本編ラストは「超WONDERFUL!」から「都会っ子 純情」の流れで、まったく切れ目がなく、ラストの曲だと告げる暇がなかった。しかもツアー初日あたりは「都会っ子 純情」が終わってそのまま暗転して、それで本編が終わったのかどうかよくわからず、ファン困惑、という展開があったくらい。それくらい置いてけぼりの演出のほうがよいくらいです。ただこれもツアー途中からはまいまいの「心の中を見抜いてほしい」のセリフの後で全員が「サンキュー!」って言ってハケる、という親切設計に変更になりましたよね。
アンコールの「青春ソング」も、僕が知るかぎりどの公演でもMCや前の楽曲のあとに間髪を入れずにイントロが流れてくるので「ラストの曲です」アナウンスがやはりない。タイミングを計算した綺麗な「つなぎ」が意識されているようで、これは出色の粋なはからいだな、と思いました。とはいえ今後のライブやイベントでは再び様式を取り戻すのかも知れませんけれどね! ℃-uteツアーには「VTRコーナー」みたいなものも、少なくともここ数年はなく、着替えの時間にしろ、なるべく隙間を空けずに一時もファンの気持ちを休ませないように、とメンバーが交互に出てくるような段取りが徹底的に作り込まれていて、スタッフの方々の心意気を感じています。