℃-ute岡井千聖さんとステージで一緒に歌った話

もう7月が終わってしまう! ということで月末ギリギリの締め切りを勝手に自分に課して今月最初で最後の更新をしようと思います。
ちょっと前の話になりますが、先月6月21日は℃-uteのメンバー岡井千聖さん19歳の誕生日でした。その6月にハロー!プロジェクトのファンクラブ会員を対象にしたイベント「岡井千聖バースデーイベント〜last teenage〜」が大阪2公演、東京4公演の全6公演行われまして、僕は6月20日TOKYO FM HALL公演に参加したんです。
今年のイベントでは珍しい試みとして、ファンと岡井ちゃんが℃-uteの「悲しきヘブン」という楽曲をカラオケで一緒に歌いましょう、という企画が行われました。で、抽選の結果、僕がこの企画の参加者として当選し、ステージで岡井ちゃんと一緒に歌う、という僥倖に預かる夢みたいな体験をしました。
この話をなるべく隠しごとをせずに書き留めます。
以下、この企画の募集要項をハロー!プロジェクトオフィシャルサイトより引用。こんな告知がされていました。

岡井千聖バースデーイベント〜last teenage〜」にご参加される皆様へ 緊急大募集!!
6月17日(月)・20日(木)・21日(金)に行われる「岡井千聖バースデーイベント〜last teenage〜」にて、2公演目限定で、岡井千聖とお客様とで「悲しきヘブン」をデュエットするコーナーを予定しております。そこで、岡井千聖と一緒に歌いたい!という方を大募集します!
(中略)
曲は「悲しきヘブン」。皆様に担当していただくのは鈴木愛理パートです。
ご応募いただいた方の中から抽選で何名か選ばせていただき、デュエットしていただきます。
愛理パートをしっかり覚えて、当日は岡井千聖と一緒にステージで素敵なハーモニーを奏でましょう! 是非、ご応募下さい。

何度も読み返しました。なんとも胸躍る企画! ファンをステージに上げてデュエットしようというのです。「皆様に担当していただくのは鈴木愛理パート」「愛理パートをしっかり覚えて」といったファンに真正面から負担を強いる文章もこれに関しては嬉しい。「一緒にステージで素敵なハーモニー」なんて、場合によっては危なっかしい計画のような気もするんですけど、ファンクラブ会員限定のイベントだからこその安心感というのもあるとは思います。
岡井千聖という人はファン心理に人一倍敏感なアイデアガールで、アイドルさんも人によっては保守的な活動に終始してしまうと思うんですが、岡井ちゃんは個人レベルでアイデアを出して、それがけっこう通ってるっぽい。今年のバースデーイベントも3日間6公演というのは異例の多さでした。これも「練習しても1日で本番が終わるのがもったいないから」という理由で本人自ら望んだものだ、というから嬉しい話じゃないですか。
僕はどちらかといえば人見知りというか閉じた人格なんですけど、さすがにこのチャンスを逃す手はない。応募する一択です。ハロプロのステージは永遠の憧れで、神聖な領域、サンクチュアリという気もしている。そこへ侵入しようなんておこがましい、という基調体温は保っていながらも、それとこれとは別問題でしょうが! という都合のよい解釈も生じようというものでした。
しかも「応募者は女性限定」とは、告知文にはどこにも記されていない。男性のファンでもいいよ、というメッセージをしかと汲み取り、メールで応募しました。
抽選ですし、どれだけのファンが当選するかはわかりません。それでも来るべき日に向けて、歌の練習を重ねました。「悲しきヘブン」は難易度の高い曲。指定されているのは鈴木愛理パートで、主メロとハモリを行ったり来たりの繰り返しです。音程を取るだけで一苦労、というか正直あまり取れません。ライブに臨むためにはポジティブなイメージトレーニングも必要だろうとは思うのですが「たぶんこのまま歌っても、岡井ちゃんの音につられるだろうな……」というせつない予感は拭えませんでした。
そんなこんなでイベント当日。
「当選通知」みたいなメールは、ついぞ当日になってもファンクラブからは送られてこなかった。「あぁ落選したのだろう」当然そう思います。だもんで、カラオケ企画については頭から切り離しながら、会場のTFMホールへ足を運びました。
この日のゲストは萩原舞さん(以下まいまい)。岡井ちゃんとは同じ℃-uteメンバーで10年来の名コンビながらも、2人きりでのイベント進行というのはあまり例がないことのようでした。「カラオケコーナー!」みたいなどなりが、岡井ちゃんかまいまいどちらかからあって、この稀有なカラオケ企画はイベント開演後、早々にスタートします。
ここで予想外の事実を知ることに。というのは、自分が応募していたカラオケ企画の出場者を決める抽選は、イベントの真っ最中、まさにこの場で行われる、というのです。なんとまぁ! この企画はすでに大阪会場でも行われていたのですが、僕はいわゆるネタバレ回避のため、メンバー本人のブログやファンのレポートなどに目を通しておらず、抽選が当日に行われることは知らなかった。というわけで、当たる可能性がいきなり出てきた……! しかも岡井ちゃんかまいまいのうち、どちらかが「大阪のときより申し込みの人数が少なかった」と言うのです。当たるかも。緊張感が高まります。
当選人数は3名とのこと。会場のTFMホールのキャパが何人かはっきりしませんが、勘で200名から300名といったところだったでしょうか。この中でいったい何人が申しこんだのか。
1人目の当選者が呼ばれます。前のほうの席の男性。送ったメールの内容もまるごと紹介されてました。
そして2人目。たしか岡井ちゃんが抽選BOXから紙を引いたんだったかな。そこに書いてある文面を読み上げます。

「ピエールさん」

わっ! 呼ばれた!
気が動転するより先に、ステージに上がる準備をするため、あたふたと、とりあえずパーカーを脱いで、℃-uteのこの6月には現在進行形だった「トレジャーボックス」ツアーの黒Tシャツ姿になります。髪の毛を触ったり、メガネのズレを直したり、なんとなく落ち着かない。その間にも、岡井ちゃんが僕の送ったメールを読み上げている。

決して℃-uteのみなさんのような歌唱力はありませんが、歌心だけはあります! 1人カラオケよく行ってます! 担当は鈴木さんパートということで、女性曲でありながら低音部分が比較的多いため、僕自身は男ですが原曲キーで歌えれば最高です^^; 岡井ちゃんと「カナブン」一緒に歌いたい! その一心で応募します。何卒よろしくお願いいたします。

気恥ずかしい文面ですが、これは送ったメールそのままの転載です。
僕の歌はこのメールにも書いたように決してうまくない。ただ原曲キーで行こうとは心に決めてました。ほぼ裏声になる。一オクターブ低く、という選択肢ももちろんありましたが、そうじゃないな、と思った。
席を立ち、スタッフの方に誘導されるまま、ステージ下手(しもて)で待機します。ワイヤレスマイクを手渡され「スイッチはもう入ってます」と告げられました。マイクを手にする。やぁ、これが緊張だ……。そこにもう1人の参加者である女性が呼び込まれ、3人揃ったところで、うながされるまま、スピード感たっぷりに登壇します。
そこはステージの上。岡井ちゃんが目の前にいる! その向こうにはまいまい! そして視線を下げると客席です。あまり見たことのない、それこそ夢で見るような光景。
岡井ちゃん本人からその場で今回の企画についてレクチャーを受けます。ファン3人で、歌詞の指定された部分をそれぞれ歌い、最後のフレーズだけは、岡井ちゃんが曲の途中で選んだ1人だけが歌える。カンペはきっちり用意されていて、3種類に色分けされた枠線で、歌うべき歌詞の部分が囲まれていました。これはわかりやすい。わかりやすい……ということはわかるのですが、舞い上がっていてなんだかよくわかりません。
僕は指定されたBメロの「胸を癒すようなこのメロディ」の部分と、たしか2つ目のサビを歌うことになりました。歌い出しのクリック音(「カッ、カッ、カッカッカ」みたいなの)からの音程や入り方を、岡井ちゃんともども2度ほど確認。岡井ちゃんとまいまいがワイワイ喋ってる間、少しマイクから口を離して、こっそり音程を確認したりもしました。
いざ本番です。カッ、カッ、カッカッカ。「♪流れ星〜」と最初に歌い出したのは1人目の男性でした。岡井ちゃんも歌います。歌ってる歌ってる。しかし、お世辞にもハモッてるとは言いがたい! 緊張感ばかりが伝わってきます。
そして自分の出番。

♪胸を癒すようなこのメロディー

裏声でよく声が出ました。このワンフレーズは普段は愛理の独唱で、歌い上げてるのが超かっこいいんですけど、それを魂の部分でモノマネしました。ところが岡井ちゃん大爆笑。なんで! でもそうするしかない気持ちもわかる! 正直けっこう想定外のリアクションだったのですが、これが僕の「マジ歌」だった、ということでしょう。
次の課題はサビ。すぐにそのときは訪れました。

♪悲しきヘブン 心が渇くけど
たった一つ夢があるだけで
私はそれで充分
(ワォ!)
セブンスヘブン いつかは辿り着く
この果てなき宇宙(そら)を行けば
迷うこともあるだろう

岡井ちゃんとのハモリです。しかし案の定、まったく音程が取れない! めちゃくちゃヘタ! な歌でした。愛理パートはここのハモリで「下→上→下→下→上→下→上」と目まぐるしく変化するもので、それは練習の成果があって頭では理解してはいるものの、いかんともしがたかった。
そして岡井ちゃんもやっぱり笑って、歌うのを少しやめちゃってました。僕がしっかり音を取れてたらやめることもなかったはずで、プロの人を横に、なんだか申し訳ないことをしているなぁ……と感じた。でも最後まで歌いました。「ワォ!」もたしか叫んだ気がするのですが、よく覚えていません。あとで岡井ちゃんが「勢いに圧倒されたw」って言ってくれたので気持ちは救われました。
ラストパートのデュエット相手として岡井ちゃんが選んだのは女性の人で、あとはその方にお任せ。僕は間奏で拳を突き上げて、ステージ上からファンの人を煽ったりもし、つかのまの℃-uteメンバー気分を錯覚とはいえ堪能することができました。またこの曲はダンスも超絶技巧なので、僕の中のダンサーこと中島早貴がつい暴れだしそうにもなりましたが、半端にフリコピしてもつまらないので、それはやめておきました。
それにしてもすばらしい体験。夢のような時間だった。歌い終わった後「いい思い出になりました!」と言いながら岡井ちゃんとがっちり握手。ステージを降りる僕を、岡井ちゃんは親指を立ててグッジョブ! みたいなポーズと最高の笑顔で見送ってくれたのが印象的です。
この後のイベントは圧倒的なウキウキ気分で楽しまざるを得ず、例年バースデーイベントで持ち歌以外をどんどん歌う岡井ちゃんは今年も中西保志の「最後の雨」などを歌ってくれて大満足。終演後、日頃ほとんど足を運ばない物販でも、当日限りの生写真を記念に購入して帰路に就きました。
Twitterにもこの一件については書きましたし、人間の業というのでしょうか、どうにも評判が気になったもので「岡井 カラオケ」みたいなキーワードで若干エゴサーチしちゃったことは許してほしい。その結果「あのヲタの歌はヘタだったけど勢いだけはあった」という評価をいくつか見つけて、その夜はぐっすり眠ることができました。