吉木りささんの小説家デビューと言葉の謎

6月20日に、吉木りささんの単行本「誰かさんと誰かさんがネギ畑」が竹書房より発売されます。
初の書き下ろし小説なんだそうです。
たいへん喜ばしいことだと思う。おめでとうございます。


これまで雑誌連載があったわけでもなく、ご本人のブログやTwitterに「今小説書いてるんです私」みたいな報告もなかったはずなので、この情報を初めて知ったときは驚きました。

表紙も今日初めて見ました。文字のフォントがちょっと頼りなくてどこか可笑しいです。写真のロケーションは吉木さんの地元かな? イラストも吉木さんが描いたものでしょうか。(追記:モチメ子さんという吉木さんが大好きな漫画家さんに描いていただいたそうです。ソースはご本人


吉木さんによるがっつり長文の物語はこれまで読んだことがありません。
とはいえ「ケータイ小説のサイトで小説を書いてます」という話は、何度か聞いたことがありました。

「閲覧数10人ぐらいのケータイ小説を、匿名で書いてます」
http://magazineworld.jp/anan/1806/


あと、写真集「RISA MANIA」には付録DVDの特典映像として、吉木さん自ら作・画を手がけた短編のマンガも収録されてます。「キャンパスナイトフジ」で披露された伝説の「BL紙芝居」にも楽しませてもらったっけな。物語を紡いできた人です。


あと吉木さんの言葉について常日頃から思ってることとしては、今年2013年に入り、ある日突然、ブログの文体が変わった。
ホニャホニャしてたのが、超かしこまり始めた。
「美しい日本語の辞典」(小学館)という本を買ったという報告があって、それからしばらく経ってのことです。かしこまった更新は今もブレずに続いている。


これは小説の執筆となにか関係があるのか。「美しい日本語の辞典」の著しすぎる影響なのか。どうなんでしょうか。


不思議なのは、Twitterでは相変わらずご陽気なテンションで文章を綴っていること。ブログとTwitterで文体を統一しなきゃいけない義務も法律もないんですけど、あまりにもクッキリと使い分けられています。


なにかしらの強靭な信念を感じます。


そうだ。
吉木さんは感性の人だ。


――という印象が、2009年夏に初めて見かけた当初から強かったです。イラスト描くの得意だし、マンガやアニメを嗜むのも好き。歌も超うまい。それでいて、トークも理路整然きっちりと、というよりは、どちらかといえば勢い任せで、あとは共演者の人にツッコミを任せる……。


そんなようなマイペースが貫かれているように見えていました。


ところが吉木さん、いつの頃からか言葉を巧みに操る人になっていた。
僕が気づくのが遅かったのか、もともとそうだったのが徐々に顕在化してきたのか。雑誌やWebなどでのコラムの連載。テレビやラジオ、イベントなど多くの人を前にしてのトーク。次々とかつ的確に、ものすごいスピードでリアクションが繰り出される。

すっかり信頼のおける、かしこいタレントさんになってる。


いちばんわかりやすいのは、今でもホニャホニャなTwitter
本当に朗らかでユーモアもあって、他人との絡みもスムーズなんです。ただ、一見おもいっきり感性任せのようでいて、意外と日本語にシビアなんですよね。誤字脱字がほとんどない。顔文字やエクスクラメーションマークが過剰とも思えるほど飛び交っていて、ビジュアル的に見ても明るく楽しいけれど、その上で、正確さを心がけている。


なかなか真似できない芸当だとずっと思ってます。


たまたま見つけた、ひとの噂。


トレンディ俳優(@nisegaku)さん

吉木りさちゃんは色々病むことも多いだろうに、のん気なツイートしかしないの偉い(笑)


孫市澁谷(@shibuyoung)さん

吉木りさちゃんの文章は、虐げられてきた人間特有のドロドロや周囲に対する拭いきれない怯えと、だからこその全てのことが嬉しくて新鮮っていう問答無用の感動がアイドルっていうフォーマットでコーティングされてて、上品なブルースみたいだ!


言葉に対する吉木さんの意識の高さに疑いの余地はない。
それが小説という形でどのように開花するのか。

ほのかに昭和レトロを感じさせる、ダメダメな女の子たちのくだらないけどとってもあったかいハートフルストーリー

昔も今も“パッとしない”25歳の女性4人が、中学卒業後10年目の同窓会で再会し、「このままではいけない」と意気投合し、“新しい自分”を見つけるために奮闘する物語。
「誰かさんと誰かさんがネギ畑」というタイトルを含め、「ドリフターズのジュリー」「マチコ先生まいらない」など各話タイトルにも“吉木流”の昭和テイストやユーモラスな表現などが盛り込まれている。

吉木りさ:小説家デビュー決定 千葉舞台に青春ストーリー書き下ろす


表紙に描かれている4人の女性が、その“パッとしない”4人、ということなんでしょうね。
“吉木流”小説、今から待ち遠しいです。