「QuickJapan」vol.88はテレビッ子垂涎

2月12日発売「QuickJapan」vol.88がフライングで書店に置いてあったので買ってきました。さっそく第一特集「ウッチャンナンチャン コントにかけた四半世紀」と第二特集「いま、テレビは。」を読み終えたところです。

ウンナンを扱った第一特集は、こないだテレビで放送されてDVD化もされている「笑う犬2010寿」収録現場の密着レポや、ウンナン20.000字インタビュー、ウッチャンのいとこ内村宏幸(アンチャン)が監修&解説を加えているウンナンコント番組ヒストリー、あるいはこれまでウンナンと共演してきた入江雅人やちはる、キャイ〜ン、千秋、ネプチューン出川哲朗勝俣州和、その他スタッフやゆかりのあるタレントなどのコメント、座談会、インタビューなど、ウンナンの芸能生活25年をいろんな角度から言語化していて大ボリュームです。

最近のテレビ界の動向をピンポイントで扱った第二特集でも、高須光聖鈴木おさむの対談、「ブラタモリ」スタッフや番組レギュラーの久保田祐佳アナなどの証言、「マツコ・デラックス ロングインタビュー」、アンタッチャブル山崎弘也のとりあえず相方柴田英嗣のことは置いといたほぼピン芸人としてのインタビュー、そしてテレ朝「アメトーーク」「ロンハー」の加地倫三プロデューサーとテレ東「モヤさま」「やりすぎコージー」の伊藤隆行プロデューサーとの対談など、これも充実の内容。

また特集の他にも今回のvol.88には吉田豪による爆笑問題インタビューや、かつてフジテレビで放送されていた「タケちゃんの思わず笑ってしまいました」DVD化記念と称した80年代ビートたけしをめぐる高田文夫と当時のディレクター三宅恵介と佐藤義和による鼎談などが詰まっています。呆れるくらいエピソードの宝庫です。

その中で今回の更新ではぼくが個人的にピクッと反応した発言をこっそり4つほどピックアップしてみます。引用は超あっさり目。

1.「誰かがやらねば!」は最初ウンナン2人ともやりたくなかった

20.000字ロングインタビューより。

フジで90年から始まった「ウッチャンナンチャンの誰かがやらねば!」。その話が来た時のふたりの反応とは?

南原 「やだなぁ〜」と思いました(笑)。あの時24歳かな。お笑い初めて4年満たないぐらいのコンビが、1時間番組で、ゴールデンで、とんねるずさんの後で、半年とはいえ、「こりゃちょっとどうなんだ!?」と。チャンスというより、困ったなぁという気持ちでしたね

ナンチャンよりウッチャンのほうが激しく抵抗していたようです。

内村 私はやるんだったら作り込んだものをやりたかったんです。それがやることが決まりかけた頃に生放送だと言われて、話が違うと。
(中略)
内村 「笑っていいとも!」は出てましたけど、それでも毎週大緊張していた時期ですから。しゃべったことが全部放送されるのがイヤで、苦手意識が強かった。なのにその生放送を毎回ゴールデンでやれとは何事だと。

居酒屋で当時の佐藤義和プロデューサーや吉田正樹ディレクターに「誰かがやらねば」の構想を聞かされて、ウッチャンは「僕は生放送はやりません」って、その席を立ったんですって。なんて若気のトガり方!

2.「FNSテレビ夢列島」初回を仕切ったのは26歳

高須光聖鈴木おさむの対談より。

フジテレビで「夢で逢えたら」などの番組制作に携わってきた星野淳一郎氏。1987年に初めて放送された「FNSテレビ夢列島」、今でいう「FNS27時間テレビ」的な長大な番組を、星野氏は当時若干26歳にして仕切ったのだといいます。

しかもその企画書を日テレ「24時間テレビ」のカウンターとして書いていたのが、まだ素人の高校生の頃。星野氏のフジ入社後、その企画を当時プロデューサーの横澤彪に採用されて「FNSテレビ夢列島」の放送は決まったのだそう。

高須 26歳でスタッフやタレントと一から交渉して、あんな大きな番組を作るなんて考えられへんよな。山ほどある各コーナーの台本一人でまとめたらしい。本人は「俺はテレビが好きな変人だから」って言うけど、そんなレベルちゃうやろ!(笑)

3.マツコ・デラックス自ら語ったナンシー関との違い

演出家・大根仁によるロングインタビューより。

「よくマツコさんのことをナンシー関さんに喩える人がいるがどう思うか」との問に対してマツコはこんな回答を述べています。

マツコ ナンシーさんって男目線のツッコミなのよ。自分と真逆にいるかもって思う

「自分は女のツッコミだ」というんですね。なので、

マツコ 周りが「ナンシー関の再来」とか勝手に言ってるのを見て、「全然読んでねぇな、コイツら」って(笑)。ナンシーさんのことも読み取れてないし、私のことも読み取れてない。ナンシーさんはすごいと思うし好きだったけど、男目線って苦手なのよ

肩書きが「コラムニスト」だったり、体型が体型だったり、歯に衣着せぬイメージだったり、性別が曖昧だったり、みたいに共通点は多いから、ついなぞらえてしまう人が多いのもわかります。でも真逆らしいです。

4.「モヤさま」伊藤P、視聴率低すぎて社長に怒られる

テレ朝・加地倫三氏とテレ東・伊藤隆行氏のプロデューサー対談より。

テレビの制作者には「失敗してもいい」という発想がないと新しい人材は育っていかない、というような話の流れで、司会のQuickJapan藤井編集長が「失敗といっても具体的に昨年末のモヤさまSPの視聴率は厳しかったらしいですが」みたいな話をふったところ。

伊藤 3%ですからね(笑)。放送の翌朝すぐに、局長の机に行って「すみません!」って大きな声で謝りました。局長は話の通じる人だし、小さな会社なので逃げる場所もないですから。「お前なー」「いやあ、面白かったんですけどねー」って(笑)。

風通しがよさそうな社風ではあります。


こんなふうにためしに4つほどピックアップしましたが、こんなんじゃ収まりがつかないほど、本当に興味深い話がやまほど詰め込まれている「QuickJapan」vol.88なのでした。

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