タレントイメージにおける「やってないけどやってる感」

2 日放送の TBS ラジオ「深夜の馬鹿力」で、伊集院光が「週刊朝日」の「山藤章二の似顔絵塾」で年末の年間大賞の審査員をした、という話をしてました。

審査員をするという告知が事前にされていたため、このとき伊集院の似顔絵も 100 枚ほど寄せられていたそうです。自分の似顔絵に伊集院は「描いて欲しくない部分が描かれてて怖い! でも凄い!」みたいな感想を漏らしながら、また「グルメレポートで自分がラーメン食ってる似顔絵」が混ざってる事について、違和感を表明してました。

「グルメレポートの仕事なんてしないし、ラーメンなんか食べないし」と。


すごい勢いでラーメンを食ってるオレの絵とかが結構あるわけ
でもオレ、テレビでラーメン食ったのなんか、もう何年前?


最近は「ラーメンは好きな食べ物なんかじゃありません」っていうか
むしろ「嫌いな食べ物一個もないけど
あんまり好きじゃない順でいえばラーメン上位です」
っていうことを公言してからかなり長いので
ラーメンなんかほっとんど食べてないし


もっといえばグルメレポートをほとんどしてないと思うのね
「グルメレポートしてる人イメージ」ちょっとあるみたいだけど
オレほとんどしてないのに


「グルメレポートでラーメンを食べてる」みたいな絵が 4,5 枚あるわけ
なんだろうねこの「実際はやってないけどやってる感」っていう


たけしさんが「ダンカンこの野郎!」
って何回やってるか知らないけど
なんか「ダンカンこの野郎!」が
たけしさんの正しい感じになってるぶりとか

伊集院が「グルメレポートやってない」とか、ましてや「ラーメン好きじゃない」みたいなプチ情報なんてそんなの知ったこっちゃないよ、って話ではあるんですけど、でも、やってないんですよね。

もしくはホンジャマカ石塚英彦と混同してるのかも知れません。実際に伊集院も街で「石ちゃーん! まいうー!」って声かけられることがとても多い、と Twitter でぼやいてました。一日で数人レベル。石ちゃんの評判が落ちるのも悪いので諦めて「まいうー!」と返すとも。デブタレ同士の絆は強いです。

ともかくお客さんの中にイメージとしてある、無邪気で、ときに残酷な「実際やってないけどやってる感」。

こないだ札幌ドームの「ヤマダ電機フェア」のステージで若手お笑い芸人の営業ネタをいっぱい見たんですが、伊集院の話を聞いて、そのときのことを思い出しました。本ネタに入る前の「ツカミ」みたいなくだりで、けっこう何組かの芸人が、ほとんど内容が同じような以下のような客いじりをやっていたんですよね。


芸人「じゃあ、僕らのことを『レッドカーペット』で見たことあるよー? っていうお客さん、もしいたら手をあげてもらえますか?」
客「はーいはーい(挙手」
芸人「ありがとうございますー。なるほどたくさんいらっしゃいますね。じゃあ『爆笑オンエアバトル』で見たことあるよー? っていうお客さんはいますかー?」
客「はーいはーい(挙手」
芸人「いやー、ありがたいですねー。あんな深夜の番組をご覧いただいてねー。それじゃ、『エンタの神様』で見たことあるよー? っていうお客さんはいますかー?」
客「はーいはーい(挙手」
芸人「あー、そうですかー。
ま、ぼくら『エンタ』出たこと一回もないんですけどね
客「ドッ(笑」

たぶん全国の地方営業で今でもエンドレスで繰り返されてる光景だと思うんですけれども。

子どもたちを中心に大多数のお客さんが勢いづいてハイハイ手を挙げちゃう。また実際「なんか出てた気がする」というイメージも多くの人にある。そんな「ゆるさ」を見越してやってるから成立するツカミ。

「いい加減なイメージで見ないで欲しい」という意地もタレント側にはあるのかも知れませんが、誰もがそう詳しいわけでもないし、タレント業なんてそういう薄っぺらで大雑把なイメージに支えられてる部分が大いにありそう。ゆるいつながり。タレントもお客さんもきっと「持ちつ持たれつ」ってやつなんです。

伊集院も「石ちゃーん! まいうー!」って呼びとめられてるうちが華というか、ただの一般人の太ってる人が「まいうー!」って言われることもあまり無いでしょうしね。