先週の金曜日、ご縁があって「MOK Radio」の生放送を見学させて頂きました。
MOK Radio は「サヨナナ」や「ユルス」の管理人で「ハロプロ楽曲大賞」のコメンテーターも務めてらっしゃる実験 4 号さんと、メディアジャーナリストで「音楽配信メモ」管理人で最近「Twitter社会論」(洋泉社)を上梓したばかりの津田大介さんと、元「ミュージックマシーン」管理人で現在は音楽ニュースサイト「ナタリー」編集長でありナターシャ社長のタクヤさんによるネットラジオ。2003 年に始まり最近では不定期で放送されてます。
なんとなくこういうレポって差し障りがあるのかなー、と漠然と思いつつ、でも実験さんもタクヤさんもはてなでレポってらっしゃるし、そもそも生放送にも自分の名前が乗っちゃったりしてるわけだから、じゃあいいかなと判断して書いてみます。言っちゃいけないことは胸の奥にしまっておきます。
ところは東京都世田谷区の下北沢にあるナターシャ。ナタリーの発信地でもあります。
放送開始の予定時刻よりもだいぶ早めに行ったこともあり、実験さんや津田さんはまだ現れてはおらず、かねてからご尊顔だけは一方的に存じ上げていたものの完全に初対面となったナターシャ社長のタクヤさんらしき方に向かって「あの、ラジオの見学に…」「実験さんとか知り合いで…」とまずはご事情を説明する羽目になりました。
タクヤさんにしてみればどこの馬の骨ともわからんヤツがいきなり訪ねてきてもごもご話し出すわけですから「何こいつやべー奴なんじゃねーの」くらい思われても仕方ありませんでしたが、「放送開始前にもう一度来てね」というご命令を受けたので一度引き返すことになり、あとで出直したところ「あ、ピエールさんだったの? ようやく話がつながった」などとおっしゃってもらい疑いが晴れてよかったです。
初めて足を踏み入れたナターシャの中で、完全に場違いであったことは否めません。社内からの放送ということもあり、ガチ関係者の方々が当たり前のように入れ替わり立ち替わり現場にいらっしゃるので、身の置き所に難儀しました。ネット上ではお互いに認識しているはずのとみぃさんと初対面することができて、本来なら話したいことはたくさんあるはずなのに、どうも二の句が継げない。キョウオカさんもいろいろすみませんでした。
MOK Radio 開始後の感想です。
オープニングから一時間ほどは音声トラブルで謎のディレイがかかりまくるなど不安定な立ち上がりでした。しかし策を尽くしての復旧後は、もう大の大人が酒を言い訳に大はしゃぎ。社員の方が持ってきた生ハムやポテチを頬張りながら、いわゆる放送コードのような公共的な制約をいっさい受けないのを良いことに、二言目にはチンコだのセックスだの「勝間和代なら俺はいける」だのといったリビドーまるだしの発言を繰り広げていました。「この方々には失っちゃいけないものがたくさんあるはずなのに」と他人事ながら心配になりましたが、リスナーとしては笑いすぎて死にそうでしたし、きっとなんかたぶん大丈夫なんでしょう。
津田さんの著書「Twitter社会論」出版記念スペシャルみたいなテーマを掲げていたとはいえ、スタジオの中はとても真面目な話が成立するような雰囲気ではなく当事者さんたちにとっても近来稀なグダグダ放送のようでしたが、個人的には真夜中のマジカルバナナが聞けたりもして超楽しかったです。缶ビールやおつまみもごちそうさまでした。実験さんが身銭を投じてらっしゃることもあって合法的にかけることが可能な「銀杏BOYZ」「神聖かまってちゃん」あるいは浜ちゃんの息子がベーシストをやっていたバンドの楽曲なども次々とオンエアされ、「やっぱナタリーは音楽なんだな」と今さらながら痛感しました。
ただし、ひとつだけ誤算だったのは、午前 3 時頃。「ピエールさんもラジオ出てみない?」とお声がかかったことです。
勝間和代ばりに「断る力」を発揮することもままならず、自然とマイクの前に座ってしまいましたが、残念なことに、ぼくはトークが絶望的につまらないことにかけては神に近い存在なのです。決して喋りたくないわけではありません。当サイトでもかつて何度かカセットテープで自分の独り言を録音してそれをデータ化して公開する、というネットラジオ的な戯れをしたことがありますが、その後まったく続いていないことでもご理解いただけるように、とにかく喋りの能力に致命的に欠けていると感じています。
なんとか盛り上げてくださろうとする実験さんの軽快な進行にエスコートされるまま、どうにか開き直って話し出してはみましたが、これが思い出そうとするだけで胃液が込み上げてくるほどのつまらなさ。MOK Radio のリスナーさんに本当に申し訳ありませんでした。もちろん元来どアウェイの現場ですし、由緒ある番組で空気感が出来上がっちゃってる中でいっぱしの名のある人物ならまだしもこんな全方位的にノープランな単なる無職のテレビッ子につけいる隙など一ミリたりともあろうはずがないのです。
しかして衝撃的な出来事が起こりました。
どうしようもないぼくの出演中、一時的に席を外していたタクヤさんが、数台の PC や放送機材や缶ビールやおつまみなどが目一杯乗っかっているテーブルの上に、いきなりものすごい勢いで「ダイブ」をぶち込んでくれたのです。ノーフューチャーな捨て身で、社長が、です。一瞬けたたましい轟音が響きましたが、ありえない事実とタクヤさんのやっちゃった感が明確になるや、放送は一時中断。その場はまるで交通事故の現場のようなカオスと化しました。缶ビールの中身は飛び散り、実験さんの超高級スーツは水びたしです。PC など機材類が水濡れしなかったのが不幸中の幸いといえるほど凄絶なダイブの痕跡で、眞鍋かをりが「ぷっすま」で見せたダイブのインパクトを超えました。
ただ、僕にとっては「よっぽど自分の話がつまらなかったのだろう」という反省の念しかなく、浮かれた気分に楔を差し込まれたような気持ちでした。「盛り上がればいい」と思って飛び込んできて頂いたはずなのです。結局そのダイブをきっかけに「もう自分の出る幕はないな」と判断してマイクから身を退いて見学席に戻ると、「何を話してもネタとして小さい」みたいな無言の圧力が場を支配し始め、ラジオの放送もほどなくして終了してしまいました。午前 4 時過ぎのことです。あぁ、東京って怖いところだな、と思いました。
おもえば数ヶ月前に MOK Radio を聞いたとき、収録現場の笑い声が聞こえるたびに「このラジオの現場ってすごく楽しそうだけどその場に居合わせることなんて未来永劫ないのだろうなぁ」と思っていたりもしたんです。ところが東京に移住して一週間でいきなり見学できてしまった。想像を超える展開。そして刺激的な現場。そこに居合わせることができて本当に良かったです。きっかけを与えてくれたメインパーソナリティのお三方、そして不躾な僕をそっとしておいてくれたナターシャの皆さま方にこの場を借りてお礼を申し上げると共に、今回のことは津田さんからのお誘いがなければ実現しなかったことなので、これをお読みの方は「Twitter社会論」を今すぐ 1 人 100 冊買いましょう。