ギャル曽根と彦摩呂の冷静グルメ批評

日テレ系「 1 分間の深イイ話」で「旨イイ or う〜ん」スペシャルというのが、今年の春から夏にかけて 2 回ほど放送されました。

「いつかネタにできれば」との思いで HDD レコーダーに録っておいたのですが、放置しっぱなしだったので、超今さらながら掘り起こしたいと思います。いろんな意味で他意はまったくありません。


全国から「自分たちの店でつくったグルメを評価して欲しい」という人を募って、あえてガチで、スタジオのタレント達が「旨イイ」もしくは「う〜ん」の批評をおこなう企画です。もしも「旨イイ」評価が多ければ全国的な人気が発生するし、「う〜ん」ばかりの場合はその店の事業の雲行きさえ怪しくなる。ハイリスクハイリターン、諸刃の剣な試みでした。

この企画は出演するタレントにも責任が生じるようです。あえてガチを標榜しているため、「旨イイ」評価をすることはイコール視聴者に本気でオススメをする、ということに繋がる。仮に安直に「旨イイ」とした味を実際に視聴者が口にして「なにこれ激マズ」ということになった場合は、そのタレントは信用ならない、みたいな事態にもなりかねないわけです。だからタレント側も真剣です。

ちなみに島田紳助の番組。テレビの影響力をもってして他人の人生を簡単に左右しちゃいかねないところは相変わらず暴力的な感じもありますが、こういうあまり誰もやりたがらないようなアイデアを実現してしまうところは、やっぱり凄いなとも思います。

で、この企画であらためて見直されたのが、テレビの世界でグルメリポートをほとんど生業にしているギャル曽根彦摩呂などの人たちの「批評眼」でした。

テレビのグルメリポートはよっぽどのことがないかぎり「全肯定」の姿勢を貫いてます。スタジオでタレント同士が料理対決をするみたいな企画を除けば、街歩きでも海外グルメ紀行でも何でもうまいうまいです。それは思考停止と言えるのかも知れない。

しかし実際は当然のことながら真っ当な舌を持ってるんですよね。だてに経験値を重ねていない。ってことで、以下にギャル曽根と彦麻呂による「ガチのグルメ批評」の発言内容を書き起こしてみたいと思います。

「旨イイ」評価をしたときは、「社交辞令で褒めたらしっぺ返しが来る」という前提で褒めてるので妙な説得力があるし、いっぽう「う〜ん」評価のときは、気を遣いながらも冷静に批評してるので、普段の全肯定とのギャップでやや辛辣に聞こえました。

「旨イイ」編


・「萬焼(まんしゅう)」(3個入り420円)について

彦摩呂「皮が具とまったく浮いてない(離れてない)ねん。ピターっと貼り付いて焼いてて。で、中の旨味がね、中華屋さんってものすごく味が尖りやすいんですけど、食材のせいかものすごくバランスが良い」


・「鯵茶漬け」(3食入り600円)について

彦摩呂「家庭でやるお茶漬けにしたら、これが来たらちょっとワンランク上がりますやん。その良さがすごい。これ大手は思いつかんよ。でけへんと思う。現地の鯵が獲れるから浮かんだアイデアやと思う」


・「燻製たまご」(1個120円)について

ギャル曽根「わたしはすごい好きです。燻製たまごってけっこういろいろ売ってるんですよ。なんですけど、燻製の味がしなかったりとか、塩味が足らなかったりするのがあるんですけど、これは黄身が濃厚で、燻製の香りがして、すごい美味しいなと思いました」

彦摩呂「(製法的に)ゆで卵にしてからだと、けっこう真ん中らへんはパサついたりするんやけど、生でやるから(味つけが)奧までいってるもんね」


・「上ホルモン鉄板焼(ホソ)」(1人前780円)について

ギャル曽根「すごいイイと思います。あたしすごいモツ大好きでモツ鍋屋とかよく食べに行くんですけど、モツとしては臭みもないし、タレもすごいこだわってるから合う。いつもだとこの脂の部分より皮の部分が大きかったりして、ずっと口の中でクチャクチャやってなきゃいけないんですよ。なのに、これ皮が残らない」

彦摩呂「口に入れたときに溶ける。これが脂とはまったく違うんです。いわゆるコラーゲンと言われてる部分でしょ。これがホルモンの醍醐味なんですけど。その口溶けもよかったけど、タレがお店に行ってもあんまり無い、ええ味やったな」


・「抹茶バターケーキ」(1ホール1.575円)について

彦摩呂「これ大人の味でね。バター使ってはるでしょ。それが抹茶と合わさってるからバターが溶けるのと同時に抹茶の香りが上がってきよるんですよ」

「う〜ん」編


・「下北沢とうふプリン」(1個450円)について

ギャル曽根「これ好みがはっきり分かれてて、プリンが好きな人でプリンだと思って食べると、これは豆腐なんですよ」

彦摩呂「掬ったときの型も豆腐と一緒やな」


・「さんまんま」(1本500円)について

彦摩呂「さんまのホンマの網で焼いたときの脂、知ってますやん。あれが旨味でしょう。それがちょっと抜けちゃって、甘辛のタレが入りすぎてる気がしたんよ。(巻いてある)シソよりも、ぼくは生姜のほうが好きかな。あと餅米がちょっと重い感じがしました」


・「長崎海鮮ちゃんぽんまんじゅう」(1個約160円)について

彦摩呂「あのねニオイがね、『上がってくる』んですよ海鮮の。やっぱりちょっとこういいニオイじゃなくて、臭みに感じた。ゴメン。ホンマにそう取った。(中に入ってる)麺がブワッと出てきてくれたら、もっとインパクトがあったかも知れない」


・「スモークベーコン」(500g1,750円)について

彦摩呂「劇的にうまいベーコンを食べたことが何回かあるんですよ。豚自体のエサからこだわってベーコンにする為に豚を育ててるんです。で、そういうのを食べてると、もう平均よりも(今食べたベーコンは)ぜんぜん美味しいんですよ。ぜんぜん合格基準なんやけども、いま見てた(13種類の)香辛料とか、香りがつくモノ。あれだけ入れてるわりには、塩がちょっと勝ちすぎてて、他の香辛料が弱いわ。もっと香ろうよフワーッと。スパゲッティとかに入れたら塩がパスタに混じって肉から旨味が出るからいいんです。ベーコンだけで食べるなら、塩もうちょっと落とそう」


・「さんまの蒲焼き」(1人前180円)について

彦摩呂「あの(さんまの)脂が、蒲焼きによって、なんていうかオイルショックみたいな感じやな」


・「クロワッサン餃子」(50個2,500円)について

ギャル曽根「豚肉があんまり入ってなくて、キャベツが甘くて美味しいのは美味しいんですけど、なんか具が少ないというか」