タモリが DAIGO の「勘のにぶさ」を見透かしている

2 月 25 日(水曜日)放送分のフジ系「笑っていいとも!」について端折りながら述べてゆきます。


「テレフォンショッキング」のゲストは大塚愛でした。

大塚愛は前日、アルタの綾戸智恵からの電話になかなか出られず、タモリともども綾戸智恵やアルタの客や視聴者を全国的に根こそぎ待たせまくる、というプチ失態を犯してました。いっこうにつながりゃしない。ただでさえフワフワでグダグダないいともの生放送の空気はいっそうどんよりです。

で、このことについて、なにか気の利いた「昨日はごめんなさい」的なお詫びのことばとかは本人から無いのかな・・・と待ってみたのですが、結局なにもありませんでした。

いや本人が悪いわけじゃないでしょうし、前日に電話口で爆笑しながらとりあえず謝ったりもしていたのでもう何も言うことはないんでしょうが、なにかこう気持ちの問題として、ひとことくらい触れてもらったほうが、前日からの「つながり」が感じられて嬉しいじゃないですか。

前夜の飲み会で先輩におごってもらった後輩は、翌朝の出勤時にもう一度「きのうはゴチでした」とお礼を言うのがスジというものじゃないですか。

それはどうでもいいわけですが、要するにそんなこと気にしないくらいのタマだから大塚愛は売れてるんだろうなぁ、と最大限に好意的で飛躍的な解釈をすることで抜いた鞘を収めることにします。


大塚愛が「メダルゲームをする」という話をしたところ、タモリが「メダルゲームって何?」とすっとぼけたことを言い出したのが意外でした。

タモリがそう頻繁にゲーセンに行くとも思われず特に知らなくてもふしぎではないのでしょうけれど。大塚愛が不親切ながらも話を進めていくうちにどうやら中身は伝わったようですが、それでもタモリの脳内イメージ的にはかなり古いタイプのメダルゲームを思い描いているご様子。逆にそれがどういうものか想像つかなかったりもするくらいです。

ためしに今の「グランドクロス」みたいな巨大できらびやかな筐体を「これが今のメダルゲームです!」とかタモリに見せてみて未来人を気取りたいです。


「クイズ!メイクダウト」コーナーでは、千原ジュニアがゲストを呼び込むときに、「有吉弘行」のことを「有吉かずゆき」っておもいっきり誤読してました。有吉ってわりとこのコーナーには何回も出てるはずだし、「弘」を「かず」って読み間違えるのも、ずいぶんと奇怪なことであります。

ちなみに正式な読み方は「ありよしひろいき」なので、『ひろゆき』ですらない、という二重のトラップがそこには仕掛けられています。

そんな有吉は、同じくゲスト出演していた金山一彦に対して「げんこつ」、井森美幸に対して「ダンスの天才」とあだ名をつけておりました。こうして歳月をかけてひとりひとり潰していくことになります。

でまた井森美幸が「ダンスの天才」ぶりを時を超えて存分に発揮しておりました。あの伝説のホリプロのオーディション映像の中で水色レオタードを着用しながら実際に踊ってたダンスを、 2009 年の今、アルタでしっかり実演していたのです。身体が覚えているのでしょうね。

それでいて感動的なことには、今本人が踊ってるのを見てもちゃんとおもしろかったのです。井森ダンス。古典の域に入ってきました。


それにしても「メイクダウト」コーナーにおけるタモリの三択問題の即興での作成能力の高さは異常です。「正解」に近いような概念を即座に考え出すことができます。

たとえば今回の問題は

「お手軽さで注目されている花粉症対策の最新グッズとは?」

でした。これに用意されてる正解と、ニセの答えふたつをまぶしてゆきます。

本当の正解は「鼻づまりが解消される着信音」。そこでタモリは残りふたつのニセの答えとして、「小型空気清浄機つきメガネ」「静電気で花粉を吸着させるマフラー」という選択肢を出してました。はい、はたしてどれが正解なのか、瞬時には判別がつきません。

「鼻づまりが解消される着信音」
「小型空気清浄機つきメガネ」
「静電気で花粉を吸着させるマフラー」

この回答群をすこし解体してみると『1.花粉症対策として有効(っぽそう)』『2.身の回り品』『3.今までに無さそうな発明』という、おおむね三つの要素から成り立っています。

本当の正解が「鼻づまりが解消される着信音」なので、これをサンプルにして、「核」になりそうな要素を抽出して、似たような単語や概念を導き出しているのです。「着信音」に対する「メガネ」「マフラー」というような。回答の作り方としては王道でしょうが、タモリは特にうまい。

ましてや今回は問題文に入っている「最新グッズ」という要素も勘案しなければなりませんでした。実用的かどうかは別として、とりあえず回答でそれらしい「最新」ぶりを表現しなきゃいけないのが、ひそかにハードル高いんです。また逆にウソくさすぎてもバレやすい。

しかしそんなハードルさえタモリは軽々と超えるのです。


そしてタモリがもっとさりげなくえげつないのは、ほとんど毎週のように相手チームの回答者として「 DAIGO 」ばかりを指名していることです。「即興問題に答えられる可能性がもっとも低い人」として、ことごとく DAIGO に狙いを定めている、ということです。

いいとも資料室さんでチラッと調べさせてもらったところ、

2 月 25 日 DAIGO 不正解
2 月 18 日 DAIGO 正解
2 月 11 日 千原せいじ 不正解
2 月 4 日 DAIGO 不正解

と、2 月については 4 回中 3 回が DAIGO でした。

コーナーとしては「タモリチーム vs 太田チーム」の対戦という形式を採っていて、他にも太田をはじめ、ピーコとか加藤綾子アナとか相手チームにはいっぱいいるんです。しかし徹底的な DAIGO 狙いで本気で勝ちに来ている。いかにも鋭そうな太田に回答をふることは滅多にありません。

すなわちタモリが、決して口に出しては言わないまでも、 DAIGO のこのコーナーに関する「勘のにぶさ」を冷徹に見透かしていることがわかります。

そしてまた悲しいことに DAIGO が正解する確率は極めて少なくて、それはタモリの問題の出し方がうまいというのも当然あるのですが、なにしろほとんど毎度のことなので、最近はまちがい続ける DAIGO のことがしのびなく見えて仕方ありません。

しのびなウィッシュです。


最後に、この日のエンディングでは近々公開されるという映画「オーストラリア」のキャンペーンでヒュー・ジャックマンという俳優が出演してました。

ヒュー・ジャックマンタモリとの握手もそこそこに、前のコーナーからのつながりでホイップクリームと生クリームをボウルでひたすらかき混ぜ続けている井森美幸に、積極的に絡んでいきました。なにかに取り憑かれたかのようにボウルの中身を必死でぐるぐるかき混ぜている井森。そのジェスチャーをかたわらで放送終了まで真似ていたのです。たぶんいい人です。