25 日のフジ系「笑っていいとも!」のテレフォンショッキングは前日の中居正広からの数珠つなぎで「 TBS の社員」安住紳一郎アナウンサーが他局アナとして希少性の高そうな出演を遂げていた。
安住アナのポジショニングは的確だった。
あくまで TBS アナウンサーとしての職責を頑なに果たそうとするかのような、低姿勢、丁寧語、ちょっとした緊張感、そしてタレントではあり得ないベーシックなスーツ姿でタモリに相対する。
「アナウンサーらしく」「サラリーマンらしく」引くべきところは極限まで引く。
しかし乗っかるべきところは慎重かつ大胆に乗っかっていく。ときには叫ぶ。
だが決して過剰になりすぎない。
むろん根底には安住紳一郎 35 歳のともすれば老獪な自己演出があり、人はその立ち振る舞いを腹黒いというかも知れないし、本人にもその自己認識は大いにあるでしょうが。
そのテレビ好きは有名な話だ。
今回も「家にテレビが 11 台あります」とあらためて驚愕のテレビ大好きッ子宣言をして、アルタの客を軽く引かせていた。なんでも部屋に全局分のモニターをズラッと並べていて、他局のアナウンサーにだめ出しをしたりもするらしい。ちょっと偏執的ですらある。
とはいえ「ロケや取材で出張が多くて家にいる時間は少ない」とも話していたので、テレビの視聴時間も必然的に短くなってしまうのが現状だとは思うのだけれど。
つまりは心構えの問題で、テレビ局社員という制作者サイドに立ちっぱなしになるのではなく、むしろ一視聴者として誰よりもテレビを客観視できるんだよ、という矜持が安住アナにはあるはず。
その下支えがあるからこそ、テレビに出るときの自己演出がまっとうに機能するわけです。
初対面というタモリ対策もお手の物。
お互いさぐりさぐりで爆裂トーク全開とまではいかなかったものの、おなじみ「ヅラ疑惑」の話題を振られればタモリの頭皮を大胆にチェックしにいくし、逆に己の頭部をタモリに差し出して猿の毛づくろいのように髪をいじくられることも厭わない。
また自らの「加齢臭」を否定するタモリの体臭を嗅いでみろと言われれば、ちょっとしたためらいのあと、やっぱり顔を近づけて嗅ぎにいくのである。胸をはだけたタモリ( 63 歳♂)の体臭を。
局アナとしては若干の越権行為に見えないこともないが、これはそうしたほうが絶対におもしろいので、してしまう。
秀逸だったのは「 100 分の 1 アンケート」。
自分のテレビッ子エピソードをふまえたうえで『家にテレビが 10 台以上ある人』のお題でアルタの客にアンケートを取り、結果は狙いすましたかのように「 1 人」。タモリストラップを獲得していた。
これもたかがワンコーナーとは決しておざなりにしない「 100 分の 1 アンケート」に対する的確な分析があればこその成果である。偶然の産物とは片付けられない。
安住アナの真顔のガッツポーズに、スナイパーのごとき執着を見た。
テレビッ子としての矜持を胸に、
『もしもテレフォンショッキングに他局のアナウンサーが出演したら』
という if〜もしもワールドの理想像を、テレビ大好きッ子の安住アナが自らの身を捧げて体現したようにも見える、特異なテレフォンショッキングの一部始終であった。
「これが答えだ」とでも言いたげな。